「ビジネスと人権に関する指導原則と公契約」堺市議会

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令和7(2025)年5月30日に開かれた堺市議会・本会議で、「ビジネスと人権に関する指導原則と公契約」が質疑されました。
「令和7年第2回定例会(第5日5月30日)堺市議会インターネット中継(本会議)」

「公契約に関連した質疑」

ふちがみ堺市議が、公契約に関連した質疑として「2011年、国連がビジネスと人権に関する指導原則採択したことを受け、2020年、政府はビジネスと人権に関する行動計画を策定した。サプライチェーンを含む企業活動全体での人権尊重が求められている。これを受けて、堺市ではどのように取り組んでいるのか」と質問しました。

 

「堺市もサプライチェーンの一員であり、ビジネスにおける人権尊重の必要性を庁内に周知する、理解促進に努める」

市民人権局ダイバーシティ推進監は「ビジネスと人権に関する指導原則は、人権を保護する国家の義務、人権を尊重する企業の責任、救済へのアクセスの3つの柱に基づき、31の個別原則からなり、特に企業は社会的、道義的な責任を認識して、人権を尊重することが求められている。各国に対しては、指導原則の普及、実施に関する行動計画の作成が奨励され、これを受けて、日本はビジネスと人権に関する行動計画を策定した。堺市においても、企業活動における人権尊重の重要性を認識しており、人権尊重が企業の責務であるとの理解を深めるため、堺市人権教育推進協議会と連携し、研修会の開催等、啓発に取り組んでいる。また、企業だけでなく、堺市が事業を推進する上でも、サプライチェーンの一員として、ビジネスにおける人権尊重の必要性を庁内に周知し、理解促進に努める必要があると考えている」と答弁しました。
ふちがみ堺市議は、「堺市もサプライチェーンの一員であり、ビジネスにおける人権尊重の必要性を庁内に周知する、理解促進に努める」との答弁に感謝を述べました。

「堺市発注工事に不当労働行為で問題となった企業、つまりは人権侵害のあった企業が資材納入業者として入っている」

続いて、ふちがみ堺市議は「堺市が発注者として、サプライチェーンの起点になる場合がある。工事を発注すれば元請け、下請け、孫請け、資材納入業者というふうにサプライチェーンが構築されていく。私は以前、堺市公共事業におけるサプライチェーンのなかに、不当労働行為で問題となった企業、つまりは人権侵害のあった企業が資材納入業者として入り、簡単に言えば税金で仕事をしている。これがおかしいのではないかと指摘したことがある。しかし、当時は元請けならば指名停止になるところだけれども、その先のことは発注者の立場で何も言えないんだという趣旨のやり取りがあったように記憶している。ビジネスと人権の指導原則に照らすと、堺市の考え方は消極的だと、消極的すぎるといわざるを得ない」と指摘しました。

「サプライチェーンにおける人権尊重の観点で、元請けだけでなく、その先にまで労働関係法令の遵守を求める例もある」

そして、ふちがみ堺市議は「全国では、公契約条例を制定する自治体が増え、それぞれその市なりの考え方を公契約の相手先に求めている。なかにはサプライチェーンにおける人権尊重の観点で、元請けだけでなく、その先にまで労働関係法令の遵守を求める例もあると聞いている。公契約条例の他都市での制定状況を把握している範囲で示していただきたい」と質問。
財政局長は「公契約条例の全国の自治体における制定状況は把握していないが、指定都市では、20市中、川崎市、相模原市、京都市の3市で制定されている。このうち川崎市と相模原市の2市では、主に賃金の下限額を規定するなど、契約そのものの規律を定めており、京都市では、主に労働関係法令の遵守とその確認等の手続きを定めている。これらを含め、条例の内容については、全国の自治体ごとに多様であるというふうに承知している」と答弁しました。

「公契約条例の制定について」

ふちがみ堺市議は「政令市3市が公契約条例を制定し、2市が賃金の下限額を規定、京都市は労働関係法令の遵守を求めていると。内容は違えど、双方サプライチェーン全体での人権尊重だ。最低賃金を守るというのは一つの人権尊重であり、そういったものにつながっている。行政として、そうやって意思を示していくことが大事ではないか。それが市内事業者への啓発にもつながると考えている。堺市においても公契約条例を制定し、サプライチェーン全体での法令遵守、人権尊重に取り組むべきと考えるがいかが」と質問しました。
財政局長は「堺市では、本市契約に関わる事業者に係わる法令遵守の確保に向けて、下請け資材調達等で取引する事業者を含め、労働関係法令の遵守等について、堺市ホームページで周知を図っており、また業務に関する法令に違反した企業の入札参加については、堺市入札参加有資格者の入札参加停止等に関する要綱に基づき、厳正に対応することとしている」と答弁。
そして、財政局長は「他方で、公契約条例の制定については、市議会での議論も踏まえて、他都市の事例等も研究しているが、条例目的をどのように設定するか、その実効性をどのように確保するか、民間企業の経営の自立性にどのように配慮するかなどの点について、市民や関係者間で様々な意見が想定されるため、慎重な検討が必要と考えている。その他、法令遵守の確保に向け、堺市としてさらなる取り組みが可能かどうかについては国や他都市の動向も注視しながら、引き続き調査研究していく」と続けました。

「民間企業の自律性に任せていては、人権が守られていない事例、労働法違反がなくならない」

ふちがみ堺市議は「公契約条例にはまだまだ慎重な立場を崩していないが、今はどうなのか。これ民間企業の自律性だ。自ら律するほうの自律性にどう配慮するのかと示した。民間企業の自律性に任せていては、人権が守られていない事例、労働法違反がなくならないということは、堺市においても、あるいは日本中で明らかだ。まさか労働法を守らない自由があるわけでもなく、守らない下請け企業を黙認して使う自由が尊重されるはずもない」と当局の答弁に反論。

「元請けの意識が強くなるような文書に書き込めないのか」

続いて、ふちがみ堺市議は「そもそもこのビジネスと人権を尊重する指導原則、行動計画の双方が、企業の自律性に踏み込んで人権尊重を求めている。堺市としてもこうした何らかの対応は必要でなはないか。実効性は重要だが、仮に実効性が不十分だとしても前に進めることも重要だ。公契約条例が望ましいの都は思うもののそうではないと意味がないとも思わない。すでに、ホームページ上で下請け、資材調達等で取引する事業者も含め、労働関係法令を遵守するようにと周知していると言ったではないか。ならば、同じ内容を契約書なのか仕様書なのか、もう少し元請けの意識が強くなるような文書に書き込めないか。努力義務であってもかまわないと思うが」。

「発注者の立場で、サプライチェーンにおける人権尊重、労働法令の遵守が、浸透するような取り組みを」

そして、ふちがみ堺市議は「市民人権局が一生懸命啓発活動をしている。実効性があるのか。実効性があるとは言い切れない。確実にあるとは言えないけれども、少しでも浸透するように努力している。すばらしい努力だと思う。発注者という立場で、サプライチェーンにおける人権尊重、労働法令の遵守が、今よりも少しでも浸透するように何かできないものか。前向きな検討をお願いする。今の取り組みは消極的過ぎる。ダイバーシティ推進監も言ってもらいたい。きちんと取り組むようにと、ぜひお願いする」と締めくくりました。

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー

6月26日    国賠裁判      東京地裁    

14:00~