「東京の会結成によせて」ビデオ講演(抜粋)「後編」

熊沢誠さん(労働運動研究者)

前編からのつづき…

「資本主義の根幹揺るがす闘い」

行われている取り調べは、治安維持法下の特高警察のそれと似ています。治安維持法下で逮捕された人が執拗に転向を促されたように、警察は、ストライキをするような労働運動から離れろ、関生支部を脱退せよと「説得」しています。それは、正当に活動する労働組合員に対する、公然たる理不尽な不当労働行為にほかなりません。
ピケットラインでの説得を暴行、脅迫、威力業務妨害とねじ曲げられて逮捕さえた組合員は、刑事罰で起訴されかねません。これが「黄金律」刑法上の免責の蹂躙であることはいうまでもありません。仮に今回の逮捕者が刑法上有罪になれば、それは「不当な争議」となり、資本の側は民事上の損倍請求を視野に入れるかもしれません。
関生支部弾圧の意味するところは、今や許されるのは、決してビジネスを妨げることのない「労働組合」だけだという、現代日本の資本と権力の断固たる意思表明なのです。1981年、日経連会長の大槻文平氏も、「関生支部の運動は資本主義の根幹に関わる。こんな組合は箱根の山を越えさせない」と述べたものです。

「権力による産業民主主義の破壊」

この関生支部弾圧を、広く民主主義の行方という点から考えてみましょう。
民主主義の神髄は、人々の生活に深刻な影響をおよぼす事柄に対するバイ・ザ・ピープルの決定権または決定参加権です。そして、普通の労働者にとっての真正の民主主義とは、労働条件の決定に対する参加権にほかなりません。そして、この決定権・決定参加権を享受できる唯一の方途は、労働組合法に保障された労働三権-団結権・団体交渉権・団体行動権なのです。この仕組みを産業民主主義と言います。この産業民主主義、具体的には憲法28条の完全履行なしには、多くの普通の労働者にとっては民主主義は虚妄といえましょう。参政権、政党結成権、選挙権などの政治的民主主義だけでは、一般の労働者にとって民主主義は、あえていえば空手形と断じることができます。今回の弾圧は、もっとも悪質な産業民主主義、労働者民主主義の破壊であり、明確な憲法違反なのです。

「非妥協の戦線構築が不可欠」

関生支部への未曾有の弾圧に対する抵抗の行動が「護憲派」にもなお広がっていない。産業民主主義の枢要の意義や関生支部弾圧の危機を、野党や労働団体、「リベラル」の市民は、本当にわかっているのでしょうか。連合、全労連のようなナショナルセンターは関生支部を異端児扱いしています。
関生支部弾圧問題は全国的な政治問題になっていません。本来ならば野党はこの弾圧を国会の問題にもして、大阪広域協組や滋賀県警本部長などの弾圧者を、衆・参の社会労働委員会に証人喚問して、その不当労働行為や憲法違反を追及すべきです。社会運動、労働運動の展開が是非とも必要です。政党や労組ナショナル・センターの枠を越える、労働者・市民の幅広く、しかし非妥協的な対抗の戦線構築が不可欠であることを訴えます。

熊澤誠(くまざわまこと)氏
1938年三重県生まれ。1961年京都大学経済学部卒業。1969年経済学博士。専攻は労使関係論・社会政策論。甲南大学名誉教授。労働の中での人間復権を追求し、1999年より研究会「職場の人権」を創設。 NPO法人「労働と人権 サポートセンター・大阪」共同代表理事。日本社会政策学会ほか会員。『産業史における労働組合機能―イギリス機械工業の場合』ほか、著書多数。

※「関西生コン労働組合の弾圧を許さない東京の会」発行の「共に闘う」から、許可を得て掲載しています。

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公判が日程変更や中止になっています。確認お願いします。

労働組合やめろって警察にいわれたんだけどそれってどうなの(憲法28条があるのに…) 単行本 – 2020/3/6
連帯ユニオン、葛西 映子、北 建一、小谷野 毅、宮里 邦雄、熊沢 誠、海渡 雄一、鎌田 慧、竹信 三恵子(著)

内容紹介
戦後最大の「労組壊滅作戦」が進行。
警察・検察・裁判所による弾圧。
権力と一体となった業界あげての不当労働行為。
関西生コン事件の本質を明らかにする!
ストライキやコンプライアンス活動を「威力業務妨害」「恐喝未遂」として89人逮捕、71人を起訴。
委員長と副委員長の拘留期間は1年5か月超。
取り調べで「組合をやめろ」と迫る警察。
家族に「組合をやめるよう説得しろ」と電話をかける検察。
組合活動の禁止を「保釈許可条件」とする裁判所。
いったい誰が、なんのために仕掛けているのか「?関西生コン事件」の真相。お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
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