接見交通権の侵害（面会禁止）は不当

接見交通権の侵害（面会禁止）は不当

法務省は、政府の緊急事態宣言の対象となった7都府県にある拘置所や刑務所（東京、大阪、神戸、福岡の拘置所など38施設）に収容されている被疑者や被告が面会できる相手を、原則として「弁護士だけに限る運用」を始めました。刑務所には被告が収容されるケースもあります。期間は宣言が出されている4月8日から5月6日まで。郵送での差入れは従来通りできるとのこと。一方、警察の留置場については、警察庁は「現時点では制約していない」としています。
大阪拘置所では複数の刑務官の感染が判明。38施設に約1万5千人いる収容者の感染は確認されていませんが、法務省は「集団で生活しており、1人でも感染者が出れば拡大のリスクがある」「面会制限について、施設の適切な管理を求める国有財産法」に基づく措置と説明しています。

「一律の面会禁止は許されない」

新型コロナウィルスの感染防止が理由だといいますが、「推定無罪の原則」がある被疑者や被告が家族や友人の面会を禁止することは、不当な取り扱いなのです。
収容者の待遇などを定める刑事収容施設法には「感染予防を目的とした面会制限は規定されていない」のです。制限できるのは、裁判所が接見（面会）を禁じた場合などに限られます。
「無罪の推定」が働く被疑者や被告には、刑事訴訟法に基づき弁護人以外とも会える「接見交通権」があります。日本弁護士連合会刑事弁護センターの菅野亮事務局長は「家族や友人との面会が精神的な支えになっていることが多く、裁判上の防御と密接に関わる重要な権利だ」と話しています。
法務省は「原則」としていますが、菅野弁護士によると、地域によっては弁護士以外の接見を一律に拒む施設もあるとのことで、「人数や回数を減らすなど一定の制限はやむを得ない面もあるが、明確な法的根拠がないなかで、一律の面会禁止は許されない」と指摘しています。

「法的根拠のない運営を撤回しろ」

法務省は「区域と期間を限定した対応で、刑務法に反するとは考えていない。無症状の感染者もおり、ほかに効果的な対策は考えられない」とコメントしていますが、面会時の感染予防対策を実施せず、安易なやり方を強制することを許してはいけません。法務省は法的な根拠のない運営をただちに撤回すべきです。

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