元東京高裁 部総括判事の原田国男氏は、2019年2月20日付、朝日新聞朝刊の『「人質司法」いいんですか』で、次のように述べています。

有罪判決が出ていないのに2年3ヵ月も勾留

東京高裁判事時代の8年間で逆転無罪判決を20件以上出すなど、事実認定についてはかなり厳しい姿勢で臨んだ自信があります。でも被告人への身柄拘束の問題については他の裁判官と同じ感覚でした。
保釈して被告人が逃亡したり、証拠隠滅されたりすれば、事件そのものがつぶれてしまいます。そうした事態は避けたいという意識が、一般の裁判官には強いのです。
しかし退官後、弁護士として脱税で起訴された元夫婦の弁護を担当し、それは間違いだったと気づきました。
起訴内容を否認した元夫婦は、公判開始前に検察側、弁護側の双方が争点を整理する「公判前整理手続」が終わるまで、2年3ヵ月も勾留されたのです。拘置所に面会に行くたびに「ひどすぎる」 と思いました。仮に有罪になった場合の刑期の半分以上も身柄拘束されるのです。有罪か無罪かわからない段階で、刑罰を先取りしているようなものです。
この事件の一審の東京地裁は無罪判決でした。言い渡しの際、裁判長は「長期の拘束は裁判所として反省する」と述べましたが、検察の控訴により裁判は続いています。
本来、公判前整理手続は公判の迅速化、効率化のために裁判所に協力する制度です。それが、かえって勾留の長期化を招いてしまうというのは理不尽です。
以来、私は「人質司法」を変えたいと考えるようになりました。

少しずつ変わってはいるが・・・

「人質司法」の状況は続いています。それでも痴漢事件や軽い暴行事件など、比較的軽微な事件を中心に、近年、保釈率や勾留却下率が上がる傾向にあることも事実です。
理由の一つに、最高裁が被告人の身柄拘束に慎重な姿勢を示していることがあります。2014年11月、地裁の保釈許可決定を取り消して保釈請求を棄却した高裁決定を、最高裁が取り消しました。こうした決定を相次いで出したことの現場への影響は非常に大きいと思います。
最近の刑事事件では、被疑者が黙秘権を行使するケースが増えており、自白依存の捜査が難しくなっていることが背景として挙げられます。自白を取るため長期間身柄拘束することに、合理性がなくなりつつあるのです。「人質司法」をなくすには、最高裁が身柄拘束に慎重であるべきだというメッセージをもっと出すべきだと思います。
また、長期勾留の弊害を裁判官に実感してもらうことも必要です。現在は一部の裁判官に限られている弁護士経験の研修をもっと広げて、若い裁判官すべてが経験できるようにすればいいと思います。そうすれば、長期間の勾留がいかに理不尽かを実感できるでしょう。ゴーン前会長の件を契機に「人質司法」問題への関心が高まることを期待しています。

「人質司法は許さない!」声を広げよう

この元判事は、弁護士となり実体験を通じて「人質司法」が害悪であると考えるようになったと述べています。
私たちには「長期勾留」「人質司法」を許さない世論を形成するための具体的な行動が求められています。大衆的な世論をつくるために、家族、友人、近隣の人たちへの広報宣伝から始めましょう。

「9名の仲間の保釈を勝ち取った」
関生支部弾圧をめぐる2月5日の滋賀県警による不当逮捕された仲間の保釈が認められ、3月5日時点で9名の仲間を取り戻しました。
保釈請求に集中して、結果を出していただいた弁護団に感謝します。
支援・協力していただいた労組や市民団体のみなさんに感謝します。本当にありがとうございました。
これ以降も弁護団と連携して、不当に勾留されている残りの仲間を取り戻すための取り組みを強化します。多くの仲間のみなさんには今後とも、ご支援ご協力をお願いします。
滋賀 恐喝未遂事件
第12回 公判
日時:2019年3月25日 10:00~17:00
第13回 公判
日時:2019年3月26日 13:10(変更)~17:00
第14回 公判
日時:2019年3月27日 13:10(変更)~17:00
第15回 公判
日時:2019年3月28日 13:10(変更)~17:00
場所:大津地方裁判所
大阪 威力業務妨害事件
第2回 公判
日時:2019年5月15日 10:00~
場所:大阪地方裁判所 大法廷 201
滋賀 大津生コン協組 威力業務妨害事件
第2回 公判

日時:2019年4月2日 11:00(変更)
場所:大津地方裁判所
ストライキが犯罪か!
労働組合つぶしの大弾圧許さない!
3.10集会
日にち:2019年3月10日(日)
時 間:14:00~16:00 開場:13:30
場 所:大阪市立西区民センター

労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…) 単行本 – 2019/1/30
連帯ユニオン、小谷野 毅、葛西 映子、安田 浩一、里見 和夫、永嶋 靖久(著)
内容紹介
レイシスト(差別主義者)を使って組合破壊をしかける協同組合、ストライキを「威力業務妨害」、職場のコンプライアンス違反の告発を「恐喝」、抗議を「強要」、組合活動を「組織犯罪」、労働組合を「組織犯罪集団」と言い換えて不当逮捕する警察。
いま、まっとうな労働運動に加えられている資本による攻撃と「共謀罪のリハーサル」ともいえる国家権力による弾圧の本質を明らかにする!
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