セメント・生コン業界で産業別労働運動を展開する関西地区生コン支部(関生支部)。その生コン業界では、暴力団企業の現役ヤクザや経営者が雇うヤクザとの壮絶な闘争があります。
前回は、和歌山県の生コン業界と暴力団・ヤクザとの親密な関係を述べましたが、今回は和歌山県の建設業界のことに触れます。
「関空2期工事で参入強要未遂容疑」
「加太漁協を捜査、関空2期工事で参入強要未遂容疑/和歌山」(2003年6月18日付、朝日新聞)の記事では、「関西空港工事をめぐる下請け参入などの強要未遂事件で、海洋土木会社会長A(44)らが強要未遂で送検。これまでの調べで、A容疑者が、この工事以外でも海をめぐる事業の発注、受注会社に下請け参入などを強く求めていたことがわかっており、和歌山県警が調べを進めている」と報道されました。
この海洋土木会社会長Aは、和歌山広域協組事件の被害者とされているM理事長のことです。
「建設業者に対する建設業許可取消処分」
和歌山県知事は、和歌山県有田市の建設業者(株式会社S組)に対して、建設業法に基づく建設業許可取消処分(平成30年7月11日付)を行いました。
取消しの原因となった事実には、「株式会社S組の元和歌山営業所長は、和歌山営業所長(建設業法施工令、昭和31年政令第273号第3条に規定する使用人)であった当時、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者に該当していることが判明した。このことが、建設業法第29条第1項第2号に該当すると認められる。」記されています。
この株式会社S組の経営者は、和歌山広域協組事件で、和歌山地裁で検察側証人として証言しました。控訴審の大阪高裁の判決では、S組の証言の信用性が否定されています。
「和歌山県の生コン・建設業界には、暴力団員・ヤクザが跋扈している」
このように、和歌山県の生コン業界や建設業界には暴力団、ヤクザが深く関わっているのです。
暴対法や暴排条例が制定されて、企業への暴力団・ヤクザの介入がなくなってきたと言われていますが、和歌山県に見られるように、現在も生コン業界・建設業界には暴力団・ヤクザが跋扈しています。
暴力団は、「組」の偽装解散、ヤクザは「破門状」を周知する偽装脱退を頻繁に行います。この偽装解散や偽装脱退は、暴対法や暴排条例が制定する以前からのことで、今に始まったことではないのはご存じの通りです。
組の解散や組からの脱退が本当なのか、市民にわかるはずがなく、警察もよくわからないのが実情です。
暴力団・ヤクザは、自らの利益のみに行動します。企業の陰に隠れていても自分の利益が損なわれることになると、対象者やその家族に対して脅迫などの攻撃を露骨に行います。
労働組合を嫌う経営者が、労働組合をつぶすために、暴力団員・ヤクザに依頼したり、企業に雇い入れたりするなどの行為は、現在に始まったことではないのは周知の通りです。
「関生支部の歴史は、ヤクザとの闘いの歴史でもある」
武谷書記次長が被告人質問で証言した「片岡分会事件」「高田分会事件」以外にも、「2007年、関生支部の分会長に傷害を負わせたり、関生支部の街宣車を特殊警棒を用いて窓ガラスをたたき割った現役暴力団」(斎藤建材・バニッシュ事件)を含めて、近畿2府4県では労働争議をめぐる関生支部とヤクザとの闘いがあります。引き続き、「関西地区生コン支部『ヤクザとの闘い』」を掲載していきます。
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。
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関西生コン 作られた「反社」労組の虚像【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで組合員の苦悩、決意を竹信三恵子さんが詳しく紹介されています。
動画 動画閲覧できます ココをクリック
ー 公判予定 ー
5月11日 京都3事件 京都地裁 |
(4/26 中止となりました) |
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5月22日 フジタビラ事件 大津地裁 | 9:45~ |
関西生コン事件ニュース No.88 ココをクリック3月29日発行 関連動画 「関西生コン事件」報告集会 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.87 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.86 ココをクリック
賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み) 1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。 そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。 業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。 なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。 迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 :
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】 竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
第 10 回「日隅一雄・情報流通促進賞」の特別賞を受賞 詳しくはコチラ
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