現在も政治闘争や労働争議、ビジネスの領域に根を張り続けている「ヤクザ」「暴力団」
書籍「悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治」

日本の近代は、「暴力」で彩られています。暴漢やヤクザなどの「暴力専門家」は、歴史上の事件や騒動の主役でした。「暴力がいかに民主主義を推進し、脅かしたのか」「民主主義がいかに暴力を生み出し、抑止したのか」を描いた裏面史です。

「裏の日本史」

書籍「悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治」は、民間の「暴力専門家」たちが、政治と取り結んできた密接な関係とその変転を、明治維新前から戦後におよぶ長期的な時間の流れに沿って詳細かつ大局的に論じています。「裏の日本史」とも呼ぶべきその記述からは、日本の本質が浮かび上がってきます。

「志士と博徒」

明治への移行期において大きな存在感を持っていたのは、下級武士から成る「志士」と、親分子分関係に基づく「博徒」でした。志士らは尊皇攘夷を掲げた暗殺や明治政府への反乱の担い手であり、強いイデオロギー性を特徴としていました。
博徒らは戊辰戦争にも動員されていましたが、政治の表舞台に現れるのは、自由民権運動期の民衆蜂起のリーダーとしてです。
明治憲法が発布され議会政治が始まると、政党間の抗争において「壮士」による乱暴行為が増大します。選挙権が限定されていた当時、選挙運動の場では、暴力が影響をもつ余地がありました。壮士らは雑多な出自からなりますが、外見の蛮カラさを共有しており、「大陸浪人」として国境を越える一群も含まれていました。

「労働運動を鎮圧するために『暴力団』が使われた」

20世紀に入ると政党の圧力団体である「院外団」が組織され、その中で「ヤクザ」が政治に関与するようになります。勢いを増していた労働運動や社会主義を鎮圧するために、国家主義思想を濃厚に抱く「暴力団」が、政財界の先兵として暗躍しました。
しかし、帝国議会内で暴力事件が多発するに至り、政党制は掘り崩され、敗戦後には、暴力を民主主義の敵とみなす思潮が広がり、選挙権も拡大したことにより、あからさまな暴力よりも「金の力」の有効性が増しました。
しかし、ヤクザや右翼団体は、依然として政治ネットワークの一部として、政治闘争や労働争議、さらにはビジネスの領域に根を張り続けています。

「暴力的民主主義を粉砕する闘いを」

資本や権力は、現在においても、労働運動や市民団体をつぶすために「ヤクザ」「暴力団」を使っています。私たち労働組合は、書籍「悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治」に学び、実践することが求められています。今も目の前にある「暴力的民主主義」を粉砕する闘いを展開しましょう。

※「悪党・ヤクザ・ナショナリスト 近代日本の暴力政治」著者=エイコ・マルコ・シナワ・藤田美菜子訳(朝日新聞出版)

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

ハーバービジネスオンライン
「関生事件」が揺るがす労働基本権
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関西生コン事件ニュースNo.57  ココをクリック

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挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20

業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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