格式高いところで人権問題を学ぶ

部落解放・人権夏期講座2024

8月22日から23日にかけて高野山大学で開催された「第55回部落解放・人権夏期講座2024」に参加しました。この講座は、高野山という格式高い場所で開催され、労働組合や市民運動団体にとどまらず、企業や行政、教育関係者など多方面から毎年約1300人が参加されています。

開会式には高野山の和上さんも臨席され、高野町長からは花束が届けられていました。

人権夏期講座では、部落解放運動だけでなく、様々な人権問題についての講座が設けられており、私は会場のひとつである松下講堂黎明館で6人の方の講座を受講しました。そのなかで国際人権法、ジェンダー法の専門家である谷口真由美さんの講演をご紹介します。

人権獲得の歴史は浅く、今なお続く差別問題

人権問題は日々アップデートされており、学生や新卒、組織であれば一番若い人が今最新のものを知っている、学んでいる人、ということでした。人権問題の歴史は古く、16世紀の王権神授説まで遡ります。
人権獲得の歴史は、革命を起こし自分たちの血を流して権利を獲得してきた西洋に対し、日本の近代市民革命と言えば米騒動くらいだそうで、日本には人権を理解する土壌がそもそもない、と話されていました。
人権とは、誰もが人間として幸せに生きていくための権利です。では、なぜ差別がなくならないのか?差別される側は人ではないのか?
例えば、誰にでも結婚できる権利があるならば、同性という理由で結婚できないのは差別ではないのか?同性愛の人は人ではないのか?それを認めないことによって得られる利益は何か。認めたからといって誰の腹も傷まないのに、頑なに認めないのはなぜなのか。男性社会の構造だけで人間社会が発展するか、と言ったらしない。人が人であるから認められている権利があるにも関わらず、女性だから、ジェンダーだから認められない、というものもある。ジェンダーの国際人権は輸入物だが、やらなければ日本は生き残れず、コミュニティや組織が衰退する、ということでした。
ジェンダー不平等とは、女性に対しての不平等だけ、男性に対しての不平等だけ、という認識ではなく、男性か女性か以外の視点を持つということと、「それはおかしいんじゃないですか?」とちゃんと言えるようになる、ということが人権問題の中でもすごく大事だということを学びました。

国連人権理事会の勧告を是正しない日本

部落解放同盟の赤井隆史さんの講演では、被差別部落の地名リストの出版差し止め・ウェブ上の削除を命じられたのに、現在でも全国の被差別部落がウェブ上に晒され続けている現実を知りました。そして、人種差別を禁止するような法律がないということと、先進国においてそれはおかしいことなので、早く人権救済システムを作りなさいと再三、国連人権理事会から勧告されているにもかかわらず、日本政府は履行していません。

三重県で差別解消条例施行後人権問題が発覚

また、2022年に差別解消条例が施行され、差別解消に向けて人権問題への対応を県の責務と定めている三重県では、このような人権問題がありました。
県内の公立学校に勤務する夫婦関係にある教諭が、土地の仲介業者に対し、内容証明で被差別部落の土地は避けたい旨の意思表示を行い、また被差別部落の土地かどうかに関する錯誤を理由として、不動産売買契約の取消解除を申し出るという部落差別行為を行いました。そしてこれにより、土地の売主の心身を憔悴させるとともに、仲介業者の従業員に対し、精神的苦痛や不利益を与えたとして、差別解消条例を初めて適用され、知事から「説示」を受けました。教育委員会は、こうした行為が部落差別の解消に取り組む人など、関係者に苦痛を与え、教育者や公務員に対する信用を大きく傷つけたとして、二人の教諭に対し、減給10分の1、1ヵ月の懲戒処分にしました。

新たな出会いの場で実りの多い2日間に

私は人権部員として少しずつ学習していますが、今回いろいろな方の話を聴き、本を読むだけで理解した気になっていたり、私のなかにある差別意識に気付くことができました。現在、ジェンダー問題で闘っている共闘関係者も存在し、とても興味深い講座でした。谷口真由美さんの話のなかで、「組織の中で統治をしやすくしようと思うと、人権を知っている社員がたくさん出てくるよりも、知らないで言うことを聞いてくれるほうが良い」という言葉があり、どんな問題でも「おかしいのではないか?」と言えるようになるには、様々な角度から物事を捉える視点と、常に最新の正しい知識を持ち、活動の役に立てるよう、これからも学習を深めていこうと思います。

最後に、宝善院という宿坊に宿泊しました。私自身お寺に泊まるのは初めてでしたが、想像していた以上に精進料理は美味しく、ゆっくりと休むこともできました。また、参加者のなかで新たなご縁をいただき、実り多い充実した2日間となりました。
写真:今回お世話になった宿坊

【報告/大阪Aブロック T組合員】
10.19反弾圧シンポジウムin東京開催決定!
日にち:2024年10月19日 土曜日
時 間:13:30受付 14:00~
場 所:国鉄労働会館
     (東京都港区新橋5丁目15-5)

 
 
 
 
 
 
主 催:連帯ユニオン関西地区生コン支部
共 催:連帯ユニオン関東支部
    労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会・大阪
    労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会
    労働組合つぶしを許さない兵庫の会
お問合せ:連帯ユニオン関西地区生コン支部 06-6583-5546
PDFデータココをクリック
京都3事件無罪判決を求める署名のよびかけ
労働組合活動を犯罪扱いさせてはなりません
「京都事件」は、ベスト・ライナー、近畿生コン、加茂生コンの3つの事件(労働争議)を併合審理する刑事裁判です。労働争議の解決金を受領したことが「恐喝」とされています。
争議解決にあたって、会社側に解雇期間中の未払い賃金、雇用保障、組合の闘争費用などを解決金として支払わせることは、裁判所や労働委員会でも当然の実務として定着しています。ところが、警察・検察は、関生支部は労働組合を名乗る反社会勢力で、金銭目当てで活動してきたそんなストーリーで前代未聞の事件を仕組んだのです。
企業の団結権侵害に対する抗議行動や団体行動を犯罪扱いする警察・検察の暴挙を許せば、憲法28条が保障した労働基本権がなかった時代への逆戻りです。裁判所は毅然たる姿勢で無罪判決を出すべきです。すべての労働組合のみなさまに署名活動へのご協力をよびかけます。
署名活動の実施要領
提 出 先:京都地方裁判所第2刑事部
署名の種類:団体署名を実施します(個人署名ではありません)
      署名用紙は、  ココをクリック
集約と提出:第1次集約  9月末日(10月中旬提出)
      第2次集役  10月末日(11月中旬提出)
      最終週役    11月末日(12月中旬提出)
送 り 先:〒101ー0062
      東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
      フォーラム平和・人権・環境気付
      関西生コンを支援する会 ホームページ  ココをクリック
      TEL:03ー5289ー8222
      関西生コン事件 仰天の現場証言~無罪の被告人と兵糧攻めされる業者【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
MBS(毎日放送)映像’24「労組と弾圧」がギャラクシー賞奨励賞を受賞しました。
5月31日、受賞式のようす ココをクリック
【MBSラジオがネットで聞けるようになりました】
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
▼Spotify ココをクリック
▼Apple ココをクリック
▼Amazon ココをクリック

関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック

第26回ソウル人権映画祭で上映されました。 ココをクリック
6月13日から開催される、第26回ソウル人権映画祭(ソウルマロニエ公園一帯)。
14日(金)に『ここから「関西生コン事件」とわたしたち』が上映されます。英語・韓国語・字幕、韓国手話付き。全22作品を上映。

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー

10月はありません
関西生コン事件ニュース 101(東京新聞「こちら情報部」) ココをクリック
東京新聞「こちら情報部」

保育園に入れるための就労証明が犯罪? 労組は反社? 逆転無罪が相次ぐ「関西生コン事件」が示す民主主義の危機 ココをクリック

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