ミャンマーの民衆との共同行動で、国軍を打ち破ろう

ミャンマーでは、2月1日に軍事クーデターが起きました。今回のクーデターは、1962年、1988年に次ぐ3度目で、アウン・サン・スー・チー国家顧問など与党・国民民主連盟(NLD)の要人らが拘束され、国軍の銃撃などで数百人の犠牲が出るなか、国民による命がけの行動は続いています。

「軍なくして、この国はない。力こそ正義」

国軍は警察権を持ち、文民政府も簡単に倒せることから、NLDを消し去るためにクーデターを起こしたのです。「軍なくして、この国はない」「力こそ正義」が国軍の考え方なのです。
1988年の民主化運動のときは、千人を撃ち殺して封じ込めたことから、今回も2~3週間で抑えられると見ていたのでしょう。国際的な批判が出ても、中国、インド、ロシアは何も言わないか味方してくれて、国際社会は分裂すると踏んでいたようですが、軍の計算違いでした。

「若者は軍政に戻ることを許さない」

ミャンマーは、2011年の民政移管後、シビリアンコントロール(文民統制)と軍のコントロールが役割分担する体制でした。製造業などで外国からの投資が増え、最近10年の経済は年6%の成長です。格差はあるものの国民は豊になりつつあり、90%が携帯電話を持ち、約70%がSNSを使っており、人々は情報の自由を享受し、民政に親近感を抱いています。
特に10代後半から20代半ばの若者は軍政に戻ることなど許しがたいと思っており、NLDが圧勝した昨年11月の総選挙結果に従い、「元に戻せ」と要求しています。

「市民不服従運動の広がり」

NLDは動けませんが、医師と看護師が始めた「不当な命令には従うな」という非暴力の市民不服従運動が全国に広がり、今も続いています。この運動は、ガンジーの教えに基づき、スー・チーさんが種を蒔いたもので、「国民が言うことを聞かなければ、どんな独裁者でも国を動かせない」ということです。

「NLDの臨時政府が、軍系企業の不買・不売運動を展開」

今後、国軍はNLDを追放し、少数民族政党を懐柔して軍主導の連立政権をつくろうとしています。香港では、選挙による民主派の勝利を恐れ、民主派を排除した政府をつくるという事態が起きています。タイにはミャンマーの移民労働者が100万人以上おり、タイの学生らが王制批判のデモをしていることを国軍はよく知っており、香港やタイなど近隣地域の民主化デモの影響を恐れています。
逮捕や拘束されなかったNLDの議員らが反軍政の臨時政府をつくり、閣僚代行9人と副大統領を指名しました。国連でクーデターを批判した大使も臨時政府側につき、軍系企業の商品の不買・不売運動も始まっています。

「日本軍が謀略を目的に育てた国軍」

軍隊が大きな影響力を持つ国なったのは、日本軍が1941年、ミャンマーに侵攻し、謀略を目的に国軍を育てたからです。しかし、スー・チーさんの父親のアウン・サン将軍らの国軍は1945年3月、ビルマ共産党などと抗日武装蜂起を始めました。この抗日闘争が国軍の正統性の根拠とされます。
1948年に英国から独立すると議会制民主主義ができますが、政治は不安定だったことから、国軍は見切りをつけ、1962年にクーデターを起こし、2011年までの49年間、軍政が続いたのです。軍が政治に関与することを当然だとして、軍の特権は2008年の現行憲法でも規定されています。
1950年から経済活動を始めた国軍は、今では二大持ち株会社の下に百数十の軍系企業があり、民政が関与できない巨大利権集団になっています。

「日本に滞在するミャンマーの人たちと共同行動を展開しよう」

ミャンマーと2160キロの国境を持つ中国は、雲南省とミャンマーのラカイン州を結ぶ石油・天然ガスのパイプラインを建設するなど、深い関係がありますが、経済関係が拡大したのはNLD政権になってからで、いまさら国軍だけと付き合おうと思っていません。中国は軍事的関係も強めたいのですが、国軍には独自の愛国心があることから、国軍が絶対に許さず、中国の思い通りに動かないのです。
対外的な経済関係の拡大で国軍自らも潤いましたが、クーデターで制裁が強まると自分たちも損をします。国際社会が、今回の事態を許さないためには、経済的な圧力を強めるしかなく、ミャンマーに大きな影響力を持つ中国を巻き込むことを働きかけるのが、日本の役割です。
私たち労働組合は、ミャンマーの民衆たちの命がけの闘いに連帯することが求められています。日本に滞在するミャンマーの人たちと共同行動を展開して、国軍を打ち破りましょう。
(根本敬・上智大学教授のお話しを参照しました。著書に「物語ビルマの歴史」「アウンサンスーチーのビルマ」など)

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「関生事件」が揺るがす労働基本権
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挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20

業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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なぜ、いま戦後最大規模の刑事弾圧が労働組合に加えられているのか!?
641日勾留された武委員長が語る

「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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