関生支部の生コン産業政策運動の正しさを確認する

「コンクリ片1.3トン高架から落ちる、JR神戸線車が破損」

JR西日本は8月24日、神戸市灘区大和町3丁目の神戸線住吉-六甲道間の高架から、コンクリート片がはがれ落ちたと発表した。
JR西日本によると、24日午後2時45分ごろ、付近の住民から通報があったと警察から連絡があり、係員が確認した。コンクリート片は厚さ約3センチ。はがれた範囲は幅約2.9メートル、長さ約6.5メートルで高さ約5.6メートルから落ちて粉々に割れていた。重さは推定1.3トン。
落下した場所はJR西日本の所有地。民間の貸付駐車場として利用されていて、軽乗用車1台のフロントガラスが割れるなどしたが、けが人はいなかった。神戸線の運行に影響はないとしている。
現場の高架は1973年の完成で、昨年8月の点検で異常は見つからなかった。JR西日本は鉄筋が腐食してはがれたとみて原因を調べるとともに、25日以降、緊急点検する。
(2019年8月25日付朝日新聞朝刊社会面)

1960年代の生コン業界は、セメントメーカー(旧財閥系)のセメント販売手段により、販売拡張競争にさらされていました。
下請けの生コン輸送業者や骨材を運搬するダンプ業者などの出入り業者は、運賃を叩かれており(原価割れの生コンを販売していることから、生コン製造業者は適正な運賃を支払えない状態でもある)、適正な運賃収受は叶わず、さらに仕事を取るために競争(運賃のダンピング)させられていたのです。

生コン産業(企業・労働者)は、弱い立場

このようなことから、生コン工場で働く労働者は、雇用不安と低賃金・長時間労働・時間外手当の未払い(サービス残業)など劣悪な労働条件となっていたのです。下請けの生コン輸送会社やダンプ業者などの出入り業者の労働者も同様であり、ほとんどの労働者は非正規雇用者です。
生コンの原料であるセメントは、セメントメーカーによって一方的な値段を決められ、売る側のゼネコンや商社からは、安く買い叩かれることから(同業他社との価格競争を強いられます)「谷間・狭間産業」などと呼ばれているのです。
生コンの価格競争によって、生コン業界で働く立場の弱い労働者や出入り業者にしわ寄せがいっており、その状況を打開するためには、中小企業の生コン業者を協同組合に結集させることと、協組の組織率向上と協組運営(共同受注・共同販売・シェア運営)を正常化し、セメントメーカーやゼネコン・商社と生コン協組が対等な交渉・取引を行い、セメント価格や生コンの適正価格を収受することで、労働者の雇用の安定と賃上げなどの労働条件改善が実現するのです。
また、適正価格収受により出入り業者への適正な運賃が支払われることで、出入り業者の労働者の条件が改善します。さらに、サービス残業や未払い賃金・労災隠しなどの労働関係法違反を撲滅できます。違法行為をせざるを得ない業者を助けることになるのです。
生コン製造業者は、生コンの適正価格を収受することで経営が安定するだけではなく、生コンの高品質を確保できます。また、運転手や出入り業者に対して、ミキサートラックへの過積載やスピード超過などの道交法違反を強要することもなくなるのです。
原価割れの生コン価格では、シャブコン(必要な人員と車両が確保できないことから、車両の回転数をあげるため、いわゆる効率化を目的に、生コンに余分な水を加える。生コンは軟らかいほどミキサートラックから早く降ろすことができる。)や塩分を充分に取り除いていない品質の悪い骨材(砂・砂利など)による品質悪化を防げないのです。
阪神淡路大震災(1995年)で、阪神高速道路や山陽新幹線の橋脚が倒壊するなどコンクリート建造物が倒壊したのは、シャブコン・品質の悪い骨材の使用などの品質が悪い生コンを打設したことが原因です。
阪神高速道路の橋脚が倒壊した部分の検証では、橋脚の中の鉄筋が加水や塩分が原因で腐食(サビ)し、鉄筋が膨張してコンクリート内部から亀裂が入ったことが倒壊の原因であることが、学者や国会議員団と連帯労組関生支部が連携した調査で証明されました。

関生支部の取り組みで労働者の地位・経済的向上を実現

以上のように「関生支部の運動方針」を実践し結果を出すことで、生コン業界で働く労働者の地位的経済的向上が獲得できるのです。
また、生コンの品質を確保することで、公共事業などの建造物の耐久性などが確保され、自然災害で発生する人的災害を防ぐことができます。
公共性や法令遵守(労働関係諸法律の遵守、道交法などの違法行為の撲滅)に取り組み成果をあげることにより、建築資材の「練り屋」などと言われている低い地位から、「生コン産業」としての地位が確立されることになるのです。
前述した新聞報道は、1960年代のセメント・生コン産業における構造的な負の遺産が如実に表れています。連帯労組関生支部が展開する「公共性や公益性を確保する」ための「生コン産業政策運動」の正しさを確認しましょう。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ 
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関西生コン事件ニュース No.15 PDF
関西生コン事件ニュース No.16 PDF

ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…) 単行本 – 2019/1/30
連帯ユニオン、小谷野 毅、葛西 映子、安田 浩一、里見 和夫、永嶋 靖久(著)
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レイシスト(差別主義者)を使って組合破壊をしかける協同組合、ストライキを「威力業務妨害」、職場のコンプライアンス違反の告発を「恐喝」、抗議を「強要」、組合活動を「組織犯罪」、労働組合を「組織犯罪集団」と言い換えて不当逮捕する警察。
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