パワハラ指針、批判受け修正したがまだまだ範囲が狭い
職場での発言やふるまいがパワーハラスメント(パワハラ)かどうかを判断するための厚生労働省の指針案が昨年11月20日、大筋で固まり年内にも最終案をとりまとめ、2020年6月から大企業、2020年4月から中小企業にパワハラを防止する対策をとるよう義務づけます。労働側の関係者からは「パワハラとして認める範囲が狭い」との批判の声があがっています。
…前回からのつづき
「専門家は範囲が狭いので不満だ」
労働者側委員である連合の井上久美枝氏は分科会終了後、「100点満点ではないので、不満が残るところはあると思う」と語り、パワハラかどうかの判断例は、表現が抽象的なため、解釈次第でパワハラの対象を狭めかねないと、日本労働弁護団は、判断例は「企業の弁解カタログ」と批判しています。
企業が防ぐよう求められいるのは「業務を遂行する場所」で起きたパワハラです。パワハラの実態に詳しい新村響子弁護士によると、居酒屋で上司が部下を激しく叱ったり、けがをさせたりすることもあり、こうした例が漏れる恐れがあると懸念しています。
企業に防止策を義務づける労働者は、正社員やパートタイムなどの非正規雇用者です。雇用関係にない就活中の学生やフリーランスなど個人事業主は対象外で、指針案では「必要な注意を払うよう配慮」を企業に求めるにとどまっており、対象範囲を広げるよう求める意見に対して厚労省は修正に応じませんでした。
「パワハラ指針、働く人を守る原点を貫き弱者の立場で」
たとえば「社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意しても改善されない労働者に対して一定程度強く注意する」ことはパワハラに該当しないとされますが、「一定程度強く」の基準があいまいであり、労働者側に落ち度があればパワハラにならないと受け取られかねない可能性があります。
厚労省は、指針で示しきれない部分は解釈の通達などで補い、実効性ある対策につなげたいとのことですが、「解釈の通達」ほどあいまいで強い立場にある経営側の解釈を押しつけられる可能性が高く、これでは不十分です。
指針がパワハラの範囲を狭め、使用者側の言い訳に使われないことが重要なのです。働く人を守るという原点をもとに弱者側に立った指針を明確に示すべきです。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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連帯ユニオン、小谷野 毅、葛西 映子、安田 浩一、里見 和夫、永嶋 靖久(著)
内容紹介
レイシスト(差別主義者)を使って組合破壊をしかける協同組合、ストライキを「威力業務妨害」、職場のコンプライアンス違反の告発を「恐喝」、抗議を「強要」、組合活動を「組織犯罪」、労働組合を「組織犯罪集団」と言い換えて不当逮捕する警察。
いま、まっとうな労働運動に加えられている資本による攻撃と「共謀罪のリハーサル」ともいえる国家権力による弾圧の本質を明らかにする!
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