最低賃金1,000円時代における地域格差の解消を求めて

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2025年度の最低賃金は、厚生労働省の中央最低賃金審議会が示した目安に基づき、各都道府県で最終決定されます。この目安では、全国加重平均が1,118円となり、過去最大の引き上げ幅となる63円の増額が示されました。この改定が実現すれば、長らく課題とされてきた全都道府県で最低賃金が1,000円を超えることになり、これは労働者にとって大きな前進となります。新しい最低賃金は、通常10月上旬から中旬にかけて順次適用される予定です。

「最低賃金1,000円時代と残る地域格差の課題」

2024年度までは、秋田県を筆頭に複数の県で最低賃金が1,000円を下回っていましたが、今回の改定によりその「1,000円の壁」は解消される見通しです。しかし、この大きな進展の裏で、私たちは最低賃金の地域格差という根深い問題から目をそらすことはできません。中央最低賃金審議会は、各都道府県を4つのランク(A~D)に分け、引き上げ額の目安を示していますが、地域ごとの賃金水準の差は依然として存在します。多くの都道府県で中央審議会の目安を超える引き上げが答申されており、地域によっては目安以上の賃上げが実施される見通しですが、働く人々の生活の質や社会全体の公平性という根本的な課題がすべて解決したわけではありません。

「地域格差がもたらす深刻な問題」

最低賃金の地域格差は、日本の社会に深刻な影響を与えています。同じ国に住み、同じように働いていても、住んでいる地域が違うだけで賃金に大きな差が生まれるため、人々の間で生活の質の格差や不公平感が生じています。特に、物価が上昇する中で、賃金の低い地方の労働者は生活をやりくりするのが難しく、生活の不安定さが助長されています。

「地域格差が招く経済と社会の問題」

最低賃金の地域格差は、日本の社会に深刻な影響を与えています。この賃金格差は、より高い賃金を求めて若い世代が都市部へ流出する原因となり、結果として地方から働き手が失われ、地域経済の衰退を招いています。労働力が不足すれば、地域全体の活力が失われていくのです。

「地域格差の構造的な原因と解決策」

この格差は、日本の賃金決定システムの構造的な問題から生じています。最低賃金が都道府県ごとに決定されるため、地域の経済状況が考慮されることで地域間の格差が生まれます。さらに、企業ごとの労働組合が中心となるシステムでは、同じ業界でも大企業と中小企業の間で大きな賃金差が生じてしまいます。

これらの問題を解決するためには、国が主導して全国一律の最低賃金を設定するか、それに準ずる基準を設けることで格差是正を図るべきです。また、特定の産業全体で労働者の待遇改善を目指す産業別・業種別労働組合の存在も不可欠となります。

「非正規雇用の問題と地域格差」

非正規雇用労働者の貧困も大きな問題です。最低賃金の引き上げは非正規労働者の生活を支える上で重要ですが、最低賃金が低い地域では、彼らは不安定な雇用と低い賃金という二重の苦しみを味わうことになります。これは、地域格差が非正規雇用労働者の生活をさらに困難にしていることを示しています。

「非正規雇用が助長する格差社会」

非正規雇用労働者の増加と低賃金化が、地域格差をさらに助長しています。同一労働同一賃金の原則を徹底し、非正規雇用労働者の待遇改善を進めることで、賃金水準全体の底上げを図るべきだと主張します。非正規春闘では、都内の非正規雇用労働者の最低賃金を時給1,300円に引き上げる要求を掲げる一方で、同一労働同一賃金の徹底、正規雇用への転換促進、そして福利厚生の改善(健康診断、有給休暇、退職金制度など)といった多岐にわたる要求がなされています。これらの要求は、非正規雇用労働者が抱える雇用不安定性や低賃金といった構造的な問題を解決し、より公平で持続可能な社会を築くための重要な一歩と位置づけられています。

「労働組合が掲げる「地域格差解消」の旗」

今回の最低賃金引き上げは重要な一歩ですが、私たちはこの地域格差を根本から解消するため、全国すべての労働者が安心して生活できる水準として、全国一律で時給1,500円の最低賃金を早期に実現すべきだと考えます。そのためには、最低賃金を決定するプロセスの見直しを求め、国が全国的な基準をより強力に設定できるよう法改正すべきです。また、最低賃金引き上げが中小企業の経営を圧迫するという懸念に対し、国による賃金助成制度の拡充や社会保険料の事業者負担の軽減などを通じて、中小企業への支援を強化し、経営者が安心して賃上げできる環境を整備する必要があります。さらに、特定の地域に偏った産業構造を是正するため、国が主導して地域別の産業構造改革を支援し、高付加価値な仕事を生み出すことで、賃金水準の向上を図るべきです。

「産業別・業種別労働組合の役割と公平な賃金交渉」

最低賃金の地域格差は、働く人々の不満や不公平感の象徴であり、社会の持続可能性を脅かす深刻な問題です。この解消に向け、私たちは産業別や地域別の最低賃金を設けることで解決を働きかけています。産業別・業種別労働組合が中心となって賃金交渉を行うことで、特定の産業全体で公正な賃金水準を確立し、すべての労働者が住む場所に関わらず、人間らしい生活を送れる社会の実現を目指します。この取り組みは、単に賃金を上げるだけでなく、日本社会全体の活力と公平性を回復させる重要な一歩です。私たちは今後もこの問題に対して声を上げ続け、働く人々のための公正な社会の実現めざししょう。

〈 産業別・業種別労働組合が必要な理由 〉
産業別・業種別労働組合は、特定の産業全体で組織され、企業ごとの枠を超えて労働者の待遇改善を目指すものです。これが重要である理由は、まず賃金格差の是正にあります。産業全体で統一的な賃金水準の交渉が可能となり、中小企業で働く労働者の賃金も底上げされることで、企業規模による賃金格差の縮小につながります。次に、交渉力の強化です。企業ごとの労働組合では経営者側と対等な交渉が難しい場合がありますが、産業全体を代表する組合であればより大きな交渉力を持つことができます。また、労働条件の均一化も大きな目的です。賃金だけでなく、労働時間や福利厚生といった労働条件も産業全体で標準化を図ることで、業界全体の労働環境が向上し、健全な競争を促します。

私たちは、産業別・業種別や地域別の最低賃金を設けることで、この問題の解決を働きかけています。産業別・業種別労働組合が中心となって賃金交渉を行うことで、特定の産業全体で公正な賃金水準を確立し、すべての労働者が安心して働ける社会の実現を目指します。

私的判決論 人々の権利の実現をめざして

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)
  
『働くあなたが、大切にされるために』
  非正規を語る 当事者から・弁護士から

ゲスト:中島光孝さん  大椿ゆうこさん
司 会: 二村知子
開催日:2025年10月18日 土曜日
時 間: 15:00~17:00
(要予約・事前購入制とさせていただきます。申込み順)

会 場:リアル(限定50名) &リモート(定員100人)トークイベント
隆祥館書店多目的ホ-ルからリモ-トで配信
詳しくはこちらホームページ チラシココをクリック

 

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれているお問い合わせはコチラ ココをクリック

ー 公判予定 ー

10月31日    国賠裁判      東京地裁(判決)   15:00~
11月18日    大津第2次事件   大阪高裁(判決)   14:30~