「都道府県労働委員会の救済命令(初審命令)の履行義務」港合同の闘いの成果!
「労働法制の根本を否定する違法、不当なもの」
大阪高裁判決(2007年9月26日付、平成18年(ネ)第1211号南労会事件)では、「被控訴人(南労会=使用者)は、本件救済命令及び中労委の履行勧告を無視し、本件団交拒否に及んでいるものである。もとより、都道府県労働委員会の救済命令に関しては、これに異を唱えて再審査を申立て、或いは救済命令の取消訴訟を提起することは控訴人の法的権利である。しかしながら、救済命令の実効性の確保という観点から設けられた労働組合法27条の15第1項ただし書き及び行政事件訴訟法25条第1項によれば、都道府県労働委員会の救済命令に関しては、再審査や取消訴訟の提起に命令の効力を停止する効果はない。従って、命令を受けた当事者がその命令に従うべきことは、命令に関しての履行確保規定や命令違反に対する制裁規定の有無にかかわらず、不当労働行為救済制度として定められた労働組合法上の義務であると言わねばならない。しかるに、被控訴人は一貫して府労委による本件救済命令や中労委の履行勧告に従わず、これを無視し続けているものであり、このような被控訴人の態度は、労働法制の根本を否定する違法、不当なものと言うほかはない。」と判示されています。
大阪高裁は、「労働法制の根本を否定する違法、不当なもの」と初審命令を履行しない使用者を断罪しました。
「都道府県労働委員会の救済命令を履行しない実態」
南労会事件の高裁判決にも示されているように、使用者にも都道府県労働委員会の命令に対して、不服を申し立てる法的な権利(再審査申立)が保障されていますが、都道府県労働委員会の救済命令を履行したうえでの再審査申立するのが労働組合法上の義務なのです。
ナニワ生コン株式会社および浪速建資産業株式会社が、大阪府労働委員会の命令を履行しないことから関生支部・ナニワ生コン分会の組合員2名は、6年間におよび就労権が奪われています。就労権が奪われることによって、生活権が侵害されているとも言えるでしょう。
また、ナニワ生コン株式会社および浪速建資産業株式会社は、関生支部との団体交渉を拒否し続けており、憲法28条の団結権、団体交渉権を侵害しています。
「港合同の先輩たちの現場行動による成果」
港合同・細川鉄工闘争では、「不当労働行為企業を『公共事業の指名から排除』する旨の総評全国金属労働組合大阪地方本部あて大阪府知事の回答(1973年7月24日付け)」が出されました。この回答が現在も有効となっているのは、港合同の先輩たちが勝ち取った成果です。
この成果は、単に大阪府に申入して回答を待っていたわけではありません。港合同の先輩たちがねばり強い行政交渉を重ね、大阪府庁前での情宣活動や座り込み行動など、犠牲をいとわない現場行動が、大阪府知事の回答を引き出したのです。
「対話と行動によって先人の成果を活かそう!」
私たちは、この先輩たちの成果を活用して、さらに発展させなければなりません。
港合同の先輩たちが示した「対話と行動」を実践することが求められているのです。
細川鉄工闘争と南労会闘争が勝ち取った成果を活かす活動を展開しましょう!労働委員会の救済命令が形骸化されている現状を打ち破るために、行動しましょう!
関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。
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ー 公判予定 ー
2月22日 京都3事件 京都地裁
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10:00~ |
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検証•関西生コン事件❷
産業別労組の団体行動の正当性
A5判、 143ページ、 定価1000円+税、 旬報社刊
『検証•関西生コン事件』第2巻が発刊された。
巻頭には吉田美喜夫・立命館大学名誉教授の論稿「労使関係像と労働法理」。企業内労使関係に適合した従来の労働法理の限界を指摘しつつ、多様な働き方を基盤にした団結が求められていることをふまえた労使関係像と労働法理の必要性を検討する。
第1部には、大阪ストライキ事件の鑑定意見書と判例研究を収録。
第2部には、加茂生コン事件大阪高裁判決の判例研究を収録。
和歌山事件、大阪スト事件、加茂生コン事件。無罪と有罪の判断は、なぜ、どこで分かれたのか、この1冊で問題点がわかる。
[ 目次 ]
刊行にあたって—6年目の転機、 無罪判決2件 が確定 (小谷野毅)
序・労使関係像の転換と労働法理 (吉田美喜夫)
第1部 大阪ストライキ事件
・関西生コン大阪ストライキ2次事件・控訴審判決について (古川陽二)
・関西生コン大阪2次事件・鑑定意見書 (古川陽二)
・「直接労使関係に立つ者」論と団体行動の刑事免責 (榊原嘉明)
第2部加茂生コン事件
・労働法理を踏まえれば無罪 (吉田美喜夫)
・労働組合活動に対する強要末遂罪の適用の可否 (松宮孝明)
割引価格あり。
お問い合わせは sien.kansai@gmail.comまで