「建設大臣に生コン業界再建に向けた緊急措置を要請」

1994年2月1日、連帯ユニオン中央本部は、建設事業の積算方式の改善と経営危機にある生コン業界の再建に向けた緊急措置の実施を五十嵐広三建設大臣(当時)に申し入れ、大臣と交渉を行いました。
この大臣交渉では、①建設省が定める積算方式は直営工場を想定した体系となっているが、実際は数字の重層下請構造で行われていること。そのため、元請けから下請けへと下がっていくなかで中間搾取が繰り返され、末端の現場労働者出入り業者に適正な賃金が支払われていないケースが常態化していること。こうした構造が巨額のヤミ献金を生み、ゼネコン疑獄の温床となっていることから、中間搾取を排除し、発注者の積算通りの資材費や賃金が全額、出入り業者や現場労働者に支払われるよう制度を改善すること。②生コン業界は、過当競争とゼネコン・商社による買い叩きを要因として、生産原価を割り込む価格の下落に直面して、倒産・廃業が続出していること。この状況を放置すれば、関連している労働者の大量失業や公共工事の品質低下を招くなど、重大な社会問題に波及するとして、業界再建への緊急措置を要請しました。
 こうした緊急措置に対して五十嵐建設大臣は、「異常事態の改善へ実態調査をするよう近畿地方建設局に伝える」などの対応を約束しました。
現職の建設大臣と労働組合の代表が会見し、生コン業界の危機打開に向けて「緊急措置を検討する」という社会的影響力は絶大でした。これまで頑なに労働組合敵視政策をとっていた大阪の各地区の業界代表も2月15日になると、政策問題について労働組合と共同のテーブルを作るべきであるという立場に大きく変化してきました。そして、2月15日以降の数度にわたる業界との対話の中で労働側は、次のことを強調しました。
最低限、変えなければならないこととして、
(1)アウトを敵視してアウトを自然淘汰するような政策を止め、アウトと大同団結すること。
(2)労働組合と話をする場合、有志と話をする姿勢を改めること。各協同組合の理事会で議決をした上で、労働組合と話をしたことに責任を持つこと。
これに一番、頑強に抵抗していたのは、大阪市内協組でした。市内協組は、ほとんどセメントメーカーの直系工場で占められており、直系工場で労働組合が提起した上記の(1)(2)を受け入れるということは、従来の労務政策を根本的に改めるということでもあったからです。つまり、セメントメーカーの政策と意思を転換できるかどうかにかかっていたわけですが、数回にわたる話し合いの結果、市内協組の理事会で労働組合の提起を受け入れることを決議しました。

「労働三団体で生コン政策協議会を発足」

こうして各協同組合は1994年に入って、労使一体で生コン業界の再建に取り組むことを理事会で正式に決定しました。さらに、その決定の内容は、阪南・市内・北・東大阪の4つの協同組合を合併して、94年の5月「準備会」を発足させ、その準備会の中に「適正生産委員会」「品質管理委員会」「越境・シェア委員会」「適正価格委員会」などをつくることを明記しました。そして、この委員会には、アウトの有力企業と労働組合が同席して、共同の作業に取り組むことが確認されたのです。
業界との共同テーブルによる対話と協調関係が進む一方、その後の運動と業界のあり方に決定的な影響力をおよぼす労働組合の共闘関係も急速に高まりました。同年5月26日、連帯関生支部と生コン産労、全港湾による政策懇談会が開催され、「生コン産業政策協議会」が発足しました。他方では、この協議会とは別に、運輸一般と全化同盟の2つのグループが構成されるなど、労働組合の意見を尊重した形で生コン業界の再建に取り組んでいくことが、以降の業界再建運動の基本的なルールとなったのです。

「朝日新聞に対する抗議行動を展開」

このように、生コン業界が再建に向けてスタートし始めた頃、マスコミによる逆流の波が押し寄せました。
「朝日新聞」滋賀県版で、「県政の足もとで不透明の構図」という特集が組まれ、「生コンは高い販売価格」「公共工事も高い買い物」という見出しが紙面に載り、生コン協同組合があるために生コン価格が高いという結論で結んでいました。
現実に反したマスコミのキャンペーンを放置すれば、せっかくの業界再建運動が社会的に包囲されて足もとが揺らぐことから連帯関生支部は、朝日新聞社に対して「事実と異なっている」という主旨の質問状を出すと共に、即座に抗議行動を展開しました。
朝日新聞大阪本社の読書室および社会部責任者に対して、事実誤認の具体的根拠を示し、「中小企業と労働者の生存権を脅かす自由はない」として、謝罪と客観的な市況調査と取材に基づいて、事実を把握し直すよう求めました。
その結果、朝日新聞社は大阪府下を中心とする近畿地区の生コンおよび関連業界の市況を調査・取材。3月14日付朝刊(西日本版)で、「生コン業界がけっぷち」という特集を報道したのです。同記事は、冒頭に連帯関生支部のミキサーパレードの熱気を伝え、協同組合方式が、値崩れ・安売り競争が激化する中で破産・倒産が続出し、品質不安を招くなど社会問題に波及している実態を紹介。末尾で、小林一輔・千葉工業大学教授の談話として「最も弱い立場にあるのが、生コン業界。異常な過当競争に乗じて買い叩くゼネコンに対抗するためにも、業界が大同団結して適正な価格を確保しないと、高品質が維持できなくなる」と結んでいます。

「生コン業界再建に向けて本格的な交渉を展開、工業組合が構造改善事業を申請」

建設大臣との会見・緊急要請を突破口に、生コン業界再建に向けて本格的な行政交渉が行われました。近畿通産局や近畿地方建設局、大阪府、大阪市をはじめ各衛星都市との交渉を通じ、中小企業が過当競争でつぶれているから適正価格確立に向けて行政指導すること。中小企業の健全な育成に向けて、イン・アウトを問わず大同団結ができるようなシステムをつくるための諸施策を実行することなどを要請しました。
一方では、大阪兵庫生コンクリート工業組合が、第3次構造改善事業を申請するように、全国生コンクリート工業組合連合会や近畿通産局に申し入れ活動を展開するなか、ようやく大阪兵庫生コン工業組合は5月25日の総会で、第3次構造改善事業を申請することを決議したのです。
この構造改善事業は、実際に実行されると適性工場の配置や流通関係の合理化、共同輸送の実施など、労働者の雇用に直接ふりかかる問題にを含んでいることから労働組合の立場から綿密な産業政策を打ち立て、関係する労働組合の調整・共闘が求められます。産業別的な雇用保障や賃金のあり方、年金制度、福祉制度などを統一的に追求するなかで、構造改善事業に対して協力すべきはするというスタンスで臨むことになりました。大阪兵庫生コン工業組合が構造改善事業を申請したということは、労働組合と公的に同じテーブルにたって対話するに至ったことであり、この成果をいかに活用するかということがその後の運動にとって大きなテーマとなりました。そして、もう一つのテーマは、関係労働組合としっかり共闘するということです。

滋賀 恐喝未遂事件
第12回 公判
日時:2019年3月25日 10:00~17:00
第13回 公判
日時:2019年3月26日 13:10(変更)~17:00
第14回 公判
日時:2019年3月27日 13:10(変更)~17:00
第15回 公判
日時:2019年3月28日 13:10(変更)~17:00
場所:大津地方裁判所
大阪 威力業務妨害事件
第2回 公判
日時:2019年5月15日 10:00~
場所:大阪地方裁判所 大法廷 201
滋賀 大津生コン協組 威力業務妨害事件
第2回 公判

日時:2019年4月2日 11:00(変更)~
場所:大津地方裁判所

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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  東京都台東区蔵前3-6-7 蔵前イセキビル4F
  全日本建設運輸連帯労働組合中央本部
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