関生弾圧「国賠訴訟」前段集会&第3回公判、東京地裁
関生支部への権力弾圧をめぐる、関生支部の組合員らの逮捕・勾留・保釈条件などの違法性について、全日建中央本部と関生支部湯川委員長ら3人が国・和歌山県・滋賀県・京都府に対して損害賠償請求している公判が3月10日、東京地裁で開かれ、前段集会(主催、平和フォーラム・関生を支援する会)と公判の傍聴に40人を超える仲間が結集しました。
「公判前の集会を共に闘おう!」
東京地裁前の前段集会は、平和フォーラム・関生支援の会・勝島さんの司会で開会。勝島さんは「本日は、全日建と関生支部らの原告が、国・和歌山県・滋賀県・京都府を相手に、憲法違反の国賠訴訟を提訴した第3回口頭弁論だ。公判前の集会を共に闘おう」と提起しました。
「刑事は守りだが、国賠訴訟は攻めだ」
関生支援の会・共同代表の内田弁護士は「関生の刑事裁判では、3月2日は不当判決が出され、3月6日は無罪判決が出された。大阪高裁は、産業別労働組合活動が本来のあり方と理解を示すものだった。一方、大津地裁では、求刑8年と異常なものに対して、実刑4年の判決。しかも、被告人らは手荷物検査まで受けさせられた。なぜ、労組のコンプライアンス活動が犯罪になるのか、この不当判決に憤りをかくせない」と大津地裁の不当判決を厳しく糾弾。
そして、内田弁護士は「刑事裁判は守りだが、国賠訴訟は攻めだ。国賠訴訟において、関生弾圧のなかで、どんなことが起きたのか、警察・検察を曝く重要なものだ。民事は外から見えにくいことから、みなさんにも参加してほしい」と挨拶しました。
「検察官による組合脱退勧奨の取調映像の上映を法廷で!」
全日建中央本部・小谷野書記長は「2020年3月に提訴した国賠訴訟に、京都府・滋賀県・和歌山県が、関西で審理してくれと移送を申し立てた。予断と偏見を持っている関西の裁判所ではできないとのやり取りで、9ヵ月間も要したが、3府県の申立は却下された。焦点は、検察官による組合員への脱退勧奨だ。大津地裁の公判で明らかとなった黙秘権を行使する組合員に検察官が『今が(組合脱退の)チャンスだ。連帯(関生)を削る』などの取調べの映像を法廷で上映することを求めているが、裁判所は保留と言っている。みなさんには、ぜひ、取調べ映像を法廷で上映せよ!との声を上げて欲しい」と訴えました。
「関生支部は、反撃に闘っている!」
弁護団の海渡弁護士、太田弁護士から国賠訴訟の解説とこの間の経過、今後の方針などが示されました。
原告の関生支部湯川委員長は、日頃の関生支部弾圧への支援のお礼を述べたあと「大津地裁の判決当日、所持品検査があったことで不当な判決が出されると思った。判決理由は、検察側の主張を全面的に認めた内容であり、実刑4年の判決には怒りを通り越し笑えるものだった。拘置所の4泊5日の勾留では、ゆっくり眠ることができ、3月6日に再保釈が決定し活動に復帰した。生コン業界には暴力団関係者が多数おり、関生の先輩たちが体を張って、企業が雇った暴力団と闘ってきた歴史がある。和歌山事件に見られるように、武谷書記次長が元暴力団から脅されたことを法廷で証言すると、検察側から必死に異議が発せられる。労働争議の解決金が恐喝、労働組合の抗議行動が威力業務妨害などの事件化に対して、裁判所は憲法や法律の観点をしっかり見てほしい。和歌山事件の大阪高裁は翌日、判決文を被告側に提出したのに大津地裁は、本日の時点で未だに判決文を提出しない。国賠訴訟では、裁判官に予断と偏見を持たず、3府県からの移送申立を却下した東京地裁には公正な審理と判断を求める」と発言。最後に、湯川委員長は「関生支部は、反撃するため闘っている。引き続きの支援をお願いする」と訴えました。
「関生支部の産別運動が正しかったことが証明された」
続いて、原告からの発言。関生支部・武谷書記次長は、和歌山事件の控訴審で大阪高裁が無罪判決を出したことを報告し「弁護団の奮闘と尽力、そして、仲間のみなさんの支援行動が無罪を勝ち取った。正当な組合活動は、暴力を伴わない限り、違法性が阻却されるという判決理由は、憲法28条や労働組合法、産業別労働組合の活動・行動を裁判所が認めたものであり、これを活用することが私たちに求められている。滋賀、京都の事件の無罪判決を勝ち取るために全力をつくす。引き続き支援を願う」と決意を表明しました。
関生支部西山執行委員は「関生弾圧により、関西の生コン業界では、経営側の利益はあがり儲かっているのに、生コン労働者の賃金は下がり続けている。また、昨日、京都の生コン業者が粗悪な生コンの原因となる『加水』が発覚したと報道されている。これらのことは、生コン業者との一面共闘の協同組合運動や、生コン業者団体との集団交渉、阪神淡路大震災を教訓にした粗悪な生コンを製造させないコンプライアンス活動など、近畿2府4県における関生支部の産別運動が正しかったことが証明されたもの。国賠闘争の勝利に全力をつくす」と関生支部の産別運動の正当性を訴えました。
「江戸で関西の敵を討とう!」
弁護団の小川弁護士が集会のまとめ。小川弁護士は「大阪高裁で無罪判決を勝ち取った大阪の弁護団の奮闘に敬意を表す。私たちは、この成果を持って国賠訴訟で反撃しなければならない。国らの責任を追及し、江戸で関西の敵を討とう!」と決意を表明しました。そして、集会に参加した仲間は、東京地裁大法廷に移動しました。
「第3回公判、口頭弁論」
公判では、冒頭、意見陳述を関生支部湯川委員長が口頭で述べました。湯川委員長は「❶2021年10月の組合定期大会で新たな執行委員長に選出されたこと。❷和歌山広域協組事件の控訴審で大阪高裁が3月6日、1審和歌山地裁の判決を破棄し、3人の被告人を無罪とする判決を出したこと。❸3月2日、コンプライアンス活動事件の大津地裁の重罰判決の不当性。❹関生支部の労働組合活動の正当性の判断が、二つの裁判所で違っていること」など、関生支部への刑事弾圧について具体的かつ、詳細に陳述しました。
最後に、湯川委員長は「私は裁判所がぜひとも大津地検の検事たちの取調べ録画を取り寄せて、この法廷で再生し、裁判官自身の目と耳で、刑事弾圧の実態を直接に確かめてほしいとお願いしたい」と訴えました。
「わかりやすい弁護団からの弁論」
弁護団の弁論では、海渡弁護士から「労働法-吉田教授意見書に基づく準備書面について」、木下弁護士から「被疑者・被告人の逮捕・勾留、被告人の保釈条件、および法的問題に関する意見」、小川弁護士から「国際人権法-申教授の意見書の紹介」がパワーポイントを用いて法廷で展開されました。
裁判長が被告側の意見がないことを確認して、本日の公判は閉廷しました。
「結集した全国の仲間に感謝します!」
本日の集会・公判傍聴に結集してくれた全国の仲間のみなさんに感謝します。関生支部は、滋賀・京都の刑事事件の無罪を勝ち取り、国賠訴訟に勝利するために全力をつくします。引き続きのご支援をお願いします。
速報 3月6日行われた和歌山事件大阪高裁公判で出された無罪判決について、検察は上告を断念。無罪が確定しました
3月15日 関西生コン事件ニュース87号 更新しています
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み) 1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。 そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。 業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。 なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。 迫真のルポでその真実を明らかにする。
目次 :
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
【著者紹介】 竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
第 10 回「日隅一雄・情報流通促進賞」の特別賞を受賞 詳しくはコチラ
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