武器輸出規制が大幅に緩和
日本政府は2023年12月、武器輸出ルールを定める「防衛装備移転三原則」とその運用指針を改定し、規制を大幅に緩和しました。最も大きな変更点は、殺傷能力のある武器の輸出を解禁したことです。
「安倍政権による武器輸出の解禁」
「平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するために」(1976年の政府統一見解)として、日本政府は、武器輸出を原則禁止としてきましたが、安倍晋三政権下の2014年に「防衛装備移転三原則」を策定して武器輸出を解禁しました。
「殺傷能力のある武器の輸出」
2014年の「防衛装備移転三原則」では、殺傷能力のある武器の輸出は認めませんでしたが、今回、この重要な規制すらも取り払ってしまったのです。
日本政府はこれまで、「救難・輸送・警戒・監視・掃海」を目的とする殺傷能力のない武器に限定して輸出を認めてきました。しかし、今回の改定により、これらの分野の活動を実施するのに必要なもの、あるいは自己防衛に必要なものについては、殺傷能力のある武器も輸出できるようにしました。具体的には、掃海艇に搭載する機雷処分用の機関砲や輸送艦に搭載する自己防衛用の機関砲などを想定しています。
「完成品を輸出することを可能にした」
また、外国企業が開発した武器を日本で製造する「ライセンス生産品」についても、これまでは部品をアメリカに輸出することだけが認められていましたが、完成品をすべてのライセンス元の国に輸出できるようにしました。日本政府は早速、敵の航空機やミサイルを迎撃するミサイル「パトリオット」をアメリカに輸出する方針を決めました。アメリカ政府が、ウクライナへの軍事支援によって自国の迎撃ミサイルが不足しているとして要請してきたといいます。殺傷能力のある武器の輸出は、これが初めてのケースとなります。
「民間人虐殺に加担することに」
日本が輸出した武器を交戦中の第三国に供与することは認めないとしていますが、日本が輸出した分、ライセンス元の国が自らのストックを紛争当事国に供与する可能性があります。アメリカは現在パレスチナ自治区ガザで国際人道法に反する無差別攻撃を行っているイスラエルにも大量の武器を供与しており、日本のアメリカへの武器輸出が間接的にイスラエルの民間人虐殺に加担する可能性も否定できません。さらに日本政府は、イギリス・イタリアと共同開発する次期戦闘機も含めて国際共同開発品の第三国への輸出も解禁しようと狙っています。
「戦争国家を止める行動を組織しよう」
2024年3月には、「グローバル戦闘航空プログラムに係わる完成品の我が国からパートナー国以外の国に対する移転について」が閣議決定され、防衛装備移転三原則が改定されました。
こうした武器輸出に関する大幅な規制緩和は、武器を開発・生産する軍需産業の育成・強化が目的です。日本の軍需産業が武器輸出で利益を上げる一方、「メイド・イン・ジャパン」の武器によって他国の人々が殺傷されるようになれば、日本は文字通り「死の商人」国家 となってしまいます。
このような国のあり方に関わる重大な方針転換を国会にも諮らず、密室での与党協議と閣議など政府内だけで決定するやり方も、民主主義に反します。日本を「死の商人」国家にしないためにも、政府の暴走を主権者である国民の力で一刻も早く止める必要があります。戦争ができる国つくりを目論む政府の暴走を止めるための具体的な行動を展開しましょう。

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)
真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】
ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国
勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
はじめに――増補にあたって
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
補章 反攻の始まり
増補版おわりに

この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー
10月31日 国賠裁判 東京地裁(判決) | 15:00~ |
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11月18日 大津第2次事件 大阪高裁(判決) | 14:30~ |