国内メディアが取り上げない関生支部弾圧事件 外国報道機関を通じて世界に発信!
7月18日、都内の外国特派員協会(FCCJ)で、関生支部への組合弾圧に関する記者会見が開かれました。外国特派員協会は、外国報道機関の特派員・ジャナーリストの記者クラブで、日本国内で起きた社会的事件・問題などを海外に発信する場でもあります。ここでは、日本記者クラブと異なり、フリーランスの記者も出入り可能で、国内メディアが取り上げない問題でも記者会見を開き、取材活動することも可能です。
「常軌を逸した組合攻撃変わらない報道の姿勢」
2017年のゼネストに始まる警察・検察・大阪広域生コン協組による常軌を逸した組合攻撃について、日本の大手メディアは警察情報を垂れ流す以外は、無視する姿勢を続けています。
最近になり、刑事裁判で無罪判決が相次ぎ、MBS「労組と弾圧」が地上波で放送されるなど、少しずつ変化は出ていますが、大手メディアの姿勢は変わりません。
そこで、組合は、この日本社会で起きている異常な組合弾圧を世界に発信することで、情報を国内外に拡散し、多くの方に知ってもらい、関心を持ってもらおうと考え、外国特派員協会で記者会見を開くことを決めたのです。
「海外から特派員に加え国内ジャーナリストも」
外国特派員協会は、東京の皇居前にある丸の内二重橋ビルに事務所を構えており、記者会見場の他に、海外ジャーナリストが情報交換するサロンもあり、フロアの廊下には日本で活躍した特派員の写真が飾られています。
当日13時から始まった記者会見には、海外の特派員に加え、望月衣塑子さんなど国内の有名ジャーナリストも参加しました。開始時刻になると、関生支部の湯川裕司委員長、今栖産業の島田弦季社長、中井雅人弁護士と英語通訳者が登壇し、司会がガベル(木槌)を叩いて始まりを告げました。冒頭、司会者が簡単に会見内容の概要を説明し、その後、湯川委員長の発言に移りました。
「警察・検察・裁判所が足並みそろえ関生弾圧」
まず湯川委員長は、今回の組合弾圧の経緯と合わせて、人質司法と長期勾留の問題、警察・検察官による組合脱退勧奨などの問題に触れながら、産業別労働組合の存在とその運動を否定する司法判断などが相次いでいると説明しました。また、今回は警察の「組織犯罪対策課」(暴力団対策)が捜査にあたる、裁判所では「組合員」を「組員」と故意に連呼したこと。また、大阪広域生コン協組がナチス信奉者を金で雇い入れ、組合事務所襲撃や組合活動の妨害行為などをユーチューブ上に偏向動画を拡散するなど、関生支部は労働組合ではなく「反社会的組織」と印象付ける世論工作が大々的に行われた点も強調しました。
「大阪広域生コン協組が企業に対して報復行為」
次に、今栖産業の島田社長からは、大阪広域生コン協組による加盟業者に対する圧力の実態(組合員の解雇、交渉拒否を求める)、さらに、そうした圧力に屈しない生コン企業に対する嫌がらせの報復行為の実態を説明しました。その報復行為として、現在も生コン製造に必要な原材料・セメントの販売を拒まれる嫌がらせを受けている現状を挙げました。具体的には、住友大阪セメントが大阪広域生コン協組に同調してか、近畿一円の販売店等に今栖産業にセメント販売しないよう求めているというもの。今年5月に入り、大阪地裁は、今栖産業側の主張を認める仮処分決定を出しましたが、住友側は現在も「一次販売店に圧力はかけていない」と主張しています。島田社長は、こうした一連の行為は「人権侵害」だと批判しました。
「偏見をもった先入観で判決文を書く裁判官!」
最後に、中井弁護士から労働組合活動に関わる刑事・民事事件では、憲法や労働組合法などに照らして判断するものだが、この間の裁判を見ていると、裁判官によってはそうした枠組みで判断した形跡がなく、労働組合ではなしに反社会的勢力という先入観のもと偏見と予断で判決文を書いていると疑わざるを得ないと説明がありました。
「当然の労働組合活動が殺人事件なみの犯罪に」
その後、質疑応答の時間となり、限られた時間のなかで3名の記者から質問が出ました。
主な質問は、「権力弾圧と言うが、誰が仕掛けたのか」、「湯川委員長に対する求刑10年の妥当性」「労働組合ではなく反社だという相手側の論理」「なぜ大手メディアはこの事件を報道しないのか」というものでした。
湯川委員長に対する求刑10年(京都事件)の妥当性について、湯川委員長も中井弁護士も異口同音に「検察は、当たり前の労働組合活動が殺人なみの犯罪だと考えている」「暴力もない、誰も傷ついていない事件で求刑が京都事件で10年、大津事件で8年という数字が出るのは極めて異様だ」と説明しました。
「警察から情報をリーク報道機関の歪んだ関係」
また、大手メディアの姿勢については、その背景として、組合役員や組合員が相次いで逮捕され、組合事務所が家宅捜索された際、メディアの記者が警察から事前に情報共有を受けてか、警察が来る前に各現場に先回りしていた状況、さらに、組合役員が逮捕されるより前に新聞に逮捕記事が載った事例などを挙げながら、警察と報道機関の歪んだ関係の存在を指摘しました。
記者会見のなかでも、湯川委員長や中井弁護士から、京都事件では検察側が「憲法や労働組合法は企業側との力関係上、相対的に弱い労働者・労働組合に権利・保護を付与するもので、関生支部の場合は、そうした労使関係ではなく、立場が逆転している」という旨の主張があったが「強い労働組合は憲法28条の適用を受けない」との考えは極めて大きな問題だと強調したところがとても印象深いシーンでした。
このような主張は、憲法28条や労働組合法を形骸化させ、権力や企業側の恣意的判断で、法律上の権利・保護から特定の労働組合を排除できるという危険な考えです。
「海外特派員から世界へ反響を呼び転換点へと」
この記者会見は、全体で1時間程でしたが、英語通訳の時間もあり、説明したいことの半分も伝えられない状況でしたが、会見動画がすぐにネット配信されるなど、今後多くの反響を呼びそうです。過去の世界の歴史を振り返れば、国内で発生している権力弾圧の実態が国内メディアではなく、海外の特派員を通じて世界に発信され、大きな転換点となった事件がたくさんあります。なお、会見動画はYouTubeにアップされて6日間で、1.6万回の視聴回数となっています。
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2024年8月10日発行 くさり No.904 2面掲載
国連ビジネスと人権作業部会による訪日調査報告書が示した課題(その3)-労働の権利
国連「ビジネスと人権」に関する作業部会(以下、作業部会)が5月28日に国連のウェブサイトに公表した訪日調査報告書の内容を紹介するシリーズ「その3」では、「テーマ別懸念事項」でとりあげられた「労働の権利」として3つの課題に関して焦点をあてます。詳しくはココをクリック
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
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関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック
第26回ソウル人権映画祭で上映されました。 ココをクリック
6月13日から開催される、第26回ソウル人権映画祭(ソウルマロニエ公園一帯)。
14日(金)に『ここから「関西生コン事件」とわたしたち』が上映されます。英語・韓国語・字幕、韓国手話付き。全22作品を上映。
映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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