「大阪市に申入書を提出」浪速建資産業闘争

連帯ユニオン関西地区生コン支部は3月15日、松井大阪市長に対して「不当労働行為企業に対する大阪市、地方行政の指導と措置について」と題する申入書を提出しました。

「大阪市の担当者は真摯な姿勢で対応」

当日は、関西地区生コン支部・武谷書記次長と大阪Aブロック組合員の2人が、政策企画室・広聴課に申入書を渡して趣旨説明しました。政策企画室・広聴課の担当者は、武谷書記次長の趣旨説明に対して、真摯な姿勢で対応してくれました。最後に「コロナ禍のなか、忙しいでしょうが1ヶ月を目処に回答を文書で提出した下さい」と当局の2人に伝えて申し入れを終えました。

「大阪地検庁舎前、国家的不当労働行為の実態を暴露」

また同日、検察官が不当逮捕された関西地区生コン支部の組合員に、組合脱退勧奨を働きかけていた事実を暴露する宣伝活動を大阪地方検察庁前で展開しました。
大阪地検庁舎前の歩行者道路では、武谷書記次長が右手にマイクを握り、左手に組合旗を掲げて、関西地区生コン支部への権力弾圧で無罪判決が出たこと、検察官による組合脱退勧奨が法廷で明らかにされるという「国家的不当労働行為の実態」を暴露するなど、大阪地検庁舎に出勤する職員や通行している会社員や市民に整然と訴えました。大阪地検庁舎前の歩行者道路では、大阪Aブロック組合員が通行中の職員や会社員、市民らにビラを配布しました。

「『ビラ下さい』と駆け寄ってきた男性」

関西生コンを支援する会が作成した「検察官が組合脱退勧奨」カラー刷りビラは、大阪地検庁舎前を行き交う職員や会社員、市民らが快く受け取ってくれました。
宣伝活動が終わり片付けているところに「ビラ下さい」と駆け寄ってきた男性が印象的でした。
午前9時ころから約1時間の行動でしたが、武谷書記次長の訴えに、大阪地検庁舎前を行き交う職員や会社員、市民らに多いにアピールすることができました。ビラは、47枚(カジノ反対ビラとセット)の配布でした。引き続き、大阪地検庁舎前での宣伝活動を展開します。

「大阪市役所前、『IR・カジノ大阪市の負担・リスク』の宣伝活動」

 続いて、大阪市役所前に移動して「大阪IR・カジノ大阪市の負担・リスク」と題した宣伝活動を展開しました。大阪・市民交流会が作成した「大阪IR・カジノ大阪市の負担・リスク」カラービラは大阪市役所前を行き交う職員や会社員、市民らが快く受け取ってくれました。
ビラを受け取った男性が「松井市長に対しては、ガンガン言うたらなあかんで!あんな人に市長させとったら市民はえらい目にあうんや!」と激励してくれたのが印象的でした。
午前10時ころから約1時間の行動でしたが、武谷書記次長の訴えに、大阪市役所前を行き交う職員や会社員、市民らに多いにアピールすることができました。ビラは、44枚(組合脱退勧奨ビラとセット)の配布でした。引き続き、大阪市役所前での宣伝活動を展開します。

※申入書の全文

「不当労働行為企業に対する大阪市、地方行政の指導と措置について」
コロナ禍の厳しい状況のなか、大阪市では、市長をはじめ職員のみなさんが懸命に業務や任務に従事されていることに敬意を表します。
私たちは、民間の労働者で構成している労働組合です。大阪市に対して次のことを申し入れます。1.大阪市にある企業「浪速建資産業」(本店住所、大阪市東淀川区菅原4丁目6番5号)の私たち労働組合への対応が大阪府労働委員会から「不当労働行為」(令和2年9月28日付)と認定され、「不当労働行為がなかった状態に戻せ」などの命令が出されています。しかし、「浪速建資産業社」は、大阪府労働委員会の命令を履行(令和4年2月現在)せずに、中央労働委員会に再審査の申立をしました。
労働組合法第27条の12「労働委員会命令は、交付の日から効力を生じる」と定めており、大阪府労働委員会の命令は効力が生じていることから「浪速建資産業社」は、大阪府労働委員会の命令を履行する義務があります。大阪府労働委員会の命令を履行したうえで、中央労働委員会に、再審査の申立をするべきなのです。
また、私たち労働組合は、大阪府労働委員会に令和4年1月5日付で「浪速建資産業社」を相手に、新たな不当労働行為の救済申立をおこない、第1回調査が同年2月21日に開かれました。
この企業への対応などについて、大阪市の回答を求めます。2.労働関係調整法では、「政府の努力義務」として、第三条に「政府は、労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与へ、これによって争議行為をできるだけ防止することに努めなければならない」と明記されています。
厚生労働省労政担当参事官室編の「労働組合法、労働関係調整法」(六訂新版)では、「政府の努力義務」について、「ここに『政府』とは、中央においては広く内閣行政各部全てを指すものであって、行政全般の責任者である内閣総理大臣、労働行政についての一般責任者である厚生労働大臣及びこの補佐機関並びに直接あっせん・調停・仲裁を行う任にある中央労働委員会はもちろん、他の行政機関も可能なかぎりにおいて本条の助力を与えるべき責任を免れるものでなく、これらの全てのものが、政府機関として、本条の義務を負うと解すべきである。また、地方公共団体における都道府県知事、都道府県労働委員会その他の行政機関もまた本条にいう政府に含まれているものであると解する」と解説されています。
「助力」については、「政府が与えるべき『助力』とは、各行政機関が権限内でなしえる事項であって自主的調整に役立つことのできる全ての事項を含むと解される。しかし、ここにいう助力とは飽くまで当事者の自主的解決のための努力に対して力をかすことを意味するのであって、みだりに争議に介入することを意味するものでないことはいうまでもない。かえってそうすることは、本法の精神に背くものであることは明らかである」と解説されています。
労働関係調整法において「政府の努力義務」とされている「自主的調整に役立つことのできる全ての事項」について、大阪市は、どのような「助力」をすることが可能なのか、回答を求めます。3.厚生労働省政策統括官・労政担当参事官室が監修する「労使関係法解釈総覧」(労働法令協会)では、「7 健全な労使関係の確立促進について」(昭和四六年七月二四日、労発第七一号労政局長発、各都道府県知事宛)に「(前文省略)憲法二八条及び労働組合法の労使関係に対する基本的な考え方については、『「団結権、団体交渉その他の団体行動権に関する労働教育行政の指針について』(昭和三十二年一月四日発労第一号)により既に明らかにされているところではあるが、健全な労使関係を確立するための要諦は、労使双方の相互信頼関係の育成にあり、労使間に相互不信感がある場合には、無用の摩擦が生じ易い。したがって、労使は、いずれの側においても労働組合法の禁止する不当労働行為や正当な団体行動権の限界を逸脱する違法な行為を行ってはならないのは勿論のこと、違法な行為とまではいえないものであっても、相互信頼関係の育成に逆行する行為は、務めて避けるようにすることが必要である。」
「労政機関としては、一般労働教育の実施等に当つては、上記の考え方を十分考慮し、労使、特に、労使関係の取り扱いに習熟していない中小企業等の使用者に対して、啓蒙に努めるとともに、健全な労使関係の確立の観点からみて問題がある事案が生じた場合には、実情把握に努め、必要に応じて、適切な指導、助言に努められたい。(後文省略)」と明記されています。
健全な労使関係の確立促進について、大阪市は、どのような指導、助言等を行うことができるのか、回答を求めます。4.また、「労使関係法解釈総覧」の「8 健全な労使関係の確立促進のための労使関係法の周知徹底等について」(昭和四八年一一月二日、労働法規課長発、各都道府県労政主管部長宛)では、2項で「関係行政機関との連携強化」として「最近の労使紛争に於いては、不当労働行為、争議行為の正当性等集団的労使関係法に関する問題のみならず、労働基準法、職業安定法等の労働関係法令と関連する問題が労使紛争と絡んで発生している例もあり、また、ときには、労働関係法令以外の法令の違反の問題が労使紛争のなかで提起されることもある。したがって、労政機関としては、このような紛争処理にあたつては、労働基準監督機関、職業安定機関等労働関係諸機関とより一層密接な連携体制をとることはもとより、必要に応じ、各都道府県内部の他の局部や国の地方機関とも十分連絡をとつて、相協力して適時適切な措置を講ずることが必要である。」とされています。
健全な労使関係の確立促進のための労使関係法の周知徹底等について、大阪市は、他の関係機関とどのような連絡をとり、どのような措置を講ずることができるのか、回答を求めます。上述した1項から4項について、大阪市の回答を求めます。お忙しいところ申し訳ありませんが、1ヶ月以内に文書で回答してくださるようお願いします。なお、回答の文書は、日程調整のうえ、大阪市庁舎内で手交していただきたい。または、窓口の労働組合に連絡していただいたうえで、郵送していただきたいことを申し添えます。

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ PDF

デモクラシータイムス 〈 2022.01.11 〉
池田香代子の世界を変える100人の働き人60人目
労働運動を〈犯罪〉にする国「連帯ユニオン関西地区生コン支部」事件
ゲスト:竹信三恵子さん(ジャーナリスト・和光大学名誉教授)
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関西生コン事件ニュース No.71 ココをクリック
関西生コン事件ニュース No.72 ココをクリック
2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み)

1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。
そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。
業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。
迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 : プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】
竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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