弱者が感情を表現できる唯一の手段「コザ暴動」
1970年12月20日、沖縄コザ市(現在の沖縄市)の街中で、群衆が次々と米軍車両を転倒させ、火を放った事件「コザ暴動」が起きてから、2020年12月20日で半世紀が過ぎた今、「コザ暴動の意味を問い直す」ことが必要と、沖縄市戦後文化資料展示館「ヒストリート」で、企画展「『コザ暴動』を考える~あれから50年~」が開かれています(1月31日まで)。
「革命が起きた」
1970年12月20日未明に発生した「暴動」は、米兵による交通事故が引き金でした。6時間余り続いた「暴動」で、被害車両82台、負傷者は米国人と沖縄の住民計88人、逮捕者21人と記録されています。
沖縄市(旧コザ市など)で開催されている「企画展『コザ暴動』」の会場には、当時を知る24人による、「『革命が起きた』って身震いした」「アメリカは経済制裁する。そうするとコザの人たちが割れてくる」などの証言と現場の写真が展示されています。
「権限が及ばない」
県民で当事者の一人は、「友人と酒を飲んだ帰りに現場に遭遇した。少し前に米兵の車にひかれ、まともに捜査されなかった。気づけば騒ぎの輪に飛び込み、車を止め、中の人間を引きずり出した。何人目だったか。震える米国人の青い目をみて、我に返った。罪の意識にさいなまれ、人前で語ることを避けてきた」。
「時間が経つほどによみがえるのは、自分が被害者となった事故の後、捜査と補償を求めて訪ねた日本政府の出先機関の対応だ。『権限が及ばない』。そう一蹴された」と話しました(2020年12月20日付朝日新聞)。
「米側に悪い印象を与えても困る」
「コザ暴動」について、沖縄統治の最高責任者だったランパート高等弁務官は、「復帰のための条件と取り決めが、沖縄の人々にとって満足できるものであるよう、努力が払われている時に、今度のような暴動はこの目的を阻害するだけだ」と民間のテレビ局を通じて強く非難しました(1970年12月21日付朝日新聞にも特別声明が掲載された)。
当時の佐藤栄作首相は「あと一息で返還という大事な時期だから、米側に悪い印象を与えても困る」と語っています。
「弱者が感情を表現できる唯一の手段」
沖縄側のトップで、当時の琉球政府の屋良朝苗主席は、「沖縄人は本来、その感情があおられるような何か深刻なことが起きない限り、温和な人々である」「ほかに頼みとするものがない時には、コザで起きたような騒動こそが『弱者が感情を表現できる唯一の手段』である」と米側の文書(「高等弁務官、行政主席、会談1970年12月21日」)で心境を語っています。
「米軍基地は生活を脅かす存在だ」
沖縄の若者は「リヤカーを引いて歩いていた65歳だった曽祖父は1977年7月、24歳の米兵が運転するトラックにはねられて亡くなった。沖縄が日本に復帰して5年2ヶ月が経っていたのに、曽祖父をはねて死亡させた米兵が日本の法律で裁かれることはなく、日本政府から後日届いたのは、損害賠償手続きの連絡先を記した1枚のビラだった」と曽祖父の死について祖母や母から、「紙切れ1枚ですまされた死」と聞かされました。
また、米軍は暴動後、軍関係者の外出禁止を発令したことから、米兵向けの飲食店街が並び、経済を基地に依存していた街は深刻なダメージを受け、「仕事を失った女性は自ら命を絶った」ことを聞かされ「米軍基地は生活を脅かす存在だ」と思うようになったそうです(2020年12月20日付朝日新聞)。
「沖縄問題は日本民衆すべてに関わる大きな問題」
沖縄の住民の怒りが表面化していく起点となった「コザ暴動」は基地依存経済から抜け出ようという意識も高めました。
米軍統治は終わり、沖縄が1972年5月15日に日本に復帰して来年で50年です。米軍基地の負担が集中している沖縄では、米軍ヘリ墜落、少女暴行事件、辺野古新基地建設など、沖縄県民の暮らしを脅かす事態が相次ぐなか、自公政権は知事や民意を無視する姿勢を貫いています。
私たち労働組合には、沖縄の問題に無関心な人たちが米国や自公政権を支えることになっているということに問題意識を持つことが重要です。沖縄の歴史と現状を学び、沖縄の闘う民衆と連帯して、「沖縄問題は日本の民衆すべてに関わる大きな問題だ」と訴える街頭宣伝など具体的な行動を展開しましょう。
「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF
「関生事件」が揺るがす労働基本権
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641日勾留された武委員長が語る
「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
・一連の事件は、なぜ起きたのか?
・関生支部とはどのような労働組合なのか?
・武建一という人物はいったい何者なのか?
そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか』
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
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