不当労働行為救済命令取消請求事件、第1回弁論

和歌山県の生コン経営者が暴力団関係者らを使って、関生支部の組合活動を妨害したり、組合員を脅したことに対して、関生支部の役員らが抗議と謝罪を求めたことが、強要未遂罪、威力業務妨害罪とされた事件の控訴審判決で無罪判決が出されました。

「大阪府労働委員会に救済申立」

関生支部は、無罪判決の確定(23年3月)を受けて和歌山県広域生コン協組の代表理事丸山克也に対して、暴力団関係者らの活動の事実経過を明確にしたうえで、関生支部に謝罪することを求めた団体交渉を申し入れましたが和歌山県広域生コン協組がこれを拒否したことから、大阪府労働委員会に不当労働行為救済(団交拒否)を申し立てましたが、大阪府労働委員会は、「棄却」(24年5月31日付け)の判断を出しました。

「大阪地裁に命令取消請求訴訟」

関生支部は、大阪府労働委員会の救済申立棄却を受けて、24年11月12日、大阪地裁に「不当労働行為救済命令取消請求」を提訴しました。

「第1回弁論」

本事件の第1回弁論が1月27日、大阪地裁809号法廷で開かれました。出席者は、原告の中島光孝弁護士と傍聴席に武谷副委員長、安井執行委員、西島執行委員。被告は大阪府の2人と弁護士。補助参加は、小寺弁護士と他1人の弁護士。
裁判長から、訴状や答弁書、書証の確認が行われたあと、訴状の認否・反論を補助参加が書面で提出するなどのやり取りが行われました。
そして、次回期日を3月24日(月)16時から、書面の提出期限は3月17日と決定して本日の弁論は終了しました。

※和歌山県広域生コン協組事件とは
「事実経過と謝罪を求めた団体交渉申入」
関生支部と和歌山県広域生コン協組とは「労働関係上の当事者」の関係にあることが2023年3月6日、大阪高等裁判所第1刑事部が言い渡した判決によって確認され、同判決が3月20日をもって確定したことから、関生支部は和歌山県広域生コン協組の代表理事丸山克也に対して、「2017年8月18日、当労働組合事務所周辺でTおよび暴力団関係者のHらが当事務所に出入りする人物などに対して監視活動を行った事実経過を明らかにし、かつ、当労働組合に謝罪すること」との要求項目を記した団体交渉申入書(23年4月21日付)を送付しました。
ところが和歌山県広域生コン協組は「当協同組合は、貴組合との関係で労働組合法上の使用者には該当せず、貴組合と団体交渉する立場にありません」などと記した回答書を関生支部に送付してきました(23年4月27日付)。
この回答書に対して関生支部は、再度(同5月8日付)、再々度(同5月17日付)団体交渉申入書と団交拒否の抗議書を和歌山県広域生コン協組に送付しましたが、何の返答もしない不誠実な対応に終始しました。

「業界企業団体への団交応諾義務の認定をめざす」

関生支部は、大阪高裁の判決で確認されているように「産業別労働組合である関生支部は、業界企業の経営者・使用者あるいはその団体と、労働関係上の当事者に当たるというべき」との判決文を根拠に、和歌山県広域生コン協組は関生支部の組合員を雇用していなくても関生支部の団体交渉に応じなければならない、だから、和歌山県広域生コン協組の代表理事丸山克也は関生支部が求めた団体交渉を速やかに開催しなければならない(団交応諾義務)ことを主張し、和歌山県広域生コン協組の代表理事丸山克也は、関生支部の団体交渉開催を正当な理由なく拒否したことを、労組法第7条2号(団交拒否)に該当する不当労働行為があるので救済を求めて本申立に及びましたが、大阪府労働委員会は、関生支部の申立に対して棄却の判断を出したのです。
場面は、大阪地裁に移りましたが、産業別労働組合の関生支部は、業界企業団体への団交応諾義務の認定をめざし闘います。

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

「TBSドキュメンタリー映画祭 2025」開催決定 
現代を取り巻く重要な社会問題を考える5作品と「戦後80年企画」の3作品が発表されました。関連記事:ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』予告編一覧 ココをクリック
そのなかで、伊佐治整ディレクター『労組と弾圧』が上映されることが決定しました。
『労組と弾圧』
労働組合員が「ストライキして逮捕」。ミキサー運転手の労働組合「連帯労組関西地区生コン支部」、通称「関生(カンナマ)」を狙った事件。知られざる戦後最大規模の「労働事件」の真相に迫る。【予告編 『労組と弾圧』】 ココをクリック
『TBSドキュメンタリー映画祭2025』開催概要
大 阪:テアトル梅田:3月28日(金)~ 4月10日(木)
京 都:アップリンク京都:3月28日(金)~ 4月10日(木)
名古屋:センチュリーシネマ:3月28日(金)~ 4月10日(木)
東 京:ヒューマントラストシネマ渋谷:3月14日(金)~ 4月3日(木)
福 岡:キノシネマ天神:3月28日(金)~ 4月10日(木)
札 幌:シアターキノ:4月開催
加茂生コン事件差し戻し審 無罪判決を求める署名のよびかけ
加茂生コン事件差し戻し審完全無罪判決を獲得するべく、12月17日から新たに加茂生コン事件署名活動がスタートしました。
京都事件については団体署名でしたが、加茂生コン事件については各地の要望をふまえて個人と団体の2種類の署名活動に取り組むことになりました。
「関西生コンを支援する会」は、署名活動用に加茂生コン事件とはなにかを描いたニュース号外(漫画新聞)を発行しています。
提 出 先:大阪高等裁判所第3刑事部
署名の種類:団体署名と個人署名の2種類
署名用紙は、団体署名 ココをクリック  個人署名 ココをクリック
集約と提出:第1次集約  1月末日
      第2次集役    2月末日
      最終週役      3月末日

送 り 先:〒101ー0062
      東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
      フォーラム平和・人権・環境気付
      関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
      TEL:03ー5289ー8222
関西生コン事件 仰天の現場証言~無罪の被告人と兵糧攻めされる業者
【竹信三恵子のホントの話】

デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
【MBSラジオがネットで聞けるようになりました】
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
▼Spotify ココをクリック
▼Apple ココをクリック
▼Amazon ココをクリック

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
お問い合わせはコチラ ココをクリック

 

ー 公判予定 ー

2月26日  京都3事件(判決)  京都地裁   

10:30~

関西生コン事件ニュース 109(加茂生コン事件、判決は来年4/17 12/19大阪高裁差し戻し審が即日結審) ココをクリック
関西生コン事件ニュース 101(東京新聞「こちら情報部」) ココをクリック
東京新聞「こちら情報部」

保育園に入れるための就労証明が犯罪? 労組は反社? 逆転無罪が相次ぐ「関西生コン事件」が示す民主主義の危機 ココをクリック