バイデン新政権「国民本位の政策を進められるかが問われる」

アメリカ大統領選挙(2020年11月3日)で勝利した民主党のバイデン前副大統領が2021年1月20日、第46代大統領に就任しました。

「高い投票率と史上最多の票を獲得」

66.6%という高い投票率となった今回の大統領選では、バイデン氏が史上最多の8128万票(51.3%)を獲得。トランプ氏は7422万票(48.8%)でした。得票率の差は4.5ポイントで、2000年以降の大統領選挙では2008年の民主党・オバマ氏、共和党・マケイン氏両候補の7.2ポイント差に次ぐものになりました。
全米50州とワシントン特別区で2020年12月14日、大統領選の「選挙人」による投票が実施され、バイデン氏の当選が正式に確定(バイデン候補は306人、トランプ候補は232人の選挙人を獲得)しました。

「ジェンダーと人種の多様性を重視した人事」

バイデン氏は昨年から、閣僚ら新政権幹部の人選を進めるなかで、主要なポストに多数の女性や人種マイノリティー(少数者)を起用しました。
女性では、ハリス副大統領(黒人、アジア系、女性初)、イエレン財務長官(女性初)、ライス国内政策会議委員長、タイ通商代表部代表(アジア系、女性初)、トーマスグリーンフィールド国連大使、ファッジ住宅都市開発庁官、ラウズ経済諮問委員会委員長、ヘインズ国家情報長官などです。
人種マイノリティでは、前述したイエレン氏、ヘインズ氏を除く女性幹部と、オースティン国防長官(黒人初)、マヨルカス国土安全保障長官(ヒスパニック系初)、ベセラ厚生長官(ヒスパニック系初)らが、中南米系を含む非白人です。
内務長官に起用されるハーランド下院議員はネイティブアメリカン(米先住民)女性で、進歩派(プログレッシブ、サンダース陣営)議連に所属しています。

「利益を得る人々を政権に呼び戻す『回転ドア』人事」

一方で、進歩派でエスタブリッシュメント(既得権益層)を批判し、大胆な改革を訴えたサンダース上院議員やウォーレン上院議員らの主要ポストへの起用はありません。
オバマ政権時代に役職に就いていた人たちが多いことから、「大統領上級顧問に指名されたリッチモンド下院議員は、石油・ガス企業から政治献金を受け取っている」「国防長官に指名されたオースティン氏は、防衛機器メーカーの取締役だった」などと「ウォールストリートや軍需産業で利益を得る人々を政権に呼び戻す『回転ドア』人事だ」との批判も多くあります。
ワシントン・ポスト紙は「バイデンによるオバマ時代の人物の閣僚起用は、リベラル派や公民権運動指導者らを失望させている」との記事を掲載(2020年12月14日付)。さらに、主要ポストに起用される人々について、バイデン氏の「数年来、なかには数十年来の知り合いばかり」「8割がオバマ政権時代にホワイトハウスか選挙運動に関わった者」だと指摘しています。

「国民分断をどう変えるか」

バイデン大統領は「2050年までの温室効果ガス実質ゼロ」「地球温暖化対策のパリ協定やイラン核合意」「世界保健機構(WHO)への復帰」「最低賃金時給15ドル(約1600円)」「厳しい移民政策の転換」など、前向きな政策を打ち出していますが、「国民分断どう変えるのか」が鍵となります。

「勤労者家族に向けた断固とした施策を講じる必要がある」

サンダース上院議員は、「バイデン新政権のもと、民主党の最初の100日間の仕事は、自分たちがどちらの側にあるのかを明確に示すことだ」と主張しました。
また、サンダース上院議員は、「最低賃金時給15ドル」「気候変動対策に取り組み雇用を増やす」「医療保険の拡大」「公立大の学費無料」「学生ローン帳消し」「人種差別的な刑事司法システムをなくす」「公平で人道主義に基づく移民政策」など具体的な政策を提起し、『勤労者家族に向けた断固とした施策を講じる必要がある』と述べました。
「もしそれができないなら2024年の大統領選挙で、トランプよりもひどい右翼独裁者の大統領に道を譲ることになる」とサンダース上院議員は警鐘を鳴らします(イギリス・ガーディアン紙への寄稿)。

「国民本位の政策を進められるかが問われる」

当選が正式に確定した2020年12月14日の夜、バイデン氏は演説で「米国の魂をめぐるたたかいで民主主義が勝利した。われわれの選挙制度の信用性は維持され、損なわれることはなかった」「これまでの歴史の中で行われてきたように、団結して癒やす、新たなページをめくる時だ」と国民に向けて呼びかけました。
バイデン大統領が、アメリカを再び活性化させたいというのであれば、大企業の利益を優先するのではなく、労働者や中小零細事業者など弱者の声に耳を傾け、その声を政策に反映させることが必要です。
国民を分断し、アメリカ優先主義を進めた共和党トランプ政権の政治から脱却し、国民本位の進歩的な政策を進められるかが、バイデン政権に問われます。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

ハーバービジネスオンライン
「関生事件」が揺るがす労働基本権
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関西生コン事件ニュースNo.50  ココをクリック

なぜ、いま戦後最大規模の刑事弾圧が労働組合に加えられているのか!?
641日勾留された武委員長が語る

「関西生コン事件」で逮捕された武建一委員長は今年5月29日、641日ぶりに保釈された。その1ヵ月後に収録されたロングインタビューをまとめた本が昨年12月10日発刊された。
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そんな疑問に事実をもって答える1冊。ぜひ、お読みください。『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか
発行・旬報社、四六判218ページ、定価1500円+税
*全日建(全日本建設運輸連帯労働組合)にお申し込みいただければ頒価1500円(送料込み)でお届けします。多部数の場合はお問い合わせください。
お問い合わせ03-5820-0868
【目 次】
第1章 刑事弾圧
641日にもおよんだ勾留生活/なぜ私は逮捕されたのか/協同組合の変質/労組破壊に参加したレイシスト
第2章 「タコ部屋」の過酷労働
私の生い立ち/「練り屋」と呼ばれて/労働運動に目覚める/関生支部の誕生/初めての解雇
第3章 闘いの軌跡
万博不況とオイルショック/ヤクザと生コン/経済界が恐れる産業別労働運動
第4章 大同団結
安値乱売で「がけっぷち」/大阪広域協組の誕生/シャブコン/2005年の弾圧事件/ゼネスト決行/目指すべき場所
解題・安田浩一(ジャーナリスト)
皆様には御元気で御活躍のことと存じます。
この間、全国の多くの皆様より私たち関生支部に対する国家権力と大阪広域生コンクリート協同組合、差別排外主義者集団が一体となった攻撃をはね返す闘いに、多大な御支援をいただきまして誠にありがとうございます。
このたび、著書『大資本はなぜ私たちを恐れるのか』を昨年12月10日に発行する運びとなりました。
今日まで、私は、会社の雇ったヤクザに5回以上殺されかけたり、刑事事件をでっち上げられ前科5犯にさせられています。
1980年代には日経連の大槻文平会長(当時)から「関生型運動は資本主義の根幹に触れる」と言われ、国家権力とマスコミからは「生コンのドン」「金を企業からむしり取る」などとして「反社会的勢力」とレッテルを貼られています。
それはなぜか。歴史と今日を振り返り、事実を元に書かせていただいています。
是非、一読下さい。
心より愛をこめて
武 建一

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