関生支部第57回定期大会
湯川裕司・新委員長を選出
次の10年を見すえた世代交代を実現

10月10日、関西地区生コン支部は第57回定期大会を学働館・関生で開催。新たな執行委員長に湯川裕司さん(前副委員長。右下写真)を選出した。半世紀にわたり組織を率いてきた武建一さんは今大会で勇退した。

世代交代は数年前からの課題。昨年の定期大会以降、執行委員会、中央委員会など機関会議で議論を重ね、今回の役員選挙で実現したもの。
湯川新委員長は、新執行部を代表して、「この弾圧をなにがなんでも乗り越え、勝利していかなければならない。なにがあっても前を向いて進んでいく」と決意を披瀝した。
湯川新委員長は48歳。「関西生コン事件」では8回逮捕され、644日も長期勾留されたのち、昨年6月4日に保釈された。
なお、世代交代にともなって、新執行部の書記長には細野直也さん(40歳)が選出された。

<新三役>
執行委員長    湯川裕司   (新任)
副執行委員長 坂田冬樹   (再任)
同     七牟礼時夫(再任)
同     武 洋一 (新任)
書記長    細野直也 (新任)

大 会 宣 言

今、私たちが生きるこの社会は深刻な閉塞感に覆われている。
安倍・菅と続いた政権が行ったのは、「嘘とごまかし」「政治の私物化」であり、「仲間内への利益誘導」であった。
コロナ禍で収入が大幅に減った事業者に対して給付される「持続化給付金事業」においても、 電通が事業を請け負うための団体をつくり、そこが事業を受注し、中抜きしたうえで電通に再委託。その後、何次にもわたって再委託が繰り返されていた。電通幹部はこれを「利益率の良いビジネスモデルだ」と自慢げに語る始末だ。
コロナに感染しても入院することすらできず、「自宅療養」という名の「棄民政策」で多くのひとびとが苦しみながら死んでいる一方、権力を握った政治家たちや一部の大企業はここぞとばかりに公金にむらがり、制度を自分たちの都合のいいように変更し、この社会を食い物にして肥え太っている。
「一部の者だけが富を独占し、多数の者が貧困にあえぐ」この構図は、コロナ禍でより露骨な形で私たちの目の前にあらわれている。新たに発足した岸田政権も、「適正な分配」を謳ってはいるものの、自民党の実権を握るのは「3A」=安倍・麻生・廿利であり、その本質はこれまでの新自由主義路線と何ら変わらない。同じことが私たちの働く関西の生コン業界でも起きている。
昨年12月、近畿生コン関連協議会が西日本建設関連オーナー会との間で「モデル賃金」に合意した。 これは大幅な賃下げであり、これまで関生支部が労働者の生活向上のために闘いとってきた成果を潰す暴挙だ。ここに今回の弾圧の狙いが端的に示されている。
大阪・兵庫エリアの生コン価格はかつてないほどの高値で安定している。それにも関わらず、 その利益は生コン製造業者が独り占めし、そこで働く者や生コン輸送業者、セメント輸送業者にはほとんど還元されていない。さらに、生コン製造業者のなかでも、大阪広域協組一部執行部の経営する生コン工場のシェアが突出して高いなど大きな格差・不平等がある。「力の強い者がカネも権力も握る」社会の縮図とも言える状況が協同組合内部に存在している。
この間、大阪地裁・京都地裁で争われていた四つの弾圧事件で一審判決が出た。
いずれも、関生支部を労働組合ではなく「反社会的集団」であるかのようにとらえ、ストライキや要求行動、コンプライアンス活励といった当たり前の労働組合活動を犯罪だとする極めて不当な判決だ。私たちは自らの取り組む産業別労働運動の正当性をより広く訴え、 地裁・面裁での無罪獲得に全力を尽くす。

本日、私たちは、歴史的な一歩を踏み出した。
長きにわたり関生支部を牽引してきた武建一氏が勇退し、湯川新委員長を中心とする新役員体制を確立した。私たちは、新たな時代に、新たな陣営で闘いに臨む。
私たちは、これまでの関生支部の闘いの歴史と伝統を引き継ぎ、どんな困難に直面しようとも最後まであきらめない姿勢を堅持する。そして、自ら考え、自ら決断し、自ら行動する。 喜びも苦しみも仲間と分かち合い、ともに励まし合う。
組織と運動の飛躍に向け、組合員一丸となって闘うことをここに宣言する。

2021年10月10日

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
第57回定期大会

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ハーバービジネスオンライン
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挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20
業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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