和歌山広域協組事件第4回公判、5月27日、和歌山地裁

連帯ユニオン関西地区生コン支部への権力弾圧をめぐる公判が5月27日、和歌山地裁で開かれました。当日の公判は、検察側の証人尋問でした。

「和歌山広域協組事件とは」

和歌山の生コン企業の経営者らが元暴力団らを使って、宣伝活動などの組合活動を妨害したことや、組合員らを脅すなどした行為に対して、2017年8月22日、関生支部の組合員らが、和歌山広域協組に赴き、抗議と事実検証のための交渉をしたことが、威力業務妨害、強要未遂とされた事件です。

「検察側の主尋問」

第4回公判は、検察側の証拠調べで、被害者とされているM協組理事長の証人尋問。検察側の主尋問では、「和歌山広域協組設立の経緯や8月22日(事件当日)までの経緯、事件当日」などの尋問に、M理事長は検察のストーリーに沿った証言を行いました。

「弁護側の反対尋問」

午後からは弁護側の反対尋問です。弁護側は①8月18日までのこと②8月18日のこと(元暴力団2人が、関生支部事務所前に現れ混乱をつくった)③8月21日のこと(8月18日件で、元暴力団のTと関生支部前に行った元暴力団2人の3人からM理事長が説明を受けたこと)④8月22日(事件とされている当日)のことをM理事長に尋問しました。

「検察官から『異議』が連発される」

弁護人が、M理事長に暴力団関係者との関連の尋問を行うと、検察官から「異議」が連発されるという場面がありました。よほど具合が悪いのでしょうか。
また、弁護人の尋問にM理事長は、感情的で攻撃的な発言や態度を取る場面が、数多く見られました。

「指定暴力団の組長と『幼なじみ』」

M理事長は証言で、和歌山労使懇談会の閉会後、T氏(元暴力団)が労組の武谷に「いつでも懲役いったる」と発言したこと、「山健組(指定暴力団)の組長と私(M理事長)は『幼なじみだ』」と関係があることを認めました。

「警察のメンツが働いたのだろう」

最後に裁判官からの尋問です。裁判官は、「当日の8月22日に取引先と約束していたとのことだが、用件は」との尋問にM理事長は、「海洋土木の付き合いがある企業で、下請けに入れて欲しいとのお願い」と証言しました。
また、裁判官の「証人は、告訴してから警察が全く動いてくれなかったと証言していたが、今回の事件は警察が捜査した。そのきっかけになったと思うことは」との尋問にM理事長は「他府県の警察の広がり(連帯労組への捜査、事件化)が影響した。警察から告訴の取り下げをなだめられた。警察(和歌山県警)のメンツが働いたのだろう」と証言しました。

「多くの成果を獲得」

公判終了後、弁護団は「本日の公判では、多くの成果が獲得できた。引き続き無罪判決を目指して取り組む」と報告がされました。被告人とされている当事者からは「無罪を勝ち取るまで闘う」と引き続きの支援が呼びかけられました。

「傍聴支援に駆けつけてくれた多くの仲間に感謝します」

午前、午後と約5時間半という長時間にわたる証人尋問に、傍聴支援に来てくださった仲間のみなさん、ありがとうございました。激しい雨のなか、遠方から駆けつけてくれた仲間のみなさんに感謝します。
次回の第5回公判は、6月17日(木)、10:00から17:00まで、検察側の証拠調べで、協組職員(女性)、協組の取引先ら3人、計4人の証人尋問です。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

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「関生事件」が揺るがす労働基本権
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挑戦を受ける労働基本権保障――一審判決(大阪・京都)にみる産業別労働運動の無知・無理解 (検証・関西生コン事件1)(日本語) 単行本 – 2021/4/20

業者団体と警察・検察が一体となった組合弾圧=「関西生コン事件」がはじまって4年。
労働法研究者、自治体議員、弁護士の抗議声明が出され、労働委員会があいついで組合勝利の救済命令を下す一方、裁判所は産業別労働組合への無知・無理解から不当判決を出している。
あらためて「関西生コン事件」の本質、不当判決の問題点を明らかにする!
連帯ユニオン(著)、小谷野 毅(著)、熊沢 誠(著)、& 2 その他
発行・旬報社、定価800円+税

「関西生コン事件」がはじまってから4年目となります。
関生支部(全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部)を標的として、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が日々雇用組合員の就労拒否(400人以上)、正社員組合員の解雇、業界あげての団交拒否を開始したのが2018年1月。このあからさまな不当労働行為の尻馬に乗って、滋賀県警が半年後の2017年7~8月にかけて組合員と生コン業者ら10人を恐喝未遂容疑で逮捕しました。その後、大阪、京都、和歌山の三府県警が、2019年11月にかけて、じつに11の刑事事件を仕立てあげ、のべ89人もの組合員と事業者を逮捕。数え上げるとじつに計18回も逮捕劇がくりかえされ、のべ71人が起訴される事態に発展しました。いずれも、ストライキやビラまき、建設現場の法令違反を調査、申告するなどして公正な取引環境を実現するためのコンプライアンス活動、破産・倒産に対して雇用確保を求める工場占拠闘争など、あたりまえの労働組合活動が、恐喝未遂、恐喝、強要未遂、威力業務妨害といった刑事事件とされたものです。
業者団体と警察・検察が表裏一体となった組合弾圧、それが「関西生コン事件」です。
これに対し、歴代の労働法学会代表理事経験者を多数ふくむ78人の労働法学者が2019年12月、憲法28条の労働基本権保障や労働組合法の刑事免責を蹂躙する警察・検察、そしてそれを追認する裁判所を批判して「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表しました。全国各地の120人超の自治体議員の抗議声明、弁護士130人の抗議声明なども出されます。また、自治労、日教組などの労働組合や市民団体がつくる平和フォーラムが母体となって「関西生コンを支援する会」が結成されたのをはじめ、各地で支援組織が2019~20年にかけてあいつぎ結成されます。「関西生コン事件」は関生支部だけの問題ではない、労働組合の権利そのものを脅かす事態だという認識が広がっています。
さらに、冒頭に述べた一連の解雇、就労拒否、団交拒否に対抗すべく関生支部が申し立てた20件近い不当労働行為事件において、大阪府労働委員会が2019年秋以降、あいつぎ組合勝利の救済命令を下しています。その数は命令・決定12件のうち10件(2021年4月現在。大半が中央労働委員会に再審査事件として係属)。団結権侵害を主導した大阪広域協組の責任が明確になってきました。
一方、11件の刑事事件はその後、各事件の分離、併合の結果、大阪、京都、和歌山、大津の四地裁において8つの裁判に整理され、審理がすすめられ、現在までに、大阪ストライキ二次事件(2020年10月)、加茂生コン第一事件(同年12月)、大阪ストライキ一次事件(2021年3月)の3つの一審判決が出されています。
これら判決は、労働委員会事件で出された勝利命令とは対照的に、いずれも労働組合運動に対する浅薄な理解と認識をもとに、大阪広域協組の約束違反や企業の不当労働行為を免罪する一方で、産業別労働組合としての関生支部の正当な活動を敵視するものとなっています。
そこで、この機会に、あらためて「関西生コン事件」とはなにか、また、これら不当判決の問題点はなにかを、労働組合運動にたずさわる活動家のみなさまをはじめ、弁護士、研究者、ジャーナリストのみなさまに一緒に考えていただくために、裁判や労働委員会に提出された研究者の鑑定意見書などを収録した『検証・「関西生コン事件」』を随時発刊することにしました。
控訴審において無罪判決を勝ち取るために努力するのはもちろんのことですが、不当判決を反面教師として、先達が築いてきた労働運動の諸権利を学び直し、新たな運動を創造していくことが私たちに求められていると考えます。本書がその手がかりとして活用されることを願ってやみません。
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なぜ、いま戦後最大規模の刑事弾圧が労働組合に加えられているのか!?
641日勾留された武委員長が語る

「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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