藤田早苗さんからのメールと国連自由権規約・NGOレポート

「国際社会から見た日本」藤田早苗『武器としての国際人権』発刊記念セミナーが2月17日、ドーンセンターで開催され、関生支部のナニワ生コン分会長が参加しました。藤田早苗さんの講義後の質問やセミナー終了後の交流会に参加したナニワ生コン分会長に、イギリスの藤田早苗さんからメールが届きました。(3月20日付)

「藤田早苗さんからナニワ生コン分会長へのメール」

N様、その後お変わりはないでしょうか?2月には大阪の講演会に来てくださりありがとうございました。私は10日ほど前にイギリスに戻りました。こちらは連日いろんなストライキが起きています。
さて、先日も触れたように、関西生コンの件は10月の国連自由権規約の日本審査に関し、NGOレポートで情報提供しています。この緑のレポートの日本語では7頁からです。
NCFOJというのは、海渡さんの呼びかけたいろんなNGOの寄せ集めで、私が10月は代表で国連スピーチしました。
日本のマスコミが取り上げないのは大問題ですが、こうやって国連には伝わってますし、委員も質疑の時に言及していました。もしそのことがそちらに伝わってないなら、と思いお伝えしておきます。ぜひ周りにも教えてあげてください。
私はまた6月にはジュネーブに行く予定です。ぜひ、お仲間に『武器としての国際人権』どんどん紹介してください。
また、次の一時帰国まではイギリスから発信していきますが、今度の日曜には下の企画があるので、ぜひ参加ください。
Nさんも言われていたように、すべての人権問題はつながっているのです。当日参加できなくても、申し込まれたら後日録画視聴でいます。それではお待ちしております。

「NGOレポート」

藤田早苗さんのメールに記されている「関西生コンの件は10月の国連自由権規約の日本審査に関し、NGOレポートで情報提供しています。この緑のレポートの日本語では7頁からです」とは、自由権規約第18条、第19条、第21条に関する市民団体共同報告書、国連自由権規約委員会、第7回日本政府審査「2020年9月30日、第2部:共謀罪と秘密保護法」表現の自由と開かれた情報のためのNGO連合と題したレポートです。
レポートの7頁に、「次に、全日本建設運輸連帯労働組合関生支部に対する刑事事件を紹介する。同事件においては、共謀罪適用が困難ななかで、日本が団体行動への抑圧に力を発揮してきた威力業務妨害罪等の共謀共同正犯が適用された。そして、その共謀の立証のために不当な捜査や身柄拘束がなされている。この状況の下では、私たちが、一日も早く共謀罪法の廃止を実現しなければならない。さもないと、日本の市民はいずれ共謀罪の濫用のなかで『権利の不当な制限や侵害』を受けることになりかねない。すなわち、関生支部は、生コンクリートを建設現場に運ぶ運転手を中心とした企業横断的な産業別労働組合である。雇用主である中小企業からなる協同組合との集団交渉で賃金・労働条件の統一を図ってきた。そのことで、大企業・ゼネコンと対等な力関係を築いてきた。建設現場で適正な工事が行われるようコンプライアンス(法令遵守)活動を行ってきた。ところが、2018年7月以降、関生支部は、組合員延べ89人が、4府県の警察組織によって逮捕された。そのうち71人が4地裁に起訴された。争議行為は労働組合法で免責されている。それにもかかわらず、賃金上昇を求めるストライキやビラまき、日々雇用労働者の正社員化要求、コンプライアンス活動などの組合活動が『威力業務妨害』『恐喝未遂』などの犯罪とされたのである。しかも、滋賀県警において関生支部の捜査を担当したのは、組織犯罪対策課である。労働組合をその目的を問わず『組織的犯罪集団』視した捜査であるといえる。そして、実行犯とされた組合員が保釈されても、『共謀』したとされた生コン支部委員長と副委員長は1年9ヶ月を超える長期勾留された。そして、2020年5月29日と6月1日にようやく保釈された。これは国際人権法の水準からすれば恣意的拘禁という他ない。このような捜査機関と裁判所の対応は『共謀』を処罰の対象とするという共謀罪と同様の見地に立った対応である。また、この事件の被疑者の保釈条件は、他の組合員との接触や組合施設の出入りを禁止するものである。これも、労働組合を『組織的犯罪集団』視したものである。このように、共謀罪については恣意的な運用による人権の不当な制限や侵害に繋がる捜査・刑事手続きが懸念されていたが、それが、一般犯罪の共謀共同正犯の捜査・刑事手続きで既になされているのである。なお、関生支部の事例については、違法な捜査であるとして、警察、検察、裁判所が所属する地方自治体と国に対して損害賠償請求訴訟が提起されている。」

「書籍『武器としての国際人権』を読もう!」

藤田早苗さん著書の「武器としての国際人権、日本の貧困・報道・差別」(集英社新書)を読んで学び、どの学んだことを現場で実践しましょう!

※藤田早苗さん
法学博士(国際人権法)、エセックス大学人権センターフェロー、同大学で国際人権法学修士号・法学博士号取得、名古屋大学大学院国際開発研究科修了。大阪府出身、英国在住。写真家。特定秘密保護法案(2013年)、共謀罪法案(2017年)を英訳して国連に通報し、その危険性を周知。2016年の国連特別報告者(表現の自由)日本調査実現に尽力

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち

この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。

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ー 公判予定 ー

4月19日  コンプライアンス二次事件 大津地裁 10:00~
5月11日     京都3事件                    京都地裁 10:00~

関西生コン事件ニュース No.88  ココをクリック3月29日発行 関連動画 「関西生コン事件」報告集会 ココをクリック 
関西生コン事件ニュース No.87  ココをクリック 
関西生コン事件ニュース No.86  ココをクリック   

2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み) 1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。 そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。 業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。 なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。 迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 :
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】 竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

第 10 回「日隅一雄・情報流通促進賞」の特別賞を受賞 詳しくはコチラ

(「BOOK」データベースより)

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