「自衛官セクハラ事件を考察して」

「五ノ井里奈さんの勇気に敬意」

元自衛官の五ノ井里奈さんが、実名と顔出しをして、自衛隊で受けたセクハラについて訴えたことはニュースで大きく取り上げられたので、みなさんもご存じだと思います。
今回、五ノ井さんの事件を調べるにつれ、「セクハラ」という言葉でこの事件を表現するには軽すぎるという印象をまず感じました。「性被害」が正しく、これは立派な犯罪です。
世の中にパワハラやセクハラという言葉が生まれ問題視されるようになり、昔より少しは状況がマシになったような気もしますが、まだまだ世の中には許されない性差別やイジメが行われているように思います。どの職場でも起こりうることですが、自衛隊のように男性の比率が圧倒的に多い職場には、まだ根強くセクハラやパワハラが行われているような印象を受けました。
五ノ井さんのように、幼少時に経験した東日本大震災の避難所で、優しく接してもらった女性自衛官のようになりたいと夢を抱き、その夢が叶って自衛隊に入隊したのに、パワハラや度を越したセクハラ「性被害・性暴力」を受け、夢破れて希望が失望に変わる。こんな悲しいことがあっていいのでしょうか?自衛官の中にはもちろん真面目に任務を遂行している人も多くいると彼女は言います。今回の事件は多くの自衛官に対しても、屈辱的な事件になってしまったのではないでしょうか。

五ノ井さんが顔出しをし、実名で告訴をしようと思った理由は、組織が事実を隠蔽しセクハラをなかったことにすることを許すことが出来なかったからだそうです。
自衛隊の犯罪捜査に携わる警務隊に強制わいせつ事件として被害届を出しましたが、昨年5月末に不起訴処分になりました。事件を目撃している人が多くいたのに、証言を得られなかったからです。同じ隊で目撃していた女性自衛官も証言することはなかったそうです。その女性も立場上言い出しにくかったのかもしれません。同じように被害にあうことが怖かったのかもしれません。でも、同性の隊員からの裏切りはショックが大きかったと思います。
五ノ井さんは、自分が事件を表沙汰にしなければ、別の女性隊員も同じような被害にあうと思ったので告訴したと言っています。
彼女のように勇気のある人ばかりではなく、誰にも相談せずに除隊していった人も多いかも知れません。被害は決して女性だけではないです。黙ってみている男性隊員にも確かに罪はありますが、縦社会で何も言えずに黙っているしかない、報告することにより自分の身も危なくなるという状態が怖くて口を閉ざす人や、実態を知り失望して辞めていく人も中にはいるかもしれないです。

私はセクハラ・パワハラの集会に何度か参加してきました。自分もパワハラ・セクハラを受けた経験もあります。やはり、なかなか声を上げて訴えることが難しいというのは実感しています。自分が声を上げることにより相手たちが変わればいいけれど、逆に自分が職場などに居づらくなるような気がして言えなかった経験もあります。
私たち生コン業界も、決して他人事ではありません。女性労働者が多くなってきていると言いつつも、まだまだ男性社会だからです。
もちろん、職場によっては男性が多いからと、女性に対し気を遣ってくれる所もあります。ですが、男性同士では気にならないちょっとした事が、女性には耐えがたいという事も多く、なかなか言い出せずに我慢していることも多いです。問題点を指摘したくても「小さいことを気にしすぎ」と思われるかもと我慢することもあります。
妻帯者の方なら、自分の連れ合いや娘さんが、他人の男性から同じことをされて嫌な思いをしていたらどうしますか?独身者の方でも、自分の身近な人や大切な人が嫌な思いしていたらと一度考えてみてください。男性同士なら笑って済むことでも、女性は不快に感じているかもしれません。五ノ井さんに対して、セクハラをした隊員たちも、「技をかけて倒しただけで、コミュニケーションの一部に過ぎない」と言っていたようです。あまりにも、男女での認識の差が大きい事にショックを受けました。

「前向きに生きる決意『誰かを勇気を勇気づけたい』」

防衛省は昨年12月15日、加害者の隊員5人を懲戒免職とするなど、男性隊員計9人の処分を発表した。3人は強制わいせつ容疑で書類送検され、一度は不起訴処分になったが、郡山検察審査会が「不起訴不当」とする議決を出し、福島地検が再捜査を進めている。五ノ井さんは10月に加害者から直接の謝罪を受けたことなどを受け、「被害届を取り下げるか、速やかに示談に応じるつもり」でいた。だが、加害者側の弁護士が「個人責任を問われるか疑問がある」との見解を示したことで、五ノ井さんは「重大さを軽く受け止めているのではないかと、あきれ、驚いた」。代理人を通じて改めて見解を求めており、その返答によっては民事訴訟や国賠訴訟も検討する。(yahooニュースより引用)

五ノ井さんは、自分の罪を認め、心から謝罪をしてくれればいいと思っていたようですが、相手側の弁護士の言葉で、不信感を抱いたそうです。
それでも五ノ井さんは前を向き、後日、幼少から取り組んできた柔道の指導者になると発表されています。
「柔道があるから頑張れたし救われた。自分が生きる姿を見せることで、誰かを勇気づけられれば」と話されていました。
本当に勇気のある人だと思います。経験したことは忘れることはできませんが、次は誰かを笑顔にしたいという、五ノ井さんの前向きな姿勢を見習いたいと思います。

記事投稿 K組合員

3月は3月2日に大津1次事件、3月6日には和歌山事件でそれぞれ判決が言い渡されます。判決を見据え、「労働組合つぶしの大弾圧を許さない2・18全国アクション」を2月18日、13時30分より豊崎西公園で開催します。お時間のある方はぜひご参集ください。

 

 

 

 

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち

この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。

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2021年12月9日「大阪市・契約管材局と労働組合の協議」
回答が大阪市のホームページに掲載 
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賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国 竹信三恵子(著)– 2021/11/1 旬報社 1,650円(税込み) 1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけ。 そんななか、連帯ユニオン関西地区生コン支部は、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も実現した。 業界の組合つぶし、そこへヘイト集団も加わり、そして警察が弾圧に乗り出した。 なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合つぶしが行なわれているのか。 迫真のルポでその真実を明らかにする。

目次 :
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ

【著者紹介】 竹信三恵子 : ジャーナリスト・和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年東京大学文学部社会学科卒、朝日新聞社入社、経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)、2011-2019年和光大学現代人間学部教授。著書に『ルポ雇用劣化不況』(岩波新書、日本労働ペンクラブ賞)など。貧困や雇用劣化、非正規労働者問題についての先駆的な報道活動に対し、2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

第 10 回「日隅一雄・情報流通促進賞」の特別賞を受賞 詳しくはコチラ

(「BOOK」データベースより)

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