人権を守る運動を展開しよう!
経済秘密保護法(重要経済安保情報の保および活用に関する法律)が2024年5月10日に成立し、2025年5月17日に施行されます。
「民間企業の社員や研究者、記者や市民運動なども対象に」
経済秘密保護法は、2013年に成立した特定秘密保護法を大幅に強化し、さらに拡大したものです。
特定秘密保護法が対象とする『秘密』は、❶防衛、❷外交、❸スパイ防止、❹テロ対策の4分野です。それらを指定するのは時の政府が行い、市民には何が秘密かも秘密という不透明さで、刑事罰付の秘密保持義務を課されるのは公務員が主でした。
今回の経済秘密保護法は「経済安全保障に関わる重要情報」を政府が指定し、秘密保持義務を課される対象は大企業・中小企業を問わない民間企業の社員や技術者、研究機関、大学の研究者などへと広がります。
防衛関連産業などはもちろん、需要インフラ、サイバー、人工知能(AI)、先端半導体など、民生と軍事の両目的に使用できる技術「デュアルユース(軍民両用)」の分野も対象となります。
「漏洩者には、5年の拘禁刑」
しかも『秘密』の具体的な範囲が示されていないため、対象は際限なく広がることが懸念されます。漏洩者には最大「5年の拘禁刑」が科されます。また、漏洩に関しての「教唆」や「共謀」も処罰されます。メディア記者や市民運動、労働組合まで刑事罰に問われかねないのです。
「プライバシーが調べられる」
さらに「セキュリティークリアランス」(適正評価)制度を導入し、秘密情報を扱える民間人、技術者、研究者らを調査・選別することも大きな問題です。
特定秘密保護法も同様でしたが、相当機微なプライバシーが調べられます。犯罪歴や精神疾患などの病歴に加え、借金などの経済状況や酒癖、さらには配偶者や家族、同居人の身上や国籍まで調査対象とされるのです。
調査には本人の同意が必要といいますが、例えば企業や研究機関の社員が「適正評価を受けてくれ」と言われて断れるでしょうか、断ったら担当を外されるかもしれないと思うでしょう。そして優秀な技術者、研究者が排除されるという結果となり、自由な企業活動や研究開発が縮小していくことにもなりかねないのです。
「公安警察に新たな武器が与えられる」
特定秘密保護法と同じように、経済秘密保護法は警察庁警備局を頂点とする「公安警察」の活動に新たな権限や、強力な「武器」が与えられることにもなります。
従来は公安警察が一般市民のプライバシーをむやみに調べれば批判されるので隠密にやっていました。
「日本の公安警察」(講談社現代新書)の著者である青木理さん(ジャーナリスト)は、「私が30年近く前に公安警察を取材していた当時、彼らは中央省庁の幹部などはもちろん、基幹産業の内部に「共産主義者」や「左翼」がいるかを密かに調べていました。事件や犯罪の嫌疑もないのにです。ある意味で法的にグレーな活動でした。」と述べています。
今回の経済秘密保護法はそれに公的なお墨付きを与え、グレーな活動を「合法的」に堂々とやれることになります。
今度の経済秘密保護法も何が秘密なのかわからず、メディアや市民団体、労働組合にとってはいつ「地雷」を踏むことになるかわかりません。
何が秘密かわからず、「知りたい」「教えてくれ」と聞き回れば、それが秘密漏洩の「教唆」や「共謀」になりかねないのです。国民の知る権利や市民運動、労働運動が制限されてしまいます。
「北村滋・元国家安全保障局長」
経済秘密保護法の役割を担ったのが、内閣に設置された「セキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議」です。
セキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議のメンバーには、北村滋・元国家安全保障局長がいます。故・安倍晋三氏の最側近で公安警察の外事部門を歩んだ人物です。北村滋氏は最近、『外事警察秘録』と言う本を出しました。その書籍には、特定秘密保護法成立のためには「メディア対策が大事だ」として「読売新聞」主筆代理らに「反対の論陣を張らないでくれ」と頭を下げにいったということが公然と書かれています。
「経済安全保障-大川原化工機の冤罪事件」
経済安全保障の動きでは、警視庁公安部の暴挙が起きています。「大川原化工機事件」です。優秀な技術を持つ大川原化工機社が中国や韓国に化学機器を不正輸出した、と社長らが逮捕され、1年近くも勾留されました。しかし初公判直前に検察が起訴を取り消すという醜態を演じた冤罪事件です。
その背後には、経済安全保障の旗を掲げて、組織の拡大・強化を目論む公外事部門の存在意義をアピールしたい公安警察の思惑があったのです。大川原化工機事件のような事件が横行すれば、日本の産業を支えてきた中小企業や技術開発がつぶされてしまいます。
「人権を守る行動に立とう」
時の政権と警察の一体化が強まり、この十数年で特定秘密保護法や共謀罪法、通信傍受法(盗聴法)の大幅な強化など、以前から公安警察が求めていた「治安法」が続々と整備されています。こうした「警察国家」化と防衛費の倍増など「軍事国家」化への動きはもちろん表裏一体であり、同時進行的なものと捉えて批判の目を注視すべきです。
特定秘密保護法の際の議論では、「配偶者が米国籍なら問題ないが、中国籍や朝鮮籍だったりするとアウト」などという話しが政府関係者から伝わってきました。明白な国籍差別、人権侵害です。
経済秘密保護法は、差別を助長する人権侵害が潜んでいます。特定秘密保護法、共謀罪法、通信傍受法と合わせて経済秘密保護法を廃止する行動に立ち、人権を守る運動を展開しましょう!
第4回 人権問題シンポジウム 開催!
日 時:2024年12月7日 15:00~17:00
場 所:エルおおさか南館7階 南734
講 師:秋田 真志弁護士 テーマ:プレサンス元社長冤罪事件における
権力犯罪と人質司法
~取り調べ可視化が浮かび上がらせた
日本の刑事司法の闇~
資料代:500円
お問合せ:連帯ユニオン人権部 担当:武谷 新吾
TEL:06-6583-5546
労働組合活動を犯罪扱いさせてはなりません
「京都事件」は、ベスト・ライナー、近畿生コン、加茂生コンの3つの事件(労働争議)を併合審理する刑事裁判です。労働争議の解決金を受領したことが「恐喝」とされています。
争議解決にあたって、会社側に解雇期間中の未払い賃金、雇用保障、組合の闘争費用などを解決金として支払わせることは、裁判所や労働委員会でも当然の実務として定着しています。ところが、警察・検察は、関生支部は労働組合を名乗る反社会勢力で、金銭目当てで活動してきたそんなストーリーで前代未聞の事件を仕組んだのです。
企業の団結権侵害に対する抗議行動や団体行動を犯罪扱いする警察・検察の暴挙を許せば、憲法28条が保障した労働基本権がなかった時代への逆戻りです。裁判所は毅然たる姿勢で無罪判決を出すべきです。すべての労働組合のみなさまに署名活動へのご協力をよびかけます。
署名活動の実施要領
提 出 先:京都地方裁判所第2刑事部
署名の種類:団体署名を実施します(個人署名ではありません)
署名用紙は、 ココをクリック
集約と提出:第1次集約 9月末日(10月中旬提出)
第2次集役 10月末日(11月中旬提出)
最終週役 11月末日(12月中旬提出)
送 り 先:〒101ー0062
東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
フォーラム平和・人権・環境気付
関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
TEL:03ー5289ー8222
【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
▼Spotify ココをクリック
▼Apple ココをクリック
▼Amazon ココをクリック
関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
第26回ソウル人権映画祭で上映されました。 ココをクリック
6月13日から開催される、第26回ソウル人権映画祭(ソウルマロニエ公園一帯)。
14日(金)に『ここから「関西生コン事件」とわたしたち』が上映されます。英語・韓国語・字幕、韓国手話付き。全22作品を上映。
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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