連帯労組に対する大規模刑事弾圧に抗議する
滋賀県警及び大阪府警は、2018年8月以降10月11日までに、強要未遂や威力業務妨害等の被疑事実で、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「連帯労組」という)の執行委員や組合員ら23名を逮捕した。このうち11名が10月9日までに起訴された。
このような大人数の組合員の逮捕や起訴は、近年類をみないものである。
われわれ大阪労働者弁護団は、このような労働組合に対する不当な刑事弾圧に対して抗議するとともに、組合員らの一日も早い釈放を求めるものである。
その理由については以下に述べるとおりである。
憲法28 条は労働者に対して、団結権・団体交渉権・団体行動権(労働三権=労働基本権)を保障している。これは、資本主義経済体制のもとでは、労働者が使用者(資本)に対して従属的な地位に置かれざるを得ないとの認識のもと、かかる労働基本権を労働者に保障することこそが労使の実質的対等を確保する道であり、それによってはじめて労働者が自己の労働条件決定や経済的地位の向上に実質的に関与することができると考えられてきたからである。
このように労働基本権が憲法によって保障されている以上、労働基本権の行使と評価される労働組合の行為は、刑法上原則として適法である(刑事免責、労働組合法l条 2項)。
連帯労組は、生コン業界で働く労働者の生活を守るという目的のため、産業別運動として労働組合運動を行っていたものであり、その態様や生じた結果に照らしても今般の被疑事実をもって違法と評価することはできない。連帯労組の今般の行為は、その目的・手段に照らして正当な労働基本権の行使と評価されるべきものである。
ところが、権力と資本は、産業別運動を壊滅する意図をもって、不当な告訴に乗じ、強要や業務妨害に名を借りて、近年類をみない大人数の逮捕や起訴に踏み切った。これは連帯労組の組織そのものを壊滅しようとするものである。
今回の大規模な刑事弾圧は、連帯労組ばかりでなく、他の労働組合や労働者の正当な組合活動を萎縮させる効果をもつものである。
われわれはこのような不当な刑事弾圧に対して断固抗議するとともに、組合員らの一日も早い釈放を求めるものである。