関生支部に結集して闘い、産業別労働条件を取り戻そう
関西のセメント・生コン業界では、近畿生コン関連協議会(建交労・関西支部、連合・生コン産労、UAゼンセン・セメント労組など労働団体)と一般社団法人西日本建設関連オーナー会(セメント・生コン関連の企業団体)が昨年12月24日、賃金・労働条件の引き下げを合意しました。
「年間賃金の引き下げ」
近畿生コン関連協議会(協議会)と一般社団法人西日本建設関連オーナー会(オーナー会)が合意した内容は、「オーナー会に加盟する企業の新規採用者の『産業別モデル賃金』として、『18歳=245万円、22歳=340万円、30歳=370万円、40歳=400万円、50歳=500万円、60歳=550万円(年収)』」としています。
この合意事項は、大阪兵庫生コン経営者会(※1)と関西生コン関連労働組合連合会(※2)が2017年に合意した産別賃金「年間所得630万円(22歳)」を大幅に下回っているものです。(モデル賃金表PDF)
※2.関西生コン関連労働組合連合会=関生支部、全港湾、建交労、生コン産労、UAゼンセン、圧送労(2017年当時)で構成している労組連合会
「退職金も減額」
また、退職金の支払額も引き下げられています。オーナー会と協議会の合意では、入社4年目にしてようやく50万円が支払われ、勤続10年で100万円、勤続20年で400万円、勤続30年で800万円、勤続38年以降1000万円で頭打ちになっています。
関西地区生コン支部の退職金協定では、入社して勤続1年で支払われ、勤続5年で72万円、勤続10年で250万円、勤続20年で660万円、勤続30年で1016万円、勤続35年で1170万円です。
「年間休日も減らされ、完全週休二日制が崩された」
さらに、オーナー会と協議会の合意では、年間休日は「105日」としており、1996年春闘の集団交渉(※)で合意した、年間休日「125日」(完全週休二日制)を20日間も下回っています。
大阪・兵庫の生コン工場の土曜日稼働については、「労使事前協議制」が集団交渉で締結されていました。しかし、現在は事前協議が無視されて土曜日稼働が常態化になっています。
土曜日の稼働は、ゼネコンへの過剰サービスとなり大企業が利益を得ることにつながります。年間休日を減らして週休二日制を廃止することは、年間総労働時間を上回るという違法性につながるのです。
「産別運動つぶしの弾圧が成果を無きものに」
2005年の関西地区生コン支部への大弾圧(第2次弾圧)の時に「連帯(関生支部)の時代は終わった。これからは建交労の時代だ」とセメント資本の有力な経営側が表明したことから、2005年と2006年の賃上げはゼロ回答。また、労使の事前協議なく土曜日稼働を行い週休二日制を崩しました。さらに、セメントの値段を3回値上げした一方で、生コンの価格は引き下げられたのです。セメント・生コン業界における関生型産別運動で勝ち取った成果が大きく後退させられました。これらのことを建交労とUAゼンセンは黙認したのです。
「ストライキなどの行動で、失った成果を再獲得」
しかし、武建一・関生支部執行委員長が2006年11月に保釈されると同時に、有力な生コン企業タイコー本社前で決起集会の開催を起点に反転攻勢に挑み、2007年春闘では、ストライキを背景に闘った結果、賃上げを実現しました。
さらに、土曜日稼働の廃止、セメントの値上げ阻止、生コン価格の引き上げなど求めて、2010年には、4ヵ月半に及ぶストライキを打ち抜きました。
そして、2015年には、阪神地区生コン協組、レディーミクスト協組、有力なアウト(協組員外社)企業が大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域生コン協組)に結集するという大同団結を実現したのです。
4つの勢力が、大阪広域生コン協組に大同団結したことにより、2015年当時、1万円(1立方メートル)を下回っていた生コン価格は、現在(2020年時点)21800円(標準価格)になっています。
「ブラック企業の集合体」
1982年の大弾圧(第1次弾圧)の時に見られるように、歴史的に建交労らは中小企業と労働者の利益を擁護する産業別運動の闘争を妨害してきました。
オーナー会は、大阪広域生コン協組に加盟している未組織企業(労組がない企業)が多く参加している大阪広域生コン協組の労働部門です。
オーナー会・大阪広域生コン協組は、レイシスト(在特会ら)と共同して関生支部事務所を襲撃したことが刑事事件に発展し、レイシストらの逮捕や大阪広域生コン協組事務所に大阪府警から強制捜査を受けています。
また、関生支部の組合員が所属する生コン企業には、生コン出荷の割り付けを行わないという仕事を干す行為や、原料のセメントや材料の骨材の納入をストップするよう圧力をかけて営業を困難にしているのです。
これらの行為は、独占禁止法、労働組合法に違反してるのは明らかであり、ブラック企業の集合体となっているのが、オーナー会・大阪広域生コン協組なのです。
「関生型産別運動つぶしが明白になった」
今までの労使協定を破棄して、賃金・退職金・年間休日の引き下げ、週休二日制を崩す土曜日稼働など、労働者・労働組合が中小零細企業と一面共闘で、大企業の収奪を許さない闘いで獲得してきた成果を無きものにしています。
今回の資本と権力が一体となった弾圧(第3次弾圧)は、労働条件の改悪とセメントメーカーや大手ゼネコン、大手商社など大企業の利益を擁護することを狙った「関生型産業別労働運動つぶし」が明白になった事柄です。
「関生支部に結集して、産業別労働条件を取り戻そう」
現在、大阪・兵庫の生コン価格は、2015年当時の約1万円から、21800円と2倍超になっており、オーナー会・大阪広域生コン協組に加盟している企業には、賃上げや労働条件の引き上げが可能な原資があるのです。
関西のセメント・生コン関連企業で働く労働者のみなさん、関西地区生コン支部に結集して、賃金の引き上げや、正社員化を求め、「産別賃金、産別雇用、産別福祉」などの産業別労働条件を取り戻すために闘いましょう。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
「関生事件」が揺るがす労働基本権
<労働裁判が働き手を素通りするとき> ココをクリック
日刊深夜快速Vol.3551/水曜版・週刊大石ちゃん自由自在(仮)~関西生コンスペシャル・前編~ ココをクリック
日刊深夜快速Vol.3558/水曜版・週刊大石ちゃん自由自在(仮)~関西生コンスペシャル・後編~ ココをクリック
641日勾留された武委員長が語る
「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか』
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一
amazonでも購入できます。ココをクリック