関生支部の産業別労働運動⑩
「セメントメーカー・各行政への申入内容」
セメントメーカーへの申入れは、❶年末一時金について、下請各社に対し、誠意ある回答をするよう影響力を行使すること。❷週休二日制、祝祭日の休日、年末年始休暇の一斉取得(12月30日~1月8日)。❸ステッカー、鉢巻き、腕章の自由と洗車場の設置。❹過積載の禁止。❺生コン関係労働者の雇用完全保障という内容のものでした。
行政当局の申入れは、❶公共事業での過積載禁止、法律遵守企業への発注。❷建設会社等による組合活動への干渉・妨害及び生コン出荷拒否に対する指導監督。❸過積載車両の工事現場への出入禁止、洗車場設置・安全施策の指導。❹労基法・労組法はじめ法律を無視する企業との取引停止などでした。
「政策要求の実現をめざして(政策パンフ発表)」
関生支部は、以後、1976年11月に「政策要求の実現をめざして」(政策パンフ)を発表し、政策課題10項目を確認し、1978年2月には政策パンフ第2号を発表し、セメントメーカーによって生コン業者が系列化され、従属されている点、建設独占資本の重層的な下請制度の最底辺におかれたダンプ業者・ダンプ労働者の問題点を明らかにしました。
「労働条件の統一・労組相互の連携・集団的労使関係の確立」
政策闘争は以下の3つの成果を獲得しました。
1.労働条件の統一
1977年秋、賃金等の労働条件を統一しました。これは産業別統一賃金の形成となるものでした。関西の生コン労働者の賃金は、これ以降、所属組合の違い、組織未組織にかかわらず、統一賃金を社会的基準として形成されるようになったのです。賃金の統一は、生コン業者の協同組合化を促進しました。
2.労働組合相互の連携
1979年11月1日、生コン関係労働組合協議会が結成されました。上部団体も異なり、方針・路線も違う労働組合間の共闘の条件が大きく熟成したことによるものです。
3.大阪兵庫生コン工業組合との集団的労使関係の確立
1977年、生コン業者の団体である大阪兵庫生コンクリート工業組合(大阪兵庫工業組合)が設立されました。大阪兵庫工業組合は、生コン産業が構造不況業種の適用を受けて、近代化促進法による構造改善事業を実施に移そうとしていました。その内容は、❶新増設抑制と共同廃棄、❷117工場中12工場廃棄等でした。関生支部は廃棄される工場の労働者の雇用保障をめぐって大阪兵庫工業組合と交渉することになったのです。
1979年4月、従前の関生支部と使用者団体等との確認事項について、大阪兵庫工業組合が履行することが確認され、以後、関生支部を含む3労働組合と大阪兵庫工業組合とが月1回程度の交渉を行うという集団的労使関係が確立しました。
「集団交渉の深化」
1979年12月10日、大阪の中央公会堂に、業者団体、生コン関係労働組合協議会の労使の合計2500名が集まり、生コン産業近代化のための労使共同の活動について次の通り決議しました。
❶住友セメント系列の北浦商事が実行にあたった苅藻島での生コン工場新設と近畿地方での生コン新設に反対する。❷ゼネコン、セメントメーカーとの対等取引関係の確立。❸工業組合と協同組合の責任で共同施設の建設。❹中小企業の権益を守り、労働者の雇用確保と労働条件の地位向上などです。
この決議もあって、1980年春闘では、集団交渉に専業者15社が参加しました。集団交渉には、工業組合の代表がオブザーバーとして参加しました。
1980年夏季闘争では、大阪兵庫工業組合は、夏季休暇を統一する協定を労働組合との間で締結しました。その後、集団交渉はさらに深化しました。ウェッブ夫妻の産業民主制論にいう「集合取引」とそれによる「集合協定」の締結の具体的な事例です。
関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。10月下旬から各地で上映運動がはじまった。10 月 23日には「関西生コン労組つぶしの弾圧を許さな い東海の会」が名古屋で、11月6日には「労働組合つぶしの大弾圧を許さない京滋実行委員会」京都で上映会。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合つぶしに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(写真右は京都上映会 で挨拶する松尾聖子さん) 今後、11月13 日には護憲大会(愛媛県松山市)、同月25日は「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」が第3回総会で、12月16日は「関西生コンを支援する会」が東京で、それぞれ上映会をひらく。
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ー 公判予定 ー
2月22日 京都3事件 京都地裁
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10:00~ |
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検証•関西生コン事件❷
産業別労組の団体行動の正当性
A5判、 143ページ、 定価1000円+税、 旬報社刊
『検証•関西生コン事件』第2巻が発刊された。
巻頭には吉田美喜夫・立命館大学名誉教授の論稿「労使関係像と労働法理」。企業内労使関係に適合した従来の労働法理の限界を指摘しつつ、多様な働き方を基盤にした団結が求められていることをふまえた労使関係像と労働法理の必要性を検討する。
第1部には、大阪ストライキ事件の鑑定意見書と判例研究を収録。
第2部には、加茂生コン事件大阪高裁判決の判例研究を収録。
和歌山事件、大阪スト事件、加茂生コン事件。無罪と有罪の判断は、なぜ、どこで分かれたのか、この1冊で問題点がわかる。
[ 目次 ]
刊行にあたって—6年目の転機、 無罪判決2件 が確定 (小谷野毅)
序・労使関係像の転換と労働法理 (吉田美喜夫)
第1部 大阪ストライキ事件
・関西生コン大阪ストライキ2次事件・控訴審判決について (古川陽二)
・関西生コン大阪2次事件・鑑定意見書 (古川陽二)
・「直接労使関係に立つ者」論と団体行動の刑事免責 (榊原嘉明)
第2部加茂生コン事件
・労働法理を踏まえれば無罪 (吉田美喜夫)
・労働組合活動に対する強要末遂罪の適用の可否 (松宮孝明)
割引価格あり。
お問い合わせは sien.kansai@gmail.comまで