「組織率の高まりを力に適正価格の実現へ」

95年4月にスタートした大阪広域協組は、同年末から96年にかけて「有力員外会社の協組加入が続き、当初目標の70%の組織率が達成されつつあり、過剰生産設備の適正生産規模に応じた集約化の準備に入った」(「コンクリ ート工業新聞」96年1月)と報じられた。これに、未加人の有カアウト社の加入表明を加えると、組織率は90%を越える勢いとなった。 また、兵庫県でも神戸生コン協組でアウト社の協組加人によって「組織率100%」が実現し、震災復興事業の伸びもあり、業界再建が順調に進んでいった。
だが、業界再建の中心的課題である値戻し(80年時点の価格への値戻し)については依然として足踏み状態が続いていた。こうした現状を踏まえて生コン産業政策協議会は、値戻しを実現できるような業界側の体制整備に向けて協組の新執行部体制の確立を求めると同時に、労働側からの協力姿勢を示した。
また生コン輸送業界についても、通産省の指導による第三次構造改善の推進課題となっていた「輸送業務の協業化・協同化」の動きに呼応した形で、近畿生コンクリート貨物輸送事業協同組合の発足を進めていた。これは、従来であれば独占資本にとって都合のよい下請系列の再編成がくり返されてきた構造改善事業であったが、新たな事業協同組合にみられる輸送業界の動きは、中小企業主導による業界再編成への挑戦でありその具体化であった。 事業協同組合はその設立趣意書のなかで、「荷主や取引先と対等な取引のできない中小企業が過当競争を抑制し、一致団結することによって適正な取引関係を確立すること」を高らかに謳っている。つまり、中小企業の業種としての確立とそのための手だて(適正取引関係)であり、中小企業の主導で業界を再編成しようとする決意に溢れていた。そして「適正運賃の収益が・・・働く従業員の福利の増進」 につながることが打ち出されている。
この輸送事業協組の設立は、この間の生コン産業政第協議会(労働側)と業界との一致した共同要求に基づく政策闘争の成果でもあった。
中小企業の自立のためには、労働組合と中小企業の業界ぐるみの統一戦線の構築による働きかけがなければ、業界の自立•安定と労働者の福祉の向上もありえないということを労使双方が互いに確信を深めてきたことの結果でもあった。この成果はその後、バラセメントをはじめ関連諸業種においても労働組合との共同行動による事業協同組合の設立を通じた中小企業の自立が推進されることとなった。

正社員化要求したら「強要未遂」!?
「関西生コン事件」に見る労働三権の危機

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「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ 
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