関生支部が逆転勝訴 【白バス事件賠償請求控訴審(大阪高裁)】
大阪府警の家宅捜索は違法

2月4日、「白バス事件」を理由に大阪府警がおこなった組合事務所の家宅捜索は違法だとして、関生支部が賠償請求を求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は関生支部の請求を一部認め、大阪府警に対し11万円の支払いを命じる判決を下しました。一審は請求棄却だったが、逆転勝訴となった。

「白バス事件」とは

「白バス事件」は、2014年9月、京丹後市へのXバンドレーダー(ミサイル早期警戒システム)配備反対全国集会に、関西地域の市民運動団体が、ある活動家の所有する大型バスを借りて分乗して出かけた際、参加者が経費を割り勘したことが道路運送法違反の有償行為だとして、翌年の2015年6月、大阪府警が市民運動家3人を逮捕。このとき、関生支部の組合事務所も家宅捜索された事件。
この逮捕劇そのものがデタラメ。少年野球やサッカーなどでレンタカーを借りて費用を割り勘するケースは全国どこにでもある。それを違法な有償行為だとしたのは反基地運動を弾圧する口実というほかない。しかも関生支部は、容疑とされた当日、組合所有のマイクロバスを貸しておらず、全国集会にはだれも参加していなかった。(2013年12月と2014 年4月の行動では関生支部のマイクロバスが使われたが、問題の2014年9月には使われていなかった。)
そこで、関生支部は、大阪府を相手取って、犯罪の嫌疑がないのに捜索令状を請求して違法な家宅捜索を強行したことに対する賠償を請求する裁判を提訴したのだった。

「令状請求は合理的な判断によるものではない」

一審大阪地裁判決はバスの運行が有償行為だと判断したことは「不合理であるとはいえない」などとして請求を退けたが、控訴審判決は以下のような判断を示して11万円の賠償支払いを命じた。
「市民団体の本件バスによる運送行為は、一時的運送にすぎず、常時他人の需要に応じて反復継続し、又は反復継続する目的をもって運送行為をなすものとはいえないことが明らかである。…大阪府警の警察官の判断は、捜査機関が現に収集した証拠資料及び通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により導き出されたものとはいえないから、本件捜索差押令状の請求は、その余の点について検討するまでもなく、違法であり、かつ、上記判断については解釈が分かれ得るものでもないから、上記請求をした大阪府警の警察官には、過失がある。」

国賠訴訟にも影響

警察相手の国賠勝訴そのものが稀れ。だが、それにとどまらず、控訴審判決は、大阪府警がいかに関生支部を敵視して、恣意的な捜査をおこなってきたかを明らかにしたという意義があるといっていいだろう。
しかも、この白バス事件の証人として出廷する予定だった関生支部の西山執行委員は、「関西生コン事件」で2018年以降くりかえされた逮捕によって、くりかえし証言を妨げられた。そのことが昨年3月、全日建、関生支部、湯川副委員長、武谷書記次長、西山執行委員の5者が国などを相手取っておこした国賠訴訟の請求原因のひとつとなっていることにも、注意を喚起しておきたい。(この国賠のその後の経過については追って報告します。)

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「関生事件」が揺るがす労働基本権
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第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
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今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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