沖縄で繰り返される米軍事故 根本原因は日米地位協定にあり

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8月20日、うるま市勝連のホワイトビーチ沖で発生した米海軍ドック型輸送揚陸艦「ニューオーリンズ」の火災は、鎮火まで11時間を要する深刻な事態となりました。玉城デニー知事が弾薬の積載情報を指摘するなど、一歩間違えれば大惨事につながる可能性があったことは否定できません。この事故は、米軍の安全管理体制の問題だけでなく、より根深い構造的な課題、すなわち日米地位協定の問題を浮き彫りにしています。

「調査権を阻む地位協定の壁」

この火災事故を受けて、日本政府は米政府に対し、事故原因の究明と公開、そして弾薬の有無の照会を要求すべきです。しかし、このような当然の要請が常に円滑に行われるとは限りません。日米地位協定は、米軍の活動に対する日本の法的な調査権や立ち入り権を極めて限定的に定めているためです。米軍が事故原因の詳細や積載物に関する情報を開示するか否かは、基本的に米軍側の判断に委ねられており、日本側が強制的に調査することは困難です。今回の事故でも、米軍と海上保安庁など日本側機関との情報共有は円滑だったとは言い難く、この体制の不備は地位協定の構造的な欠陥に起因しています。

「繰り返される事故と情報隠蔽の体質」

米軍の事故は今回が初めてではありません。2020年には強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」が大規模な火災事故を起こし、63人の負傷者を出しました。沖縄でも同様の事故がいつ起きてもおかしくないという危機感を持つべきです。特に深刻な懸念は、ホワイトビーチに頻繁に寄港する原子力潜水艦の存在です。2006年から08年にかけて、沖縄に5回寄港した原子力潜水艦「ヒューストン」からは、放射能漏れが起きていたことが後に判明しました。このような事故が発生しても、米軍が情報を隠蔽し、長年公表しない体質がまかり通るのは、日本の主権がおよばない領域が黙認されている地位協定の不備があるからに他なりません。

「民間地域におよぶ危険性」

安保関連3文書によって、自衛隊による民間空港・港湾の柔軟な使用方針が日米間で共有された結果、県内港湾への米艦船の寄港は増加傾向にあります。これは、米軍の事故が、嘉手納基地や普天間飛行場といった軍事施設周辺だけでなく、今後は民間地域に直接的な被害をもたらす危険性が高まったことを意味します。県民の生命と財産が脅かされる事態を許容することはできません。

「地位協定の抜本的見直しを」

米軍基地の周辺で繰り返し発生する事故は、単なる偶発的な出来事ではなく、日本の主権を制限し、米軍の特権を認める日米地位協定という不平等な枠組みがもたらす必然的な結果です。米軍事故の再発防止と、事故発生時の迅速かつ透明な対応を確保するためには、もはや日米地位協定の抜本的な見直しが不可欠です。

特に、日本の捜査機関による基地内への立ち入り調査権の確保、そして事故に関する情報公開の義務化を明記すべきです。これらの要求を日米協議の議題に載せ、沖縄県民の安全を最優先とする新たな協定を構築しなければなりません。今回の「ニューオーリンズ」火災事故は、日米地位協定がもたらす構造的な危険性を改めて浮き彫りにしました。沖縄県民の命と安全を守るため、国は市民の声に耳を傾け、地位協定の抜本的な改定に向けて、早急に行動を起こす必要があります。

私的判決論 人々の権利の実現をめざして

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)

 

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー

10月31日    国賠裁判      東京地裁(判決)   15:00~
11月18日    大津第2次事件   大阪高裁(判決)   14:30~