6月23日、中之島公会堂(大阪市北区)で「差別・排外主義者を利用し、労働組合潰しをおこなう資本・権力の弾圧に抗議する6・23総決起集会」が開催された。
この集会は、事業協同組合である大阪広域生コンクリート協同組合が人種差別・排外主義の代表的な扇動者として知られる瀬戸弘幸や、同氏を師と仰ぎ、参議院議員を脅迫した疑いで書類送検されたこともある渡邊臥龍こと渡辺昇など人種差別主義のエセ右翼と結託し、連帯ユニオンへの攻撃を仕掛けていることに焦点をあて、新たな労働組合弾圧に反対し、人種差別排外主義撲滅を訴えるもの。
全港湾大阪支部や連帯労組関西地区生コン支部など在阪のユニオン、社会運動団体で構成される「あらゆるヘイトを跳ね除ける実行委員会」が主催し、310もの団体・個人からの賛同を受け開催された。
当日は、雨模様にもかかわらず1,150名もの市民、労組員、活動家、弁護士、政治家、事業者など多彩な人たちの参加があり、大変盛り上がった集会となった。
ファシズムに反対する国際的合言葉「奴らをとおすな」を声高らかに宣言し、集会を開会
集会は、ファシズムとの闘いのなかで、国際的な合い言葉となってきたスローガン「奴らをとおすな」三唱のシュプレヒコールで始まりました。
主催者挨拶として樋口全港湾大阪支部委員長が、「ストライキというのは法律で労働組合にだけ認められた権利。それを大阪広域協組や差別・排外主義者が自分勝手な主張をして『違法だ』と叫び、労働組合潰しをしようとしている。こんな動きを許してはならない。怒りを共有し、意志を固める集会にしたい」と述べた。
続いて、連帯ユニオンへの威力業務妨害をはたらき被告訴人となった大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)の木村貴洋理事長など大阪広域協組執行部の蛮行のルポ映像「大阪広域生コンクリート協同組合4人組の不都合な真実」が放映され、大阪広域協組は反社会性力なのか? と会場からは大きなどよめきが上がった。
▲ ルポ映像「大阪広域生コンクリート協同組合4人組の不都合な真実」
【武建一関西地区生コン支部委員長】 一層団結を深めて、勝利まで闘い抜く
闘争報告にたった武建一関西地区生コン支部委員長は、まず「辺野古に絶対新しい基地をつくらせない。私たちは今まで沖縄意見広告運動として、9期にわたって取り組んできた。今年は1万5千件の賛同を得たが、これからも沖縄の運動と連帯して、勝利するまで闘い抜くということを最初に申し上げたい」と述べ、大阪広域協組と人種差別主義のレイシスト集団によるユニオンつぶしについて、「大阪広域協組の攻撃の状況だが、昨年12月12日から5日間、ストライキを行った。生コンの値段はどんどん上がっている。この3年間、㎥あたり6千円も上がっている。生コン製造業は値上げをして利益を得ているが、そこに出入りしている運送会社の運賃は上がらない。運賃が上がらなければ、運送会社に働いている労働者の賃金が上がらないということになる。よって、私たちは運賃の引き上げを要求した。大阪広域協組は、生コンの価格を上げるまでは、運賃を上げると約束しておきながら、実行しない。よって、ストライキに入った。
このストライキについては、輸送業の運賃を上げようというものだったので、バラセメントの協同組合(約900台)、生コン輸送協同組合(約700台)、自分たちの要求なので協力するという態度だった。協力するということだから、出荷しようがない。威力業務妨害など存在しない。
もう一つは、組織犯罪だと言っている。これは共謀罪の先取りではないか。憲法28条は、労働者が1人では弱いから団結し、交渉し、行動し、労働協約を結ぶ権利を認めている。組織犯罪などではない」
4分類できる大阪広域協組の違法行為
「大阪広域協組の違法行為はまとめると4つある。1つは、労働組合法違反。2つ目は、協同組合法違反。3つ目は、独占禁止法違反。もう1つは、刑法違反。この4つだ。
6月21日、ティーワイケイ高槻生コンが訴えていた訴訟について、仮処分命令が下された。ティーワイケイ高槻生コンの除名処分は無効である。もう一つは、関生支部との関係を理由として割り付けを止めたり、減らしてはならない。こういう決定だ。よって、こういう決定を受けて、嫌な思いをしている他の経営者もこれを武器にして運動を展開していかなければならない。現在、大阪広域協組は、組合、事業者などから10以上もの裁判を打たれているに至っている。
こういう無茶苦茶なことが行われるというのは何なのか。人権が侵害されたり、闘う労働組合が弾圧を受けたり、市民団体、解放同盟、朝鮮総連、人間の尊厳を求める団体。こういう団体に対して嫌がらせが続いている。こうしたことの延長線上に戦争がある。まさに、ヒトラーが親衛隊を組織して、大衆運動を組織してファシズムを扇動していった手法。安倍政権はそのままやっている。御用組合は取り込み、闘う労働組合は徹底的に叩く。これは民主主義の危機であり、戦争前夜。こんな無茶苦茶なことをやっているのが資本主義の本性だ」
世界の平和の流れに逆進する安倍内閣。大企業中心の経済政策に「NO」の旗を掲げて闘い民衆を結集させる
「4月27日、朝鮮民主主義人民共和国の代表と韓国の大統領とが会談し、今までの停戦から終戦へ平和協定を結ぼうと。朝鮮半島の非核化を目指そうと。これは在韓米軍が必要ないということである。朝鮮人民は自らの意思によって物事を決めていくということだ。
日本の報道では圧力・制裁が効いたから話し合いに応じたと言っているが、とんでもない。共和国の民衆の民族自決権を求める力強い闘い、そして、韓国における民衆のローソク革命に象徴されるように、政権を変えて南北の和平を目指すと。そういう流れのなかであの会談は実現したと思う。
日本においては沖縄の闘い、原発反対の闘い、戦争法廃止の闘い、憲法改悪を認めない、こういう流れをまとめていった大運動を展開すれば政治の反動化を止めることになる。そして、安倍政権のやっている大企業中心の経済政策をやめさせるということを掲げて闘っていけば、多くの民衆を結集させることは可能だ。そういう多くの人たちと一層団結を深めて、勝利まで闘い抜く決意を申し述べて報告とする」と決意表明し報告を終えた。
【姜賢朝鮮総連大阪府本部前国際統一部長】日朝国交正常化と東アジアの平和と繁栄を問う闘い
「今のビデオを見て、忘れたかったあのときの感情を抑えるのが必死の状態。今、朝鮮半島を舞台に、新しい平和時代という壮大なドラマの幕が上がった。4月27日、平和を愛する世界の人々の期待を込め、板門店宣言を高らかに発表した。6月12日には朝米首脳会談が行われた。このような転換的局面を迎えるために、私たち朝鮮総連と連帯ユニオン関西地区生コン支部は手を取り、ともに闘ってきた。
このかけがえのない友好団体に対し、業界と結託した資本・権力が排外主義グループを利用し、事実無根の誹謗中傷をくりかえしながら行う組合潰しは、時代の流れと要求に逆行する許し難い暴挙だ。
あらゆるヘイトをはねのける、この闘いは日本社会の健全性を問う闘いであり、ひいては、日朝国交正常化と東アジアの平和と繁栄を問う闘いだ。
朝鮮総連は常に未来を見据えた運動を展開してきた関生支部の仲間たち、本日お集まりのみなさま方とともに最後まで闘い抜く決意を申し上げ、連帯の挨拶とする」
【山城博治沖縄平和運動センター議長】沖縄も、大阪も、東京も力を合わせ闘おう
「この大阪における権力、あるいは、右翼集団、ネット右翼、在特会のあるまじき暴虐・暴行に、大きな衝撃を受けて、大阪のみなさんがこのようななかで日々奮闘し、そして、差別・排外を受ける在日のみなさんと手を組んで闘い続けていることに痛く感動し、冒頭の思いを反省した次第だ。今日、この集会に参加することができて、身を切るような感動を覚えて、心から感謝したい。
今日、お集まりのみなさん、状況が非常に厳しくて、沖縄も、大阪も、東京も、似たような状況なんだということを感じるが、力を合わせよう。先ほど、武委員長の話のなかでいたく感じることがあった」
【永嶋先生弁護士】 関生にかけられた攻撃は、社会運動全体に広がる。皆で一緒に反撃したい
「いま、今までとは形の違う弾圧が行われている。今回は、一企業ではなく、関西地域の生コン業界を束ねる大阪広域協組が労働組合を潰すために色んなことをしいる。二つ目の違いは、今まで権力側は、威力業務妨害などわかりやすい罪名をもって弾圧をしていた。それが、人民新聞の編集長が詐欺罪で弾圧されている。これからはどういう形の罪名をもって弾圧が加えられるかがわからない。三つ目の違いは、(レイシスト)彼らを使った組合攻撃が行われていることである。
これらに対しては様々な反撃がされている。法律的なことだけ報告する。一昨日に大阪地方裁判所ででた決定では、大阪広域協組のティワイケー高槻生コン除名の決議は無効とされた。
いま攻撃をしている人は、自分たちがやっているのは法律違反ということをよく知っている。今は関生にかけらている攻撃であるが、彼らの言っていること、やっていることを見たら、彼らの気に入らないものに向かっていくのは間違いないというふうに思う。
今後、改憲への動きが強くなっていく、来年は天皇の代替わりの行事がたくさんある。ワールドカップやラクビーがあったり、大阪ではG20が6月にある。こういうことでテロ対策を名目に弾圧の体制が厳しきなっていく。関生支部に掛けられている攻撃が、放っておけば様々な社会運動に広がっていくのは間違いないと思う。
そういう意味で関生支部にかけらた攻撃は、全ての社会運動を担う人たちにかけられている攻撃だと思っている。関生支部の闘いを孤立させないで、皆で一緒に反撃に取り組んで行きたいと思っています。
その後、司会者による「集会決議」の提起が行われ、満場の拍手で採択された後、ZENKO共同代表による集会のまとめが行われ、集会は終了した。
この集会を契機に今後、ヘイトスピーチや人種差別に対する反対運動がさらに高揚し、大阪広域協組やそれに追随する者たちに対する世論からの責任追及の声が高まる見込みとなった。