12月15日、連合会館(東京御茶の水)で『第30回多田謡子反権力人権賞受賞発表会』開催され、関西地区生コン支部と他2団体が受賞しました。
30回を迎える『多田謡子反権力人権賞』
多田謡子反権力人権賞発表会は、29歳で亡くなった、弁護士の多田謡子さんが闘い続ける人々への支援・お礼として反権力人権基金を設立してから、今年で30回、すなわち30年の歴史を迎えたのです。
司会者は「闘う人たちの連帯として、小さな基金が続いていることを祝う30年。海外・国内の受賞者から51通のメッセージをいただき冊子にまとめた。現状は厳しい。安倍首相は大嘘つきであり、身内だけの利益のみを追求している。私たちは、この安倍政権に対して有効な反撃が不足している。しかし、この冊子を読むと、私たちは負けていないと感じる」と開会の挨拶で始まりました。
引き続き司会者から「多田謡子さんは、中学でベトナム戦争反対のビラを友人と配布するなど、政治的に目覚めた。その後、弁護士活動を続けていたが、亡くなってしまった。その多田謡子さんの資産と有志からのカンパを闘う人のために使って欲しいと、多田謡子反権力人権基金が設立された。人々の人権が尊重されて、闘う人々の連帯の一翼を担っていきたい。本日は、そのような思いを込めて多くのみなさんに集まっていただき感謝している」と説明がありました。
今回、受賞されたのは、パレスチナBDS民族評議会、優生手術に対する謝罪を求める会、関西地区生コン支部の3団体です。
それぞれの代表から、現状の闘いの報告と今後の闘う方針が述べられました。
パレスチナBDS民族評議会
(パレスチナにおける超党派市民運動)
パレスチナBDS民族評議会は、パレスチナにおける超党派市民運動です。イスラエルに対するボイコット、資本引き揚げ、制裁を求める呼びかけを行ったことを契機に生まれました。
占領の終結、イスラエルのパレスチナ市民に対する差別政策の中止、パレスチナ難民の帰還権の承認という国際法上の義務をイスラエルが履行するまで、圧力をかけ続けることを世界に呼びかけています。現在、パレスチナのNGOや労働組合、農業組合、女性団体など29の団体がメンバーとなり、イスラエル入植地からの工場撤退、占領加担企業に対する投資や契約の中止など数々の成果をあげています。また、BDSの呼びかけに応えて多くのアーティストや研究者が、イスラエルでの公演やイベント出席をキャンセルしています。
日本でも、2017年と18年に銀座三越と大丸東京店で入植地産ワインのイベント販売を中止させるなど、連帯する闘いが始まり、BDSジャパン準備会が設立されました。BDS運動への敵対を強めるイスラエル政府、イスラエルと関係を深める安倍政権を許さず、日本の地で連帯して闘う意思を込めて、パレスチナBDS民族評議会が受賞されたのです。
パレスチナBDS民族評議会の代表者からは「イスラエルは、パレスチナ人の命を軽視している。私たちの平和的な抗議行動やデモに対して、イスラエルは銃を発砲するなど武力で制圧しているが、イスラエルの植民地主義を打倒するまで闘う」と決意が表明されました。
優生手術に対する謝罪を求める会
(優生保護法による強制不妊手術に対する謝罪要求)
優生手術に対する謝罪を求める会は、優生保護法による強制不妊手術に対する謝罪を要求しており、1997年優生保護法や母子健康法に取り組んできた女性グループ、障がい者団体、研究者などが集まり発足しました。その前年、優生保護法から「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」という目的と優生的な条項が削除され母性保護法へ改定されました。
「不良な子孫」とレッテルを貼られた人たちは、本人が納得していないのに、不妊手術(優生手術)をされました。心身に傷を負わせ、子どものいる人生の選択を奪うという著しい人権侵害に対し、国は何もせず「当時は合法であり、すでに法改正はなされている」という態度をとり続けてきたのです。
「求める会」はホットラインを開設し被害者の声に耳を傾け、名乗り出た勇気ある当事者女性と共に、国による謝罪を求めて、厚生労働省交渉、国会議員への働きかけ、国際機関への訴え、集会の開催などを長年、続けてきました。
声をあげてきた唯一の女性のことを、新聞報道で知った別の女性が、2018年1月に国を提訴。問題は大きく拡がり、被害回復のための法律が検討されるところまできました。
長年にわたる地道な闘いの積み重ねによって国家犯罪とも言える人権侵害を明るみにし、被害者の人権回復をめざす「優生手術に対する謝罪を求める会」が受賞されました。
優生手術に対する謝罪を求める会の代表者は「この間、新聞などで報道がされています。記事の内容は事実なのですが、記事に掲載されていない奥深い真実があります。13人の被害者が立ち上がるという成果があがりました。この成果をつなげて結果を出すためにも闘い続けます」と今後の闘いの方針が提起されました。
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
関西地区生コン支部は「弾圧に抗し生コン労働者の生活と権利を守る闘い」が受賞の理由です。
武建一執行委員長はじめ26名に対する4次にわたる逮捕起訴は、日本の産業別労働運動を牽引してきた関生支部と、中小企業である生コン業者が組織した協同組合の活動をつぶすための悪辣な弾圧です。この数年間、滋賀の湖東生コン協同組合は、共同受注・共同販売事業によって、優位に立つゼネコンに対して対等かつ適正価格での取引を実現し、生コンの品質も確保されてきました。関西地区において、関生支部は組合員の雇用と労働条件確保のため、中小企業者と労働組合の連携によるゼネコン・セメントメーカーとの闘いを作り上げてきたのです。
ゼネコンに対する湖東協組からの生コン購入を働きかけを恐喝未遂、経営側が約束したセメント・生コン輸送運賃の引き上げの不履行に対する関生支部のストライキ闘争を強要未遂・威力業務妨害とする今回の弾圧は、1980年代、大槻文平日経連会長の「関生型労働運動は絶対に箱根の山を越えさせない」との号令で行われた刑事弾圧と比べても、戦争体制構築に向かう国家権力の意思をよりあからさまにしています。
大政翼賛の大阪広域協組やレイシスト集団、警察と一体になった行動は、国家に逆らう者は許さないという弾圧の端的な証左です。関生支部を支え、共に闘う決意を込めて受賞されました。
関生支部の代表者は「歴史と権威ある賞をいただき感謝します。この間の弾圧に対して、みなさんの心ある支援と暖かい激励をいただきありがとうざいます。関生支部は、国家的弾圧に対して怯むことなく勝利するまで闘います。今後ともご支援とご協力をお願いします」と感謝と決意を述べました。
それぞれの代表者の発言のあと、受賞式が行われました。受賞式の閉会後は、受賞者を囲むパーティーが催され、受賞者と参加者の交流が行われました。パーティーで、関生支部に檄文とカンパをいただきました。
多田謡子反権力人権賞のスタッフのみなさん、発表会に参加された仲間のみなさんには、勇気と元気をいただいたことに感謝します。ありがとうございました。
11月27日、滋賀県警によって不当逮捕(威力業務妨害)された仲間は、12月18日大津地検により、湯川裕司副委員長をはじめ6名が起訴されました。
滋賀県警と検察よる、私たちの仲間への不当な逮捕・勾留・起訴に対して強く抗議します。
今後、弁護団と連携して、大阪府警に勾留されている仲間を含めた、全ての仲間の早期奪還の取組を強化します。
また、公判で無罪を勝ち取る闘いを展開しますので、支援共闘していただいている仲間のみなさんには引き続き、ご支援とご協力をお願いします。
日時:12月21日 18:30~20:30
場所:学働館・関生4Fホール
◆講演
永嶋 靖久さん(弁護士)
山城 博治さん(沖縄平和運動センター議長)
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
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