アメリカ追従の日本と肥大化する公安警察

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石破政権や日米関係、公安警察などの問題について、青木理さん(ジャーナリスト)はメディアの取材で、次のように話しています。

「大企業奉仕の石破政権」

青木さんは、石破政権について「来年度予算をみてもわかるように、5年間で43兆円も防衛費に注ぎ込む大軍拡、特定の半導体企業に巨額の税金を投じるなど大企業奉仕の基本構造は変わりません」。

「アメリカ製兵器の爆買い」

「安倍政権がそうだったように、再びアメリカ大統領に就いたトランプ氏から無理難題をふっかけられ、日本側がひたすらゴマをすり、使い物にならない大量の兵器を買わされる懸念は拭えません。トランプ氏は前政権時、アメリカ製兵器の購入を日本に求め、安倍政権はV22オスプレイやF35ステルス戦闘機などを「爆買い」しました」。

「総額1兆円を超えるイージスアショア」

「なかでもトランプ氏と安倍氏の首脳会談で突然導入が決まった陸上配備型ミサイル迎撃システム『イージス・アショア』は、あまりに高額なうえに自衛隊関係者でさえ『必要性に疑問がある』と公言する代物でした。配備先とされた地元でも猛反発が起き、2020年に配備断念へと追い込まれたものの、今度はそれを搭載したイージス艦を2隻建造することになり、維持費を含めると総額で1兆円を超えるでしょう。恐るべき無駄遣いです」。

「自衛隊は、米軍の下請け」

「こうしたアメリカの対日姿勢はトランプ氏も前大統領のバイデン氏も基本的ベクトルは同じです。いわゆる同盟国に財政面を含めた軍事負担を求め、日米はますます軍事面での一体化を強めていく。というより、自衛隊が米軍の『下請け化』していく」。

「日本はアメリカ追従でいいのか?」

「今年は戦後80年、日本はひたすらアメリカ追従でいいのか。これまで以上に無理難題をふっかけてくるだろうトランプ氏の最執権は、アメリカ軍駐留などを含めたすべてを捉え直すいいチャンスなのかもしれないし、そうすべきだとも思います」。

「普遍的な人権問題として取り組んでいる韓国」

人権問題として、韓国の動きを青木さんは、「韓国のユン・ソンニョル大統領が国会で弾劾訴追され、憲法裁判所での審理が進む一方、大統領自身も内乱罪で起訴されました。大統領選になる可能性は高く、結果いかんでは日韓の『歴史問題』が再燃することになります。ただ、戦後80年を経て日韓が『歴史問題』で角を突き合わせ続けていいのでしょうか。韓国が元徴用工や元『慰安婦』の問題で反発するのを『歴史問題』と捉えるのは、国際的潮流を見誤ります。軍事独裁を経て民主化を実現した韓国の人々は、戦争や国家権力によって踏みにじられた人々の人権回復を、普遍的な人権問題として取り組んでいる側面も強い。私たちはそうした視点も持って韓国の人々と真摯に向き合うべきです」。

「経済安保法、経済秘密保護法」

ここ数年の公安警察について、青木さんは「主には中国を念頭に置いた『経済安保』の旗印の下、経済安保法がつくられ、25年5月には経済秘密保護法が施行されます。
大川原化工機事件という冤罪事件は、こうした動きが引き金となって起きました。軍事転用可能な化学機器を中国や韓国に不正輸出したと警視庁公安部がゆがんだ捜査の刃を振りかざし、社長らは逮捕、起訴され、保釈すら認められないまま元役員の1人は病死した。昨年の裁判では現職の公安部員が事件を『ねつ造だった』と証言して大問題になりました」。

「成果を示すために事件をつくる」

「なぜこんな無理な捜査が強行されたのか。二つの伏線があると考えています。一つは公安警察のレゾンデートル(存在意義)です。長らく『反共=反共産主義』が唯一最大のそれだった公安警察は、『冷戦終結』とともに新たな『存在意義』をつくる必要に迫られました。加えてオウム事件捜査などをめぐる大失態も続くなか、9.11米同時多発テロを契機に、公安警察は『国際テロ対策』、さらには『経済安保』を新たな『存在意義』として見いだそうとしているのです。実際、それを担う外事部門が近年急速に強化・拡充され、その『成果』を示すために『事件』をつくらなくてはならなくなったのです」。

「政治と警察が一体化する危険」

「もう一つは、政治との一体化です。安倍政権では政治と警察の一体化がかつてなく進行しました。内閣官房副長官、内閣人事局長、内閣情報官、国家安全保障局長などを警察出身者が、しかも公安部門の警察官僚が占めるという異常事態です。そのもとで、特定秘密保護法や重要土地規制法、通信傍受法の強化が通されました。
政治と警察が一体化するといかに危険か。政権に逆らう者は許さない、という思想警察的存在へと容易に転化します。実際、安倍政権期にはそうした兆候が明らかに出ていました。大川原化工機事件で顕在化した公安警察の再肥大化の危険性にも目を凝らす必要があります」。

※青木理(あおき おさむ)ジャーナリスト
「日本の公安警察」「日本会議の正体」「安倍三代」「時代の異端者たち」「この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体」(安田浩一さんとの共著)など著書多数。
2025年2月27日
京都事件・無罪判決についての声明
全日本建設運輸連帯労働組合中央執行委員長 菊池 進

               全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部
                                                        執行委員長 垣沼陽輔
               全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部  
                                                        執行委員長 湯川裕司
2月26日、京都地方裁判所(第2刑事部、川上宏裁判長)は、京都事件のいずれの公訴事実についても犯罪の証明がないとして、被告人とされた関生支部の湯川裕司委員長と武建一・前委員長の両名に対し無罪の判決を出した。
京都事件は、ベスト・ライナー事件、近畿生コン事件、加茂生コン事件の3つの事件(公訴事実は4件)を併合した刑事裁判である。関生支部のストライキ活動などを金銭目当ての企業恐喝行為に見立てるなどして、警察と検察が正当な労働組合活動を犯罪扱いして捜査、起訴したのがこの事件だった。
しかし、京都地裁判決は、関生支部が産業別・職業別労働組合であることや、生コン業界の構造と京都地域における労使関係の経緯をふまえて、たとえばベスト・ライナー事件については、関生支部がストライキをおこなった経緯と目的、その態様をきめ細かく事実認定した。そのうえで、ストライキは京都協組が申し入れた企業閉鎖に伴う解決金支払いと雇用保障要求という「労働問題についての協定内容の履行を求めるもの」であり、労働問題を解決するという目的以外の目的を主としておこなったものであるとか、労務の不提供又は平和的な協力要請を超えるような態様での脅迫的な言動があったものではなかったとして、人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知、すなわち脅迫に該当するとは評価できないとして検察官の主張を退けた。
判決はまた、「そもそも、ストライキをはじめとする争議行為は、その性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ、その主張を貫徹することを目的とする行為であって、業務の正常な運営を阻害することはもともと当然に予定されているものであるし、そうした意味で使用者がストライキを避けたいと考えることは当然の前提となっているといえる」との確立した労働法理に立脚したまっとうな判断を示したうえで、京都協組の経営者らが関生支部の十数年も以前のストライキ以来「畏怖の念を抱いており、そのような畏怖に乗じて、ストライキや力を背景に自らの要求に応じさせるスキームを確立していた」などとする検察官の主張を一蹴した。
他の近畿生コン事件、加茂生コン事件についても、検察官の主張はことごとく退けられている。京都地裁判決は証拠をもとに公正な判断を示したものと評価したい。検察は判決を真摯に受け止め、控訴を断念すべきである。
この無罪判決は、膨大な証拠をもとに説得的な立証と弁論を組み立てた弁護団の熱意と労力、そして、粘り強い支援活動をつづけてくださった支援者のみなさま、無罪判決を求める署名活動に賛同してくださった学者、文化人、ジャーナリストのみなさま、各労組・団体のみなさまのご尽力の賜物にほかならない。厚く御礼申し上げたい。
「関西生コン事件」の一連の刑事裁判で出された無罪判決は、これで7件のべ19人となる。無罪を主張してきた組合員はのべ39人であることをふまえれば、すでに半数近くが無罪となったことからすれば、大阪広域協組と警察・検察が一体となって仕組んだのが「関西生コン事件」であることがさらに明確になったといえる。
私たちはこの無罪判決を糧にさらに反撃を組織していく決意である。

以上
京都事件弁護団声明
2025年2月26日

本日2月26日、京都地方裁判所第2刑事部は、関生支部の武前委員長・湯川現委員長に対して、ベスト・ライナー事件(企業閉鎖に伴う解決金要求が恐喝)、近畿生コン事件(企業倒産の際の工場占拠に関する費用要求が恐喝)、加茂生コン第1事件(就労証明書交付要求が強要未遂)、同第2事件(企業閉鎖に伴うプラント解体やミキサー車1台譲渡要求が強要未遂・恐喝未遂)のすべてについて、無罪を言い渡した。
判決の無罪理由は、加茂生コン第1事件について会社事務所で抗議等した組合員(4月17日に差戻控訴審判決予定)に脅迫行為があったかどうかを問うまでもなく、組合員の具体的な言動について共謀が認められないとした以外は、すべて、生コン産業の実態、京都地区における生コン業界の状況、関生支部の活動、関生支部と協同組合との交渉経緯や協調関係等を適確に踏まえた上で、被告人らに脅迫に当たる実行行為そのものがないとしたものである。
検察官は、関生支部が「ストライキや威力を背景に自らの要求に応じさせるスキーム」を確立していたとして恐喝罪の成立を主張したが、判決は「そもそも、ストライキをはじめとする争議行為は、その性質上、労働組合が使用者に一定の圧力をかけ、その主張を貫徹することを目的とする行為であって、業務の正常な運営を阻害することはもともと当然に予定されているものであるし、そうした意味で使用者側がストライキを避けたいと考えることは当然の前提になっている。」と判示し、検察官の主張を排斥した。判決には憲法や労働組合法という言葉はないが、争議権の趣旨を明確に摘示して労働組合として当然の行為についてそもそも脅迫に当たり得ないと判示しており、その意義は大きい。
一方、弁護人は、本件は労働組合つぶしを目的とした違法な起訴だったと主張したが、判決は、3事件とも無罪だからそれ以上の判断は必要がないとして、判断を示さなかった。しかし、判決は、検察官と弁護人いずれの側も大筋で争いのない事実を認定したうえで、被告人らにはそもそも犯罪に当たる行為がなかったと判示している。この点において、判決は事実上、検察官の起訴の誤りを示したものといえる。
関西一円の警察がゼネコンや大阪広域協と連携し、労働組合つぶしを企図して行った一連の弾圧は、実に18次のべ89人の逮捕と大阪・大津・和歌山・京都の各地裁への起訴が繰り返された。京都事件は一連の弾圧の最後に位置するものであり、検察官は懲役10年を求刑していた。
本判決の内容が示すとおり、そもそも本件起訴自体が誤っていたのである。検察・警察には猛省を促すとともに、控訴することなく早期に本判決を確定させるよう強く求める。

以上

 

MBSドキュメンタリー『労組と弾圧』
貧困ジャーナリズム大賞を受賞
MBS(毎日放送)が昨年3月に放映したドキュメンタリー『労組と弾圧~「関西生コン事件」を考える』が、貧困ジャーナリズム大賞2024の大賞を受賞。2月15日の授賞式で、制作を担当した伊佐治整ディレクター(写真)は「先行する『ここから』があるなかで、テレビ局としてやるべきことは、やはり「反対側の当事者」を取材することだと考えた」と話した。
<選評>
のべ11名もの無罪確定者を出した労働組合弾圧、関西生コン事件は、その異様さや規模にもかかわらず、マスメディアは沈黙をつづけてきた。そうしたなかで、本作は地上波で初めて、しかも渦中の関西地域で制作・放映されたことが高く評価された。先行作品として、日本の労働政策による貧困を指摘した書籍『賃金破壊』(2022年、本賞候補作、著者が審査委員だったため辞退)、ドキュメンタリー映画『ここから』(2023年貧困ジャーナリズム賞)があるが、本作は、元警視総監、無罪判決を出した裁判官、経営側、SNSによる組合へのヘイトスピーチを拡散した団体幹部などを直接取材して生々しく映像化し、先行作品の蓄積を大きく進めたことでも大賞に推された。(一般社団法人反貧困ネットワーク)
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

「TBSドキュメンタリー映画祭 2025」開催決定 
現代を取り巻く重要な社会問題を考える5作品と「戦後80年企画」の3作品が発表されました。関連記事:ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』
予告映像 ココをクリック
予告編一覧 ココをクリック

そのなかで、伊佐治整ディレクター『労組と弾圧』が上映されることが決定しました。
『労組と弾圧』
労働組合員が「ストライキして逮捕」。ミキサー運転手の労働組合「連帯労組関西地区生コン支部」、通称「関生(カンナマ)」を狙った事件。知られざる戦後最大規模の「労働事件」の真相に迫る。【予告編 『労組と弾圧』】 ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』開催概要
大 阪:テアトル梅田:3月28日(金)~ 4月10日(木)
京 都:アップリンク京都:3月28日(金)~ 4月10日(木)
名古屋:センチュリーシネマ:3月28日(金)~ 4月10日(木)
東 京:ヒューマントラストシネマ渋谷:3月14日(金)~ 4月3日(木)
福 岡:キノシネマ天神:3月28日(金)~ 4月10日(木)
札 幌:シアターキノ:4月開催
加茂生コン事件差し戻し審 無罪判決を求める署名のよびかけ
加茂生コン事件差し戻し審完全無罪判決を獲得するべく、12月17日から新たに加茂生コン事件署名活動がスタートしました。
京都事件については団体署名でしたが、加茂生コン事件については各地の要望をふまえて個人と団体の2種類の署名活動に取り組むことになりました。
「関西生コンを支援する会」は、署名活動用に加茂生コン事件とはなにかを描いたニュース号外(漫画新聞)を発行しています。
提 出 先:大阪高等裁判所第3刑事部
署名の種類:団体署名と個人署名の2種類
署名用紙は、団体署名 ココをクリック  個人署名 ココをクリック
集約と提出:第1次集約  1月末日
      第2次集役    2月末日
      最終週役      3月末日

送 り 先:〒101ー0062
      東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
      フォーラム平和・人権・環境気付
      関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
      TEL:03ー5289ー8222
関西生コン事件 仰天の現場証言~無罪の被告人と兵糧攻めされる業者
【竹信三恵子のホントの話】

デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
【MBSラジオがネットで聞けるようになりました】
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
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映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
お問い合わせはコチラ ココをクリック

 

ー 公判予定 ー

4月17日    加茂生コン事件差し戻し審   大阪高裁 10:30~
   6月 9日        大津2次事件(判決)           大阪高裁 14:30~
関西生コン事件ニュース114号 (「2.26無罪判決勝ち取ろう」韓国建設労組から連帯メッセージ ココをクリック
関西生コン事件ニュース 113([「関西生コン事件」国賠訴訟 2/18 組合側証人5人の尋問) ココをクリック
関西生コン事件ニュース 101(東京新聞「こちら情報部」) ココをクリック
東京新聞「こちら情報部」

保育園に入れるための就労証明が犯罪? 労組は反社? 逆転無罪が相次ぐ「関西生コン事件」が示す民主主義の危機 ココをクリック