私たちは生コン業界で働く労働者の組合です。
「関西地区生コン支部」は、生コン業界に従事する労働者が地域や職場の枠を超えて結成した産業別労働組合です。生コン産業で働く人なら誰でも、一人でも加入することができる点でも「企業内労働組合」とはちがいます。
私たちは1965年の結成以来、生コン業界に従事する労働者の権利確保、労働条件の改善のために運動を続けてきました。
しかし、中小企業が大部分を占める生コン業界においては、個別企業の枠内で要求を貫徹しようとすると、その会社が干上ってしまう、つぶれてしまうという現実が立ちはだかっていました。その大きな壁に何度もぶつかって私たちは「個々の会社の利益だけに左右されずに業界全体を捉えて、業界全体がどうあるべきか、労働条件・賃金決定において社会的なコストはどうあるべきか、労働コストはどうあるべきか、運賃はどうあるべきか、売価はどうあるべきか、ということを産業別的な視野で見ること」を学びました。
私たちが掲げる「産業政策」とは。
元々、供給過多産業といわれていた生コン産業が「構造不況業種」に指定されたのが1970年です。1973年のオイルショックによって一段と深刻な事態に陥ってしまいます。
その中で私たちは、個別企業に対する要求を徹底すれば、その会社自体が成り立って行かなくなってしまう。存続がおぼつかなくなってしまうという現実に直面しました。
本来は対等であるはずのセメントメーカーと生コン専業社が、その力の差から生コン業社が川下に位置づけられる業界で、働く者の生活や権利を守るためにはどうすればよいか?
私たちはこう考えました。
「まず、生コン業界の中で中小企業の地位をきちんと確保していこう。そうすることによって雇用条件や労働条件を改善していこう」。
そのうえで「業界そのものを中小企業が中心の業界、そして働く者に役立つような業界に変えていって、産業別的な賃金・雇用・福祉を実現しよう」と。
そこから生まれたのが「産業政策」です。
中小企業も労働者も同じ弱者です。
セメント市場は大手メーカー5グループ21社によって100%独占され、生産されるセメントの7割が生コンとして販売されています。当然、セメントメーカーが生コン産業を自社製品の拡販の手段として考えたとしても不思議ではありません。大手資本を背景としたセメントメーカーと、中小企業が圧倒的に多い生コン専業社、彼我の力関係からすれば、生コン業界の自立など夢のまた夢のようにも思えます。
しかし、セメントメーカーとその背後にある大資本の影響力を排除し、支配から脱して自立を果たさない限り生コン業界の未来、そしてそこに働く者の安定した生活も未来もありません。
中小企業も労働者も、経済的弱者という点では同じです。無理や犠牲を強いられている者どうしが団結するのは当然のことです。大企業の横暴が強まれば強まるほど、それに対抗するために中小企業は協同し、労働組合はその運動を側面から強力に支援する。
これまで私たちは『産業政策』に共鳴される経営者の皆様と積極的に共同関係を結び、力を合せてさまざまな運動を進めてきました。そして、これからも労使は手を携えて共に歩むことができると確信しています。