労働組合の権利を行使して社会を変えよう

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フィンランドでは、2024年11月からストライキが頻発しています。2025年2月はじめには、ストライキの影響で国内の主要な空港が貨物と人の輸送を停止したため、フィンエアーは約550便を欠航させました。また国営鉄道VRや地方の交通機関がストライキを行っただけでなく、主要都市の各地で公立・私立を問わず保育園も運営を停止しました。

「新政権による労働政策への反対を訴える」

このストライキは、経営者ではなく政治に向けた「政治ストライキ」で、新政権による労働政策への反対を訴えるものです。フィンランドの国営放送YLEによれば、現政権の掲げる労働政策のうち、有給でとれる病気休暇の最初の1日は賃金を支払わないこと、子どもの数に応じた失業給付の増額を廃止、そして特別な理由なく雇用者側が労働者を解雇できるようにすること、の三つが強い反発を招いています。さらに、現政権が政治的ストライキを行える期間を1日だけに制限しようとする提案も、改革案に含まれています。

「58%がストライキを支持」

フィンランド銀行総裁オッリ・レーンは、このストライキはフィンランド経済の回復と成長にとって重大なリスクになる、と懸念を表明しました。労働組合からの強い反対に、経済大臣である真のフィンランド人党のヴィッレ・リュドマンは「プロパガンダ」を主張していると強く非難しました。しかし、市場調査会社が2月に行った調査によれば、回答者の58%はこのストを支持しており、不支持35%、わからない7%を上回りました。3月下旬時点でも、支持は徐々に下がりつつある一方、過半数から支持を得ていました。フィンランド労働組合中央組織SAKによるストは1ヵ月近くも続きました。

「労働組合は職業別・産業別に組織されている」

日本の労働組合は企業別が中心ですが、フィンランドを含む欧米諸国では労働組合は職業別・産業別に組織されている場合が多いのです。全国レベルの組合が存在し、そこが強いリーダーシップをとって、使用者側と対決します。
フィンランド在住の日本人女性(40歳、社会学者)は、フィンランド全土の大学の教員と研究者を対象とする「フィンランド大学教員・研究者組合」に所属しており、「この職業別の全国組織はありがたい」と話します。

「ストのある生活を体験して、自分の感覚が変わってきた」

また、女性は「ストライキのある生活を体験して、自分の感覚がかなり変わってきたと感じる。日本に住んでいたとき、ストライキをすることはもちろん、他人がストライキをする状態も体験したことがなかった。現状に多少の不満があっても『自分が他の人より恵まれているのだから、不満を口にするのはよくない』と思っていたし、そもそも不満があったところで何をどうすればいいのかも知らなかった。そして初めてのストライキのためにバスと地下鉄が止まったときには、出勤はもちろん買い物に行くのも不便したし、子どもが習い事に行くときは、雪解け道を一緒に自転車で走った。保育園がお休みになったときは、朝早くに地域で1ヵ所だけ開いている保育園に子どもを預けに行った。その日にリモートで会議に出席していた同僚は、会議の途中でお子さんに声をかけられて中座していた」。

「ストライキは迷惑ではない」

「けれども、ストライキをするのは、働く人にではなく、その人たちがストライキをせざるを得ない状況にその人たちを追い込む、企業や地方自治体や政府の方に問題があるからではないだろうか。私がもし自分の給与が上がることを願い、病欠しても有給が保証されることを願い、自分の権利が侵害されることを嫌だと思うなら、なぜ他人のストライキを迷惑だなどと言えるだろう。だからストライキがあると不便はするが、ストライキは迷惑ではない。もちろん、自分が雇用する側であれば迷惑だろう。もし、私がリュドマンだったら、迷惑だと言ったかもしれない。けれども私は現政権の閣僚でも経営者でもないし、彼らの立場に立ってあげる必要もない」。

「困るけれども仕方のないこと」

「人権を守ることが大切だという『お題目』なら、日本でいくらでも聞いた。けれども権利を認めさせる方法を、家庭や学校や職場で、見たり聞いたり、誰かと一緒にやってみたりしたことは多くなかった。他人が権利を行使したり獲得するためにみんなで力を合わせる姿を見ることが普通なら、おそらくストライキをすることは特殊なことではなく、少なくとも『困るけれども仕方のないこと』と思えるようになるかもしれない」

「権利行使は、知識として学ぶだけでなく、集団で練習する必要もある技術」

「誰かと対立することは『怖い』ことや特殊な状況に感じられるかもしれないが、いろいろな人たちが一緒に活動していて対立しない方が不気味だし、対立することが問題になるなら、そんな関係の方に問題がありそうだ。そして、私たち個々人はとても弱いからたとえ面倒でも、時には他人と協力しないといけない。何も知らなくても、教えてもらえばできることがある。1人なら怖くてできないようなことも、他人と一緒にならできるかもしれない。権利を行使することは、知識として学ぶだけでなく、集団で練習する必要もある技術なのだろう」と学ぶだけではなく実践が必要とまとめています。

「労働基本権を活用しよう」

戦後の労働運動は、労働組合のストライキで賃上げや労働条件の向上を勝ち取ってきました。当時は、産業別労働組合が主流だったからではないでしょうか。企業別労働組合が主流となった現在、ストライキを行使する労働組合は減少しています。今の日本では、ストライキやデモを迷惑がる労働者が散見されます。
女性が話すように、「他人が権利を行使したり獲得するためにみんなで力を合わせる姿を見ることが普通」になるためには、憲法28条の労働基本権を知り、活用することが重要です。現在のギスギスした社会を変えるためにも労働組合の権利を行使しましょう。

私的判決論 人々の権利の実現をめざして

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)

 

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー

10月31日    国賠裁判      東京地裁(判決)   15:00~
11月18日    大津第2次事件   大阪高裁(判決)   14:30~