どんな人も認め合う『共生社会』の未来づくりを
合理的配慮の提供が事業者に義務化された「改正障害者差別解消法」が4月に施行されました。しかし、教育の現場では私立にも授業や試験などで柔軟な対応が求めらていますが進んでいないようです。
「障がい者への合理的配慮の提供が義務化」
2024年4月、「改正障害者差別解消法」が施行され、これまで「努力義務」だったすべての事業者に、「障がい者への合理的配慮の提供」が義務化されました。
「合理的配慮」とは、障がい者の有無にかかわらず平等な生活を送るため、社会的障壁(バリアー)を取り除くことが目的です。過度な負担にならない範囲で、配慮を提供するよう求めており、2006年に国連総会で採択された「障害者権利条約」に盛り込まれました。
「日本は2014年に批准」
日本は国内法の整備を優先したことから、障害者権利条約には、2014年になって批准しました。2016年に施行された障害者差別解消法では不当な差別的取り扱いが禁止され、国や自治体など行政機関には合理的配慮の提供が義務づけられましたが、事業者には努力義務となっていたのです。
「社会生活で制限を受けるすべての人が対象」
改正障害者差別解消法の施行により、日本全体が障がい者が生活しやすい社会に変わることが期待されています。例えば、民間施設でも簡易スロープや筆談できる端末を準備するなどの対応が求められるようになりました。
障がい者手帳の有無にかかわらず、発達障害や高次脳機能障害といった外見上すぐにわかりにくいものも含め、社会生活で制限を受けるすべての人が対象です。
法違反があってもすぐに罰則は科されませんが、繰り返し権利侵害に当たるような差別が行われ改善が期待できない場合などには、監督官庁が事業者に報告を求めることができます。
「教育分野の改善が急がれる」
早急な改善が求められるのが、様々な特性を持つ子どもが増えている教育分野です。私立の学校や大学だけでなく保育園や幼稚園、塾や各種教室、模試・検定の業者も事業者として「障がい者への合理的配慮の提供」は義務になります。
国立大学などでは先行して義務化された取り組みが進んでいます。入試での配慮要綱を公表し、専門の相談窓口や支援体制も整えつつあります。視覚や読み書きに困難のある学生が音声読み上げソフトなどを活用できるように、資料や教材をデータ化したケースもあり、授業の動画への字幕や、試験での端末使用なども広がってきました。
「どんな配慮が必要なのか学生側と対話すべき」
文部科学省の「障害のある学生の就学支援に関する検討会」は改正障害者差別解消法の施行に向け、2024年3月に報告書をまとめました。現状の課題としては「配慮までに時間がかかり、内容を決めたら変更しないことがある」、「本人の特性に関係なく大学側が内容を決めるなど『配慮の固定化』」などが報告されました。そして、「オンライン授業や介助者による支援など、どんな配慮が必要なのか入学前から学生側と建設的に対話すべき」だとしました。
特性に合わせた支援のため、専門人材も育成しなければなりません。少子化で中小規模の私大や短大は経営が厳しくなることが見込まれるので、大学間で連携した態勢づくりが大切だとも。
「学校側の理解が追いついていない」
日本学生支援機構の調査によれば、2022年5月時点の障がい学生数は大学・短大・高専を合わせて約5万人で、10年前の約4倍に増えました。それでも全学生に占める割合は約1.5%で、アメリカや英イギリスの約2割よりは低いのです。
今年の大学入学共通テストで受験上の配慮を認められたのは約4千人。この10年で1.6倍になりましたが、出願者約49万人の0.8%にとどまります。
日本で障がいのある学生が少ない背景には、入試での配慮不足や、大学進学前の中学や高校で学校側の理解が追いついていない面があると指摘されています。
「配慮が必要な子どもは増えている」
コロナ禍を受けて、国はタブレットなどの端末を全小中学校へ配り、学校の通信環境も整備しました。これまでは端末の持ち込みを求めても断られる例が多かったのですが、使える状況が広がりました。
それでも、障がい者への合理的配慮が「特別扱い」だとして拒否される事例は少なくありません。ある中学では、読み書きが困難な生徒が黒板の撮影や端末での課題提出を求めましたが、「評価は成績にかかわるので他の生徒と同じ方法で」と断られたと。別の中学では定期試験で端末を使って解答したくても、「特別扱いはできない」とされたそうです。
高校入試では公立私立を問わず、端末使用や解答方法の変更は「前例がない」などとして断るケースが後を絶ちません。文科省の2022年の調査では、通常学級に在籍する小中学生の8.8%が学習面や行動面で著しい困難を示していました。発達面で特性があるほか、朝起きられなかったりするなど、配慮が必要な子どもは増えているのです。
「どんな人も認め合う『共生社会』の未来づくりを」
子どもの多様性を認め、未来を奪わないことが何より重要です。実現にはすべての教育関係者が建設的な対話を続け、理解を深めるしかないのです。障がいのない子を前提とした一斉指導や評価システムも見直す時期に来ているのではないでしょうか。
どんな人も認め合う「共生社会」の未来につなげるためにも、教育分野でバリアーを取り除いていくことが急がれます。
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労働組合活動を犯罪扱いさせてはなりません
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争議解決にあたって、会社側に解雇期間中の未払い賃金、雇用保障、組合の闘争費用などを解決金として支払わせることは、裁判所や労働委員会でも当然の実務として定着しています。ところが、警察・検察は、関生支部は労働組合を名乗る反社会勢力で、金銭目当てで活動してきたそんなストーリーで前代未聞の事件を仕組んだのです。
企業の団結権侵害に対する抗議行動や団体行動を犯罪扱いする警察・検察の暴挙を許せば、憲法28条が保障した労働基本権がなかった時代への逆戻りです。裁判所は毅然たる姿勢で無罪判決を出すべきです。すべての労働組合のみなさまに署名活動へのご協力をよびかけます。
署名活動の実施要領
提 出 先:京都地方裁判所第2刑事部
署名の種類:団体署名を実施します(個人署名ではありません)
署名用紙は、 ココをクリック
集約と提出:第1次集約 9月末日(10月中旬提出)
第2次集役 10月末日(11月中旬提出)
最終週役 11月末日(12月中旬提出)
送 り 先:〒101ー0062
東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
フォーラム平和・人権・環境気付
関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
TEL:03ー5289ー8222
【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
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関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
第26回ソウル人権映画祭で上映されました。 ココをクリック
6月13日から開催される、第26回ソウル人権映画祭(ソウルマロニエ公園一帯)。
14日(金)に『ここから「関西生コン事件」とわたしたち』が上映されます。英語・韓国語・字幕、韓国手話付き。全22作品を上映。
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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