関生支部の産業別労働運動㉖
「京都府における関生支部の活動経過(4)」
「生コン価格の値戻し実現と春闘要求が解決」
2013年から2016年までの京都生コン協組との春闘交渉では、経済要求の賃上げなの回答はありませんでした。
ベスト・ライナー争議で京都生コン協組と対立していたこともありましたが、京都地域の各生コン業者はダンピング競争(生コン価格の値下げ)により、労働者の賃上げができる状況ではありませんでした。経営者らは口をそろえて生コン価格の値戻しが実現したら賃上げすると発言していました。
「月額5万円の賃上げ」
 2016年春闘は、生コン価格の値戻し実現への見通しがついたなかで開催されました。関生支部・京津ブロックは、生コン価格の値戻しが実現したのだから、労働者の賃上げを求めました。
2016年春闘は、生コン価格の値戻し実現への見通しがついたなかで開催されました。関生支部・京津ブロックは、生コン価格の値戻しが実現したのだから、労働者の賃上げを求めました。
その結果、2013年から2016年まで未解決だった春闘要求をすべて解決することとなったのです。
2016年春闘は団体交渉を何度も重ねたことで、2017年に妥結しました。合意内容は、2013年にさかのぼって、毎年月額1万円ずつの賃上げを遡及して支払うこと。これは、2017年には月額5万円の賃上げが実施されることで、2013年から毎年1万円ずつ賃上げが成立していたとする大きな成果をあげたのです。
「定年延長、人員補充の要求も実現した」
経済要求のみならず、他の要求も前進しました。一つは長年の課題であった60歳から65歳への定年延長。京都生コン協組の集団交渉参加企業では2016年春闘において、「60歳定年退職後から65歳に達するまでの賃金は一切引き下げることなく、100%支給する」ことが合意されました。また、各分会(職場)における人員補充(組合が推薦する労働者を雇用する)も2016年を起点に、次々と実現していったのです。
「滋賀県大津地域の生コン価格の値戻し」
大津生コン協組は長年、労働組合と距離を置く姿勢を取ってきましたが、関生支部の産業別運動・生コン産業政策を関生支部・京津ブロックが大津地域で展開したことによって、滋賀県の生コン業界の体質が改善されました。
関生支部役員と生コン企業の代表者が、出荷の不公正を是正するために折衝を重ねた結果、大津生コン協組内の人事が刷新されました。
また、滋賀県生コン工業組合の人事は各地域の協組から選任される配置になりました。そして、2017年3月には、生コン協組と労働組合の協力関係を確立し、生コン産業政策を推進する体制が確立されたのです。
2017年10月より、生コンの販売価格は1万4200円/㎥から、1万7700円/㎥に価格を改定し、その生コン価格が収受されることになりました。
「圧送業界の産業政策運動」
 関生支部・京津ブロックは、京都地域、滋賀地域における生コン価格の値戻しと平行して、圧送(ポンプ)業界への産別運動を推進しました。
関生支部・京津ブロックは、京都地域、滋賀地域における生コン価格の値戻しと平行して、圧送(ポンプ)業界への産別運動を推進しました。
2014年から京都地域が近畿生コンクリート圧送協同組合(近圧協組)による共注エリアになったため、関生支部・京津ブロックがアウトの圧送業者に協同組合加盟促進運動を展開したのです。
その結果、多くの圧送業者が近圧協組に加盟したことで、滋賀から京都において、安値乱売を行う圧送業者に影響をおよぼすことになったのです。
その後もアウト業者の近圧協組加盟が相次ぎましたが、関生支部・京津ブロックは、一部のアウト圧送業者への働きかけと近圧協組の体質改善に「一面闘争・一面共闘」を実践したことで圧送業界の産別運動が大きく前進したのです。

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)
真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】
 ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国
勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに
 映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たちこの映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー
| 10月31日 国賠裁判 東京地裁(判決) | 15:00~ | 
|---|---|
| 11月18日 大津第2次事件 大阪高裁(判決) | 14:30~ | 
