国連・女性差別撤廃委員会が日本政府に勧告を

国連・女性差別撤廃委員会(CEDAW)が10月29日、日本政府の取り組みを8年ぶりに審査し、改善を求めた勧告を行いました。女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して、ここ数年の法整備の動きを評価する一方で、「根強く残る課題」も指摘しました。

「幅広い分野について勧告を」

女性差別撤廃委員会の最終見解は「夫婦同姓」を定める民法の改正や「女性に対する暴力の根絶」、「雇用における平等の確保」など幅広い分野について勧告が盛り込まれています。
女性差別撤廃委員会は女性差別撤廃条約を批准する各国について、ジェンダー平等の取り組みが進んでいるかどうかを審査します。日本の審査は2016年以来8年ぶりです。
勧告は国内法に一定の影響を与えてきました。前回は、女性にのみ課されていた再婚禁止期間の撤廃や性交同意年齢の引き上げなどが勧告され、その後、関連法が改正されました。旧優生保護法下での強制避妊手術の被害者補償の取り組みも進みました。女性差別撤廃委員会は最終見解でこれらについて「進展を歓迎する」と評価しました。

「今回4度目となる民法改正を勧告」

一方、繰り返し指摘される「根強い課題」もあります。一つが選択的夫婦別姓の導入です。
10月17日の審査に臨んだ日本政府側は、「夫婦同姓」を定める民法を改正することについて「国民の間に様々な意見がある。幅広い国民の理解を得る必要があると考える」との回答に終始しました。政府代表団は、政治家ではなく、各省庁から集まった官僚。質問への回答では明言を避けるような言い回しが目立ちました。
夫婦に同姓を強制するのは日本だけでもあり、女性差別撤廃委員会は「女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多い」と指摘。2003年、2009年、2016年に続き、今回4度目となる民法改正を勧告しました。

「罰則を設けて強化するよう勧告」

政治分野のジェンダーギャップを解消するための方策も相次いで勧告されました。
10月27日投開票の衆院選で、女性当選者は過去最高となりましたが、73人(15.7%)にとどまります。国際的な議員交流団体「列国議会同盟(IPU)」の9月時点のデータに当てはめると、世界140位。主要7ヵ国(G7)で最低の状態が続いています。
こうした中、最終見解は候補者男女均等法について、男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党などに求める努力義務を見直し、罰則を設けて強化するよう勧告しました。

「近代的国家・巨大経済を有するのに、非常に驚くべきことだ」

また、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR、性と生殖に関する健康と権利)について、「近代的な国家、巨大な経済を有する国であることを考えると、非常に驚くべきことだ」などと、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で10月17日に開かれた委員会による日本政府の審査で、委員の一人は、中絶の要件として母体保護法が定める、配偶者の同意について厳しく指摘しました。

「日本は人権問題を訴える手段が少ない」

国連の女性差別撤廃委員会の日本の対面審査に合わせ、スイス・ジュネーブの国連欧州本部には10月中旬、市民団体やNGOのメンバーなど100人以上が日本から駆けつけ、女性差別撤廃委員会の会合に参加し、ジェンダーをめぐる問題を委員に直接訴えました。背景には、日本は人権問題を訴える手段が国際的に見ても少なく、国連が「駆け込み寺」となっている事情があります。
人権の先進地域とされる欧州には、欧州連合(EU)加盟国など46ヵ国が加盟する欧州人権裁判所(フランス・ストラスブール)があり、国内で人権問題が救済されなかった場合、国を訴えることができます。判決には拘束力があります。日本などアジア圏にはそのような裁判所がありません。

「選択議定書を批准しない日本」

一方、アジアの多くを含めて約120の国にはあるのに日本にないのが「国内人権機関」です。政府から独立して独自の調査権限があり、人権侵害が起きたときに被害者救済などを担う機関です。国連が各国に設置を求める。
さらに、人権侵害を受けた個人が国内で救済されなかった場合、国際機関に直接訴えることができる個人通報制度を定めるのが条約の「選択議定書」です。女性差別撤廃条約の選択議定書は189の締約国のうち115ヵ国が批准していますが、日本は長年求められていながら批准していません。
今回、日本審査をまとめる「報告書」を担当したバンダナ・ラナ委員はメディアの取材に、選択議定書の批准について「時間がかかりすぎている」と指摘し、「国内の人権救済制度が尽きても選択議定書に定められた個人通報制度を使えば、前向きな何かが得られる」と述べました。

「韓国は、運動で国内人権機関を設立」

同じ東アジアでも、韓国では国内人権機関や、選択議定書の活用が進んでいます。女性差別撤廃委員会で2001年から8年間委員を務めたシン・ヘスさんによると、1993年の国連世界人権会議でのウィーン宣言で国内人権機関の設立が求められ、韓国内でも人権弁護士らを中心に政府に設立を訴える運動が始まりました。故・キム・デジュン元大統領が、大統領選の公約として「国家人権委員会」の設立を推進。2001年に行政、立法、司法から独立した組織として発足しました。女性差別撤廃条約について、韓国政府の履行状況を監視するほか、年間1万件超の個人の陳情も受け付けています。
個人通報制度を定める選択議定書も2006年に批准しました。昨年初めて、売春を強要された外国人女性を保護しなかったとして、個人通報を受けた女性差別撤廃委員会から韓国国政府に賠償を求める勧告も出されています。
ラナ委員は「世界的な地位を持つ日本が、提言を前向きに受けとめ、ジェンダー平等の問題について議論やアイデアを生み出すスタート地点になることを願っている」と話しました。

「世界の憲法を守らせる運動を!」

今回の国連・女性差別撤廃委員会が日本政府を審査し、勧告を出したことに私たちは関心を持って、選択議定書の批准を日本政府に求め、韓国のように国内人権機関を設立するなどの運動を展開しなければなりません。不十分な日本のジェンダー平等政策に、女性の人権に関する「世界の憲法」を守らせる運動を展開しましょう!

国連・女性差別撤廃委員会の主な勧告
前回、第5回の勧告

・選択的夫婦別姓の導入
・選択議定書の批准の検討
・女性の婚姻年齢の18歳への引き上げ
・女性の再婚禁止期間の廃止
・旧優生保護法下での不妊手術の被害者救済
・強姦の定義をめぐる刑法改正
・性交同意年齢の引き上げ
・政府から独立した国内人権機構の設置
 
今回、第6回の勧告
・選択的夫婦別姓の導入
・選択議定書の批准
・人工妊娠中絶における配偶者同意要件の削除
・女性が国会議員に立候補する際の供託金の削減
・同性婚を認める
・候補者男女均等法を改正し、罰則を設ける
・性同一性障害の特例法のもと、不妊手術を受けた人への賠償
・沖縄の米軍による性的暴力を防止し、加害者の適切な処罰
・男系男子に皇位継承を限定している皇室典範の改正
連帯ユニオン人権部主催
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      TEL:06-6583-5546
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労働組合活動を犯罪扱いさせてはなりません
「京都事件」は、ベスト・ライナー、近畿生コン、加茂生コンの3つの事件(労働争議)を併合審理する刑事裁判です。労働争議の解決金を受領したことが「恐喝」とされています。
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企業の団結権侵害に対する抗議行動や団体行動を犯罪扱いする警察・検察の暴挙を許せば、憲法28条が保障した労働基本権がなかった時代への逆戻りです。裁判所は毅然たる姿勢で無罪判決を出すべきです。すべての労働組合のみなさまに署名活動へのご協力をよびかけます。
署名活動の実施要領
提 出 先:京都地方裁判所第2刑事部
署名の種類:団体署名を実施します(個人署名ではありません)
      署名用紙は、  ココをクリック
集約と提出:第1次集約  9月末日(10月中旬提出)
      第2次集役  10月末日(11月中旬提出)
      最終週役    11月末日(12月中旬提出)
送 り 先:〒101ー0062
      東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
      フォーラム平和・人権・環境気付
      関西生コンを支援する会 ホームページ  ココをクリック
      TEL:03ー5289ー8222
      関西生コン事件 仰天の現場証言~無罪の被告人と兵糧攻めされる業者【竹信三恵子のホントの話】
デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
MBS(毎日放送)映像’24「労組と弾圧」がギャラクシー賞奨励賞を受賞しました。
5月31日、受賞式のようす ココをクリック
【MBSラジオがネットで聞けるようになりました】
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
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関生弾圧について家族の目から描いた『ここから~「関西生コン事件」と私たち』が5月10日、2023年日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞に選出されました。詳しくはコチラ ココをクリック

第26回ソウル人権映画祭で上映されました。 ココをクリック
6月13日から開催される、第26回ソウル人権映画祭(ソウルマロニエ公園一帯)。
14日(金)に『ここから「関西生コン事件」とわたしたち』が上映されます。英語・韓国語・字幕、韓国手話付き。全22作品を上映。

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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