関生支部の産業別労働運動(23)

人質司法 なぜ労組は狙われたのか〈Tansa〉 ココをクリック
真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】 ココをクリック
無罪!関西生コン委員長に判決【探査報道最前線】ココをクリック

「京都府における関生支部の活動経過(1)」

「ベスト・ライナー闘争」

1992年に5年9ヵ月におよんだ灰孝闘争が解決しました。
その後に京津ブロックでの象徴的な闘いとなったのが、ベスト・ライナー闘争です。ベスト・ライナー社(以下、ベスト社という)は京都生コン協組の営業本部長F氏と副理事長T氏らが主導し、労働組合対策のために設立した小型ミキサー輸送会社です。労働者を低賃金のアルバイトとして使用していました。
2002年10月、ベスト社・社長の強権支配の改善と賃金労働条件の向上を求めて11名の労働者が結集し、ベスト・ライナー分会を結成しました。
ところが、ベスト社は団交申入書の受け取りを拒否し、退職強要によって組合員全員を解雇したのです。
関生支部・京津ブロックは、京都生コン協組への申入れ、協組加盟各企業での争議行為を展開した結果、2003年4月にベスト社は組合員の解雇を撤回し、1年後の正社員化などを約束しました。
しかし、ベスト社は正社員化の約束は履行しないまま、ミキサー車を大幅に減らして営業を縮小するなど、組合員に対する兵糧攻めを始めたことから、組合員は7名に減りました。
関生支部・京津ブロックは京都生コン協組に加盟している5社との集団交渉で約束の履行を繰り返し求めるなどして2008年、正社員化と労働条件の事前協議制などについて協定が締結されました。
さらに京都生コン協組の理事K氏がベスト社の取締役に就任したことから、労働争議が終息するかにみえましたが、F氏ら京都生コン協組の反労働組合派は、経営健全化の要求にも耳を貸さず、ベスト社の仕事を干し上げ債務超過に追い込んだのです。

「山口系暴力団関係者が介入」

2012年、2月には、京都生コン協組とベスト社の代理人を名乗る山口組系の暴力団関係者が関生支部に現れ、金を出すから組合員を退職させて手を引けと迫りました。
関生支部はこれを拒否し、労働組合潰しの企業閉鎖強行に備えて24時間体制の泊まり込みを開始。同時に集団交渉参加企業で争議行為を展開しました。
関生支部・京津ブロックの迅速な行動を展開した結果、2012年6月の集団交渉において、ベスト社を黒字経営にするか、あるいは京都生コン協組が組合員の雇用責任を負うかの二者択一で解決をはかるための小委員会を設置し、2013年3月末までに解決することを確認しました。
解決の期限が近づくと京都生コン協組は1億5千万の解決金の支払いと組合員の退職を求めてきましたが、関生支部は、京都生コン協組の雇用責任の具体化を求めました。

「ストライキで闘争終結」

関生支部は京都生コン協組との協議を続けました。そして2014年3月、関生支部・京津ブロックは、春闘要求とベスト・ライナー組合員の雇用確保を掲げてストライキを打った結果、ベストライナーの組合員を輸送会社のT社に移籍させて京都生コン協組が組合員の雇用を保障することを明記した協定書が締結されたのです。
ところが、京都生コン協組が関生支部の組合員の雇用を保障するという合意事項に反労働組合派が難色を示し、協定を履行しませんでした。2014年6月、関生支部は2度にわたるストライキを展開。ようやく京都生コン協組が協定の履行を表明したことから、関生支部はストライキを解除したのです。
2014年8月26日、ベスト・ライナー組合員7名は、協定書に記された輸送会社に移籍し雇用が確保されたことで、12年間におよぶベスト・ライナー闘争は終結したのです。

私的判決論 人々の権利の実現をめざして

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)

 

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
お問い合わせはコチラ ココをクリック

ー 公判予定 ー

10月31日    国賠裁判      東京地裁(判決)   15:00~
11月18日    大津第2次事件   大阪高裁(判決)   14:30~