関生支部の産業別労働運動⑬

「申出は民事的・刑事的にも、何ら非難されるものではない」

2014年改正の行政手続法36条の3第1項は、「何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。」としました。これは、法令違反行為について、一般人からの申出を行政庁又は行政機関の権限行使の端緒とするためのものです。「何人」とあるように、「申出」を行うために「法律上の利益を有する」などの用件は不要とされています。関生支部の品質その他の分野における生コン業者等の法令違反行為の担当行政機関への申告、申出等は、まさに法令違反行為について行政機関の権限行使の端緒となるものなのです。申出自体は民事的にも、刑事的にも、何ら非難されるものではないのです。

「高い販売価格/朝日新聞」

1994年11月4日、大阪、北大阪阪神、東大阪、阪南地区の4つの生コン協同組合が合併して、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域生コン協組)が設立されました。大阪広域生コン協組の設立に至る経過は次の通りです。
1994年1月12日付け朝日新聞滋賀版は、「不透明の構図/県政の足元で」「高い販売価格」「公共工事も高い買い物」等の見出しで、滋賀県の湖東生コン協同組合(湖東協)の維持している生コン価格が高すぎるという論調の記事を掲載しました。この記事はこの頃流行した消費者のためには価格は安ければ安いほどよいとの漠然とした、また、市場原理と相容れないという「協同組合」一般に対する否定的な認識と共通するのがあります。
これに対しては、関生支部が「事実関係と異なっている」と抗議しました。その結果、朝日新聞は同年3月14日、市況調査をふまえて「不況・安売り競争・・・協組方式崩れ/生コン業界がけっぷち」という見出しの記事を掲載しました。
1994年2月1日現在のセメントはトン当たり9600円で、生コン1立方メートルあたりの標準価格は1万3340円でした。これに対し、湖東協は出荷ベースで「1万2900円」にまで値戻しをしました。これでも原価割れをしています。1月12日付け朝日新聞は、それでも「高い販売価格」であると非難したのです。

「通産省が応援すると約束、大阪府との交渉」

このような状況の生コン産業が苦境から脱するため、関生支部は1994年4月2日、五十嵐広三建設大臣に業界再建等の必要性を訴えました。その結果、同年3月2日、近畿地方建設局との交渉を実現させることができたのです。また、4月27日には各労組及び協同組合代表と近畿通産局との交渉を行ったのです。
同年7月14日、通産省の富田窯業建材課長が、「広域協組設立」について可能な限り応援すると発言しました。
同年8月9日、生コン産業政策協議会(関生支部、交通労連生コン産労、全港湾大阪支部)と大阪広域生コン協組設立準備委員会の代表が大阪府と交渉しました。生コン産業政策協議会は大阪府に対し、「適正価格なくして安定供給・品質保証は不可能であり、当面、少なくとも17年前の価格に積算価格を見直すこと」「価格動向を無視した長期計画を改善し、少なくとも6ヶ月単位程度の期間契約方式にするよう具体策を検討すること」「過去、東大阪地区協組等でなされたゼネコンと一部商社による不法・不当行為が発生しないよう万全なる対応策を検討すること」を求めました。

「大阪広域生コン協組との一面共闘」

以上の経過により、大阪地区では生コン業者の協同組合は一本化し、セメントメーカーやゼネコン等に対して対等な立場に近い状態で交渉する力を獲得しました。
大阪広域生コン協組は、中小企業等協同組合法が定める団体交渉権を行使し、大企業と対等な立場で団体交渉を行い、価格などについての団体協約を締結しうることが可能になったのです。
また、関生支部としては従来からの一面共闘の方針に基づき、大阪広域生コン協組の大企業との交渉などについても側面から支援する方針に変わりはありません。
大阪広域生コン協組の設立と関生支部など労働組合との連携は、大阪地区におけるセメントメーカーやゼネコン等の大企業にとっては極めて大きな脅威となりました。ただ、適正な利益配分を行うのであれば、大企業は大阪広域生コン協組と対等な立場で取引を行い、双方とも適正な利潤を上げる範囲で価格等の設定を行うことにより、企業の健全性は何ら損なわれるものではないはずです。
しかし、利潤追及を至上命題とする大企業にとって、個別企業としては弱小の生コン業者が集団となって対等な立場で取引を求めてくることは本来許されないし、まして、大阪広域生コン協組の大企業に対する取引に、関生支部などが側面支援することなど絶対に許されないことと考えたのです。これが刑事事件(弾圧)の大きな背景事情なのです。

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