関生支部の闘いとユニオン運動・第3回「苦難の闘いで見えた真の『敵』」
…第2回からのつづき
「生コン産業の構造とセメント資本」
「7年間の停滞」の時期は、武委員長をして「本当に勝てるかわからない」と思わせたぐらいの苦難の闘いの連続でした。一進一退の攻防です。しかしそのなかで、「関生」は①巨大な敵を認識したこと、②味方の陣営を、統一指導部をつくり、固めたこと、③背景資本を相手にした闘争を、④産業別統一闘争という形で追求したこと、これらをつかみ取った教訓は大きなものがありました。
生コン業界は戦後に生まれた産業です。また攪拌方式のミキサー車も開発されたのも1955年ですので、それを運転する「生コン労働者」という職種が登場するのもそれ以降のことです。その生コン運輸労働者は、入ったら抜けられない「たこ部屋」のような暴力的な労務管理のもとで昼夜なく働かされていました。それはセメント資本と生コン産業にとって輸送費の圧縮が利潤の源泉になっていたからです。
1960年、いくつかの労働組合が結集して「大阪生コン輸送労組共闘会議」(生コン共闘)を立ち上げました。ここで注目しなけらばならないのは共闘会議の参加組合や組織化した組合の特質です。小野田セメントの下請企業の「東海運」、日本セメントの生コン部門である大阪アサノ生コン、その下請企業の「関扇運輸」、大阪セメントの直系の生コン工場、その輸送部の企業「三生佃」という具合です。
つまりセメントメーカーの大資本があり、そのセメントの大きな需要先である生コン製造企業があり、その生コンを建設現場に運ぶ生コン運輸業者があるという構造ができていたのです。大手セメント資本-生コン製造企業-生コン運輸業者という一体的な業界構造が組合運動を規定することになります。
この業界構造のなかで、生まれて間もない生コン労組は、暴力的管理と過酷な労働を強いている当面の生コン業社に改善を求めました。それは目の前の「敵」だから当然のことでした。しかしこの産業構造のもとでは、それは串刺しのようにセメント大資本をも貫くことを意味したのです。だから中小企業を相手にしている運動であっても、背景にある大資本が強く抑圧する構造があったのだと思います。
その抑圧の攻撃は、生コン共闘会議の労働組合への「組合つぶし」と、また生コン車が大型車に変わる時期でもあり、「大量人員整理」としてなされました。その攻撃のなかで「幹部活動家」が多く辞めていきました。「頑張ってももう望みがない」。退職金の上乗せで「中堅といわれる幹部たちが辞めていきました」。こう述べる武委員長も、「勝てるかわからない」との苦悩を抱えていた時期でもあったのだと思います。
しかし、セメント大資本が真の「敵」だとの認識は関西生コン労組を鍛え上げていくことになります。生コン労組が出会った敵は、小兵のような中小企業ではなく、小さな企業の裏に控えている巨大な独占的大企業でした。強大な敵に遭遇してしまったのです。
ここのところが、さきに紹介した地域合同労組運動とは違っています。合同労組の基盤は、民間大企業の系列下請の企業というよりも、多くは地域の製造業やサービス業などの企業です。また民間大企業労組の運動をまねるわけにはいきません。
関西生コン労組は、民間大企業のなかで労使協調でいく民間大企業労組のやり方でもなく、また民間の中小企業を相手にする合同労組の方式でもない、異なった闘争戦略を立てなければなりませんでした。労働者の利益のために闘う限りは、産業別組合を目指さなければならない必然性がここにあったのです。
6/21 シンポジウム ~今、見逃せない労働組合弾圧~ (IWJ)
全国のみなさまへの御礼に代えて PDF
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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OURPLANET(動画)「労働組合の自由を奪われた」関西生コン労組が国賠訴訟←ココをクリック
IWJ 国家賠償請求提訴についての記者会見 2020.3.17←ココをクリック
関西生コン労組、違法捜査と国など提訴 執行委員長ら恐喝容疑巡り「長期勾留は恣意的」 2020年3月17日 20:42 京都新聞←ココをクリック
大阪府労委で組合側の完全勝利命令!←藤原生コン運送不当労働行為事件
またもや、組合側勝利命令!←吉田生コン地位保全等仮処分申立事件
公判が日程変更や中止になっています。確認お願いします。
連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)
内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
いったい誰が、なんのために仕掛けているのか「?関西生コン事件」の真相。お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
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