京都3事件公判「無罪判決!」 / 京都地裁
労使紛争の解決金が、京都生コン協同組合に対する恐喝罪とされた京都3事件の判決公判が2月26日、京都地裁で開かれました。判決言い渡しの前段集会(主催、労働組合つぶしの大弾圧を許さない!京滋実行委員会)には、全国から250人超の労働者・市民が結集しました。
「無罪判決を勝ち取ろう」
京都地裁正門前での前段集会は、関生支部・平田執行委員の開会宣言でスタート。平田執行委員は、全国から駆けつけた支援者に感謝を述べた後、2018年から始まった関生弾圧を振り返り、京都3事件のあらましを話しました。そして「裁判所には公正な判断求める!無罪判決を勝ち取ろう!」と提起しました。
「憲法28条を裁判所がどう考えるかが問われる判決公判だ」
労働組合つぶしの大弾圧を許さない!京滋実行委員会の服部共同代表から主催者挨拶。服部代表は、「反弾圧京滋実行委員会は2018年から始まった関生支部弾圧に対しての抗議活動を現場で続けてきた。本日の判決言い渡しは、憲法28条を裁判所がどう考えるかが焦点だ。当たり前の労働運動を、憲法を踏みにじっていいのかがが問われる公判だ。無罪を信じて臨もう!」。
「判決は無罪しかない」
当該の関生支部・七牟禮副委員長は、結集した仲間に対して日頃の関生支部弾圧への物心両面に渡る支援にお礼を述べた後「本日の判決公判には、韓国の仲間も駆けつけてくれている。正当な労組活動を犯罪にし、労使で合意した解決金を恐喝などとすることを許すことはできない。判決は無罪しかない!」と挨拶しました。
「全国の仲間からの連帯アピール」
韓国建設労組のメッセージと多くの韓国の仲間の激励写真パネルが紹介されたあと、判決公判に駆けつけた仲間からの連帯アピール。
労働組合つぶしの大弾圧を許さない!大阪実行委員会の小林代表(全港湾・大阪支部委員長)は「反弾圧実行委員会大阪は、この間、裁判所には公正な判断を求めることを示してきた。警察・検察が描くストーリーに対して、裁判所には公正な判断を強く求める」。
関生支援・東海の会の柿山さんは「本日の判決公判に名古屋から8人で駆けつけた。必ず無罪を勝ち取る決意だ。労使紛争の解決金を恐喝だと、関生支部は反社だとレッテルを貼ってきたことにメディアは無関心だったが、ここにきて風向きが変わりつつある。さらに闘いを進めていこう!」。
かって連しがの澤井さんは「関生支部は一面共闘、一面闘争で運動を前進させてきた。生コン協組の約束反故によるストライキは当然のことであり、労働組合の権利だ。裁判所はまともな判決を出すべきだ」。
関生支援・兵庫の会の代表者は「京都3事件は、労働基本権を否定する事件だ。袴田さん事件、大川原化工機事件、プレサンス事件、大阪地検の上級者など、検察の破廉恥な事件化が明らかになっている。本日の無罪は確信しているが、引き続き関生支部と共に闘う」。
韓国オプティカル労組の代表者は「関生の仲間のストライキなどは正当な組合活動だ。韓国でも建設労組の仲間が正当な組合活動を犯罪にして懲役刑や差し押さえなどに処されている。日東電工への法とは何なのか?法律は労働者を弾圧して経営者を助ける弾圧の道具として使われていることに憤りを感じているし絶対に許してはいけない。関生支部頑張れ!どんな判決が出されようと労働者の団結が社会を変えることに変わりはない。関生支部はじめすべての闘いに勝利しよう!」。
大阪全労協の南議長は「まともな労働運動を罪に問うことは労働運動の否定であり、許すわけにはいかない。我々は闘いをあきらめることはしない。本日は無罪判決を勝ち取る!」。
なかまユニオンの小山さんは「本日の判決は完全無罪しかあり得ない!警察・検察の不当な弾圧を容認することはできない。犯罪の痕跡もない暴挙を許さない!裁判所には、司法の正義、公正な判断を出すことを求める。関生への不当弾圧に全力で闘う!」。
「経営側を上回る250人超が結集」
最後に、平田執行委員がリードするシュプレヒコールで前段集会を終えて傍聴抽選券の獲得に挑みました。
大阪広域生コン協組をはじめとする経営側は、200人弱の動員をかけていましたが、全国から駆けつけた仲間はそれを上回る250人超が裁判所玄関前を埋めました。
「懲役10年の求刑を粉砕した『無罪判決』」
午前10時から判決公判が開廷されました。そして、十数分が経ったところで、七牟禮副委員長が傍聴に入れなかった支援者の前に駆けつけて「無罪」と書かれた紙幕を掲げました。地裁前で結果を待っていた支援者らからは「やったー!」などの歓声と大きな拍手がわき上がりました。
検察による懲役10年の求刑を打ち砕きました。
「完全無罪判決」
川上裁判長は「両被告人はいずれも無罪」と主文を宣言した後の理由で「関生支部は、産業別・業種別労働組合である」、ストライキの正当性について「京都協組側が協定内容を履行しなかったことに応じてされたもの。そもそもストライキをはじめとする争議行為は、その性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ、その主張を貫徹することを目的とする行為であって、業務の正当な運営を阻害することはもともと当然に予定されている」「1億5000万円という金額も過去の労働争議に比べて高くない」などと判示しました。
2023年の和歌山事件・大阪高裁の判決に続く、関生支部は産別労組、正当な組合活動とした、きちんと判断した内容の京都地裁・川上裁判長の判決でした。
「非情にうれしい」
公判を終え裁判所から出てきた湯川委員長は取材陣の前で「ようやくまともな判断をいただいたなと思います。非情にうれしい」と答えました。
「弁護団の奮闘と仲間の支援に感謝します」
京都地裁に駆けつけてくれた全国の仲間や支援者の皆さん、ありがとうございました。弁護団のみなさんのご尽力には感謝しかありません。関生支部は、弁護団の奮闘と仲間の支援のおかげで勝ち取った判決を活用して、残りの加茂生コン事件高裁差し戻し審、滋賀控訴審の完全無罪を目指して闘います。引き続きご支援をお願いします。
本日2月26日、京都地方裁判所第2刑事部は、関生支部の武前委員長・湯川現委員長に対して、ベスト・ライナー事件(企業閉鎖に伴う解決金要求が恐喝)、近畿生コン事件(企業倒産の際の工場占拠に関する費用要求が恐喝)、加茂生コン第1事件(就労証明書交付要求が強要未遂)、同第2事件(企業閉鎖に伴うプラント解体やミキサー車1台譲渡要求が強要未遂・恐喝未遂)のすべてについて、無罪を言い渡した。
判決の無罪理由は、加茂生コン第1事件について会社事務所で抗議等した組合員(4月17日に差戻控訴審判決予定)に脅迫行為があったかどうかを問うまでもなく、組合員の具体的な言動について共謀が認められないとした以外は、すべて、生コン産業の実態、京都地区における生コン業界の状況、関生支部の活動、関生支部と協同組合との交渉経緯や協調関係等を適確に踏まえた上で、被告人らに脅迫に当たる実行行為そのものがないとしたものである。
検察官は、関生支部が「ストライキや威力を背景に自らの要求に応じさせるスキーム」を確立していたとして恐喝罪の成立を主張したが、判決は「そもそも、ストライキをはじめとする争議行為は、その性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ、その主張を貫徹することを目的とする行為であって、業務の正常な運営を阻害することはもともと当然に予定されているものであるし、そうした意味で使用者側がストライキを避けたいと考えることは当然の前提になっている。」と判示し、検察官の主張を排斥した。判決には憲法や労働組合法という言葉はないが、争議権の趣旨を明確に摘示して労働組合として当然の行為についてそもそも脅迫に当たり得ないと判示しており、その意義は大きい。
一方、弁護人は、本件は労働組合つぶしを目的とした違法な起訴だったと主張したが、判決は、3事件とも無罪だからそれ以上の判断は必要がないとして、判断を示さなかった。しかし、判決は、検察官と弁護人いずれの側も大筋で争いのない事実を認定したうえで、被告人らにはそもそも犯罪に当たる行為がなかったと判示している。この点において、判決は事実上、検察官の起訴の誤りを示したものといえる。
関西一円の警察がゼネコンや大阪広域協と連携し、労働組合つぶしを企図して行った一連の弾圧は、実に18次のべ89人の逮捕と大阪・大津・和歌山・京都の各地裁への起訴が繰り返された。京都事件は一連の弾圧の最後に位置するものであり、検察官は懲役10年を求刑していた。
本判決の内容が示すとおり、そもそも本件起訴自体が誤っていたのである。検察・警察には猛省を促すとともに、控訴することなく早期に本判決を確定させるよう強く求める。
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貧困ジャーナリズム大賞を受賞

<選評>
のべ11名もの無罪確定者を出した労働組合弾圧、関西生コン事件は、その異様さや規模にもかかわらず、マスメディアは沈黙をつづけてきた。そうしたなかで、本作は地上波で初めて、しかも渦中の関西地域で制作・放映されたことが高く評価された。先行作品として、日本の労働政策による貧困を指摘した書籍『賃金破壊』(2022年、本賞候補作、著者が審査委員だったため辞退)、ドキュメンタリー映画『ここから』(2023年貧困ジャーナリズム賞)があるが、本作は、元警視総監、無罪判決を出した裁判官、経営側、SNSによる組合へのヘイトスピーチを拡散した団体幹部などを直接取材して生々しく映像化し、先行作品の蓄積を大きく進めたことでも大賞に推された。(一般社団法人反貧困ネットワーク)
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国
勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
はじめに――増補にあたって
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
補章 反攻の始まり
増補版おわりに
現代を取り巻く重要な社会問題を考える5作品と「戦後80年企画」の3作品が発表されました。関連記事:ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』
予告映像 ココをクリック
予告編一覧 ココをクリック
そのなかで、伊佐治整ディレクター『労組と弾圧』が上映されることが決定しました。
『労組と弾圧』

『TBSドキュメンタリー映画祭2025』開催概要
大 阪:テアトル梅田:3月28日(金)~ 4月10日(木)
京 都:アップリンク京都:3月28日(金)~ 4月10日(木)
名古屋:センチュリーシネマ:3月28日(金)~ 4月10日(木)
東 京:ヒューマントラストシネマ渋谷:3月14日(金)~ 4月3日(木)
福 岡:キノシネマ天神:3月28日(金)~ 4月10日(木)
札 幌:シアターキノ:4月開催
加茂生コン事件差し戻し審完全無罪判決を獲得するべく、12月17日から新たに加茂生コン事件署名活動がスタートしました。

「関西生コンを支援する会」は、署名活動用に加茂生コン事件とはなにかを描いたニュース号外(漫画新聞)を発行しています。
提 出 先:大阪高等裁判所第3刑事部
署名の種類:団体署名と個人署名の2種類
署名用紙は、団体署名 ココをクリック 個人署名 ココをクリック
集約と提出:第1次集約 1月末日
第2次集役 2月末日
最終週役 3月末日
送 り 先:〒101ー0062
東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
フォーラム平和・人権・環境気付
関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
TEL:03ー5289ー8222
【竹信三恵子のホントの話】

動画閲覧できます ココをクリック
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
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▼Apple ココをクリック
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映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
お問い合わせはコチラ ココをクリック
ー 公判予定 ー
3月4日 大津2次事件 大阪高裁 | 14:30~ |
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3月7日 国家賠償請求 東京地裁 | 10:00~ |
関西生コン事件ニュース 113([「関西生コン事件」国賠訴訟 2/18 組合側証人5人の尋問) ココをクリック
関西生コン事件ニュース 101(東京新聞「こちら情報部」) ココをクリック
東京新聞「こちら情報部」
保育園に入れるための就労証明が犯罪? 労組は反社? 逆転無罪が相次ぐ「関西生コン事件」が示す民主主義の危機 ココをクリック