報道弾圧に見る労働組合の役割とジャーナリズムの危機
兵庫県知事による報道弾圧は民主主義と労働者の権利への挑戦
兵庫県知事の斎藤元彦氏による、県政に批判的な報道機関に対する事実上の報道弾圧は、民主主義の根幹である表現の自由と報道の自由を脅かすものです。これは、労働組合が強く抗議すべき重大な問題であり、労働者の権利や生活を守る上で不可欠な言論の自由を侵害する行為です。労働組合の役割は、単に賃金や労働条件の改善を求めるだけでなく、健全で民主的な社会を維持することにあります。斎藤知事の行動は、この基本的な使命に真っ向から反するものです。
報道の自由と労働者の権利の密接な関係
報道の自由は、権力を監視し、行政の不透明な決定や不正を国民に知らせるという重要な役割を担っています。この機能が失われれば、行政の独走を許し、結果として労働者の権利や生活が侵害される危険性が高まります。
特に問題なのは、斎藤知事への批判的な報道をした記者が、東京支社への事実上の左遷人事を命じられたと報じられていることです。この人事は、知事への批判的な報道を封じるための直接的な圧力であり、報道機関で働く労働者のキャリアや労働条件にまで影響を与えるものです。このような行為がまかり通れば、記者は権力に忖度するようになり、真実を追究するジャーナリズムの精神が失われてしまいます。報道機関の経営陣が不当な圧力に屈すれば、すべての労働者の士気が低下します。だからこそ、労働組合が記者の言論の自由を守るための盾となることが不可欠です。
報道弾圧がもたらす労働者への悪影響
報道の自由が抑圧されることは、労働者の知る権利が侵害されることと同義であり、以下のような悪影響が考えられます。
❶不透明な政策決定: 労働者の雇用や賃金に影響する政策が密室で決定されても、報道機関が報じなければ、労働者は声を上げる機会を失います。
❷不正の隠蔽: 公共事業などをめぐる不正が隠蔽されれば、税金が不適切に使われ、その負担が労働者にかかることになります。
❸労働環境の悪化: 行政と企業が癒着し、労働基準法が遵守されないような状況が生じても、それが明るみに出なければ、労働者は劣悪な環境で働き続けなければなりません。
このように、報道弾圧は労働者の生活そのものを危険にさらす問題であり、労働組合は決して他人事と捉えるべきではありません。
私たちが今、声を上げるべき理由
斎藤知事の行動は、兵庫県だけの問題にとどまりません。もしこの行為が黙認されれば、他の自治体や政府が同様の手法で批判を封じ込める前例を作りかねません。
私たちは、権力による言論統制を許さないという強い意志を示し、以下の点を明確に主張すべきです。
❶報道の自由の擁護: 民主主義社会において、報道機関が権力を監視する機能は絶対に守られるべきです。
❷言論の自由の保障: すべての労働者が、行政や企業に対して自由に意見を表明できる権利は保障されなければなりません。
❸労働者の知る権利: 行政が下す決定や政策に関する情報は、公平かつ透明に公開され、労働者がそれを知る権利は守られるべきです。
斎藤知事による報道弾圧は、単なる政治的スキャンダルではなく、民主主義と労働者の権利に対する挑戦です。私たちは、この行為を断固として非難し、報道の自由と労働者の尊厳を守るために、声を上げ続ける必要があります。これは、私たち労働組合に課せられた、最も重要な使命の一つです。

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)
真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】
ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国
勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
はじめに――増補にあたって
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
補章 反攻の始まり
増補版おわりに

この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー
10月31日 国賠裁判 東京地裁(判決) | 15:00~ |
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11月18日 大津第2次事件 大阪高裁(判決) | 14:30~ |