「持続可能性に配慮した調達コード」に係る通報の通知

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関生支部は万博協会(咲洲庁舎)に「持続可能性に配慮した調達コードに係わる通報」を2024年2月から7回にわたる通報を行ってきました。
万博協会から関生支部に、2025年1月23日付けの「通知」(回答)が届きました。

「持続可能性に配慮した調達コードに係る通報の通知」

万博協会からの通知は、『「持続可能性に配慮した調達コード」に係る通報(2024年9月17日付受理)の通知』2025年1月23日 連帯ユニオン関西地区生コン支部様 通報者:全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 武谷 新吾 様 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」と題した文書です。

「処理手続を開始しない決定」

通知の内容は、次の通りです。
関生支部の「持続可能性に配慮した調達コード」に係る通報「建設資材を製造する会社における不当労働行為に関する申し立て」(2024年9⽉17日付受理)については、博覧会協会が設置する通報受付事務局では処理手続を開始しない決定がなされたことをお伝えする。
今回の通報を受けて、博覧会協会は、通報対応アドバイザリー会議の助言を受けながら、通報処理手続きを開始するか判断するため情報収集ならびに対応を進めてきた。関生支部に対しても、追加の情報開示依頼に対応いただき、協力に感謝する。

「調達物品等にかかるサプライチェーンの情報収集を行った」

通報処理手続き開始には「博覧会協会又はパビリオン運営主体等が調達する調達物品等に関する案件であり、且つ、調達コードが適用される調達物品等に関する案件であること」を満たす必要があることから、事実関係の確認のため調達物品等にかかるサプライチェーンの情報収集を行った。
なお、本情報収集にあたっては、「持続可能性に配慮した調達コードに係る通報受付対応要領」に基づき、調達コードの不遵守に関する通報の迅速かつ適切な解決に向けて、必要な対応を公平かつ透明性をもって実施することを目的として設置された通報受付対応事務局が主体となり、通報受付対応の運用の中立性・公平性を高めるため設置された通報対応アドバイザリー会議にて協議を行った。通報対応アドバイザリー会議での助言をもとに、博覧会協会はサプライヤー等に対し、調達物品等にかかるサプライチェーンの情報収集を行った。

「情報収集と検討の結果」

博覧会協会又はパビリオン運営主体等が調達する調達物品等に関する案件であり、且つ、調達コードが適用される調達物品等に関する案件」に該当するかについて、以下の情報収集と検討を行った。
• 通報フォームにて、現実に生じた負の影響として記載されているのは「2018年11⽉18日付けの関生支部組合員の懲戒解雇」であり、本件はこの懲戒解雇を起因とした事案である。2018年の時点では「博覧会協会又はパビリオン運営主体等が調達する調達物品等に関する案件」に係る建設工事は開始されていない。また、通報フォーム3(3)に記載の係争当時及び関生支部組合員が2017年12月12日にストライキに参加したことにより所属会社(N社)から懲戒解雇を受けた2018年11月18日当時、博覧会協会又はパビリオン運営主体等が調達する調達物品等の製造は行われていない。したがって、2018年の懲戒解雇を起因とした事案については、調達コードが適用される調達物品等に関する案件には該当しないことは明らかである。

「被通報者、大阪広域生コン協組」

• 一方、本件は2018年11月18日付けの懲戒解雇により負の影響を受けたとされる関生支部組合員ではなく関生支部副委員長名による通報である。通報者は2018年のN社による懲戒解雇が起点でその後係争が継続し、N社が所属する大阪広域生コンクリート協同組合(以下「大阪広域生コン協組」)が大阪府労働委員会不当労働行為救済申立事件への命令不履行であることをもって、本件の被通報者を大阪広域生コン協組としている。生コンは発注者が作成する仕様書に基づき協同組合が納入先企業を割り振る慣習があることから、大阪広域生コン協組が博覧会協会又はパビリオン運営主体等が調達する調達物品等のサプライチェーン上の契約主体にあり、かつ、大阪広域生コン協組が万博会場のために調達する生コンの調達先にN社がいる場合、本件は「博覧会協会又はパビリオン運営主体等が調達する調達物品等に関する案件」であると判断される。しかし、以下の通り、博覧会協会による情報収集や通報者に対する照会の結果、大阪広域生コン協組が万博会場のために調達する生コンの調達先にN社がいることを示す情報を確認することができなかった。

「ゼネコン8社及び民間パビリオン運営主体14社に対し情報開示依頼を行った」

・ まず、博覧会協会は生コンの調達状況にかかる情報収集(博覧会協会と直接契約する工事事業者、生コン調達組織、民間パビリオン運営主体等)を行った。
情報収集の結果、協会発注大型工事を受注するゼネコン8社及び民間パビリオン運営主体14社に対し情報開示依頼を行ったところ、いずれも当該⼆社(N社)は含まれていないとの回答であり、以下の事実からその回答は信頼できる。
・ 協同組合との取引は会社によって商社・販売店経由で行う場合等様々であるが、いずれの場合においても、各ゼネコンは生コンを使用する躯体工事に先だち、設計図書の仕様に合致した生コンの「配合報告書」を作成する。配合報告書には生コンを納入する事業者(プラント)の生産能力やJIS規格品である旨を明記する必要があるため、配合報告書を確認することで納入先となるプラントを確認できる。
・ 工事で使用される生コンは配合報告書に記載される仕様を満たす必要があることから、プラントでの材料練り混ぜから現場での打設まで、厳格にオープンタイムが決められている。セメント・生コンクリート業界によると、このオープンタイムは、プラントでの材料練り混ぜから現場での打設までにかかる時間をおおよそ90分としている。そのため、プラントから打設場所(すなわち、万博会場)まで交通事情を加味し搬送時間が30分以内のプラントが選定される必要がある。したがって、配合計画書に記載された情報より生コン製造会社を特定することが可能である。N社の所在地から万博会場までミキサー車による搬送時間が30分以上であることから、万博会場に納入される生コンの調達先にN社が含まれる可能性は低いと判断される。
・ また、被通報者が開示した万博会場に生コンを納⼊する工場⼀覧にも、N社は含まれていなかった。
・ さらに、2024年12月16日に通報者より受領したメールにおいても、N社が万博会場の建設現場に生コンの納入や搬入をしているかは不明との説明があった。また、N社は大阪府茨木市に所在しており、製造から納入まで1時間30分の制約がある生コンの納入は困難なことかからN社が万博会場の建設現場に生コンは納入していないと考えられる、とのことであった。
・ 一方で、通報者は、2024年12月16日付のメールで、N社は「Nグループ」を形成しており、「Nグループ」は、N社の他に、O社(セメント・生コンの販売店、大阪広域生コン協組の⼀次販売店→大阪広域生コン協組)、N社尼崎工場(大阪広域生コン協組加盟社)、W社(大阪広域生コン協組加盟社)にて形成されており、このことから、ステークホルダー、サプライチェーンに関わっていると主張した。
・ しかし、通報者からは「Nグループ」の企業がサプライチェーンに関わっていると主張する根拠は何ら示されておらず、むしろ、博覧会協会のサプライヤー等から開示された万博会場に納入する生コン工場には、Nグループを形成するO社、N社尼崎工場、W社は含まれていなかった。
• 以上より、本件は調達コードが適用される「博覧会協会又はパビリオン運営主体等が
調達する調達物品等に関する案件」には該当するとは判断できない。

※ 持続可能性に配慮した調達コード(第3版) 5担保⽅法 (6)取組状況の記録化の「サプライヤー、ライセンシー及びパビリオン運営主体等は、特に調達物品等を製造(組立・仕上段階)及び保管する施設(当該施設がサプライチェーンのものである場合を含む。)の名称及び所在地について、博覧会協会の求めがある場合に提供できるようにしておかなければならない。」という記述に基づき協力を要請。

「通報に真摯に取り組む博覧会協会」

本件について、博覧会協会が設置する通報受付事務局では処理手続を開始しない決定がされたことは残念でした。しかし、博覧会協会は、国連ビジネスと人権に関する指導原則とSDGsを実践し、調達物品等にかかるサプライチェーンの情報収集やゼネコン8社及び民間パビリオン運営主体14社に対し情報開示依頼して回答を得るなど、適切なプロセスを経て真摯に取り組んだことは評価できます。
7回にわたる通報に面談も行うなど真摯に対応してくれた、持続可能性に配慮した調達コードの担当者に感謝します。

「市政外のため回答できない=人権侵害に寛容なのか」

地方自体は、労働組合らの「人権侵害を許さず、人権を確保する実施について」などの要請に対して、博覧会協会が実践するプロセスを学ぶべきではないでしょうか。サプライチェーンやステークホルダーからの情報収集や聞き取りをすることで、企業における人権侵害の抑止力が期待されます。大阪市や奈良市のように「市政外のため回答できない」との回答は、人権侵害に寛容と見なされるのではないでしょうか。

「新たな事案で通報を行う」

今後も関生支部は、新たな事案で「持続可能性に配慮した調達コードに係わる通報」を行います。博覧会協会の担当者の方には、引き続きよろしくお願いします。

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー

10月31日    国賠裁判      東京地裁(判決)   15:00~
11月18日    大津第2次事件   大阪高裁(判決)   14:30~