「裁判官は誤らないという建前を排し『裁判の科学化・近代化』を」

プレサンス元社長冤罪事件で無罪判決を勝ち取った元裁判官の西愛礼(にしよしゆき)弁護士は、大手メディアの寄稿に「裁判官も人間である。予断や偏見から逃れられるわけではない」と述べています。

「認知バイアスの影響を受けている」

西弁護士は「実際の裁判官が参加したアメリカの実験では、裁判官も認知バイアスの影響を受けることや、『その情報は判断材料にしてはいけない』というルールがあったとしても、判断を下す際にその情報を排除しきれないことが示されている。例えば、ある被告人に有罪判決を宣告した裁判官が別の共犯者の裁判も担当することがよくあるものの、人間は一度記憶した情報を脳内から消すことなどできない。先の裁判で抱いた心証を後の裁判に引き継いでしまうと、予断によって誤審・冤罪を生む危険がある。」と指摘しています。

「忌避の申立」

また、西弁護士は「人間は予断・偏見に無意識に陥ってしまうため、自覚して抜け出すことは困難である。そのため、裁判官が予断・偏見に陥っているときには、裁判の担当を代わるなどの措置が必要になる。例えば、忌避(きひ)といって、裁判官が不公平な裁判をする恐れがあるときは、裁判を受ける人がその裁判官を外すよう申し立てることができ、通常は別の裁判官が忌避について判断する。」と忌避の申立を説明しています。

「忌避を申し立てられた裁判官本人が、安易に却下できる」

忌避の申立について西弁護士は、「忌避を申し立てられた裁判官本人が却下できるのは、法律上、訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかという例外的な場合に限られている。予断・偏見に基づく裁判を防ぐためには、こうした法制度を適切に使う必要がある。しかし、どのような法制度も形骸化する恐れがある。昭和のいわゆる『荒れる法廷』(学生運動などの裁判で不規則発言などによる裁判手続きの妨害が相次いだ状況)では、忌避が常套手段といて用いられるようになり、最高裁は、審理の方式や態度は忌避の理由にならず、そのような忌避は申し立てられた裁判官本人が却下できるという決定を下した。その後、『荒れる法廷』自体は沈静化したが、その判例に基づき、不公平な裁判を行う恐れがあるとして忌避を申し立てられた裁判官本人が、それを安易に却下できるようになってしまっている」と形骸化されている忌避を指摘しています。

「裁判官は誤らないという建前を排し『裁判の科学化・近代化』を」

さらに、西弁護士は「誤審・冤罪を防ぐためには、裁判官個人が予断・偏見に注意するだけでは不十分である。裁判官は誤らないという建前を排し、裁判官を一人の人間として現実的に捉え直して対策すべきだ。具体的には、日本も裁判官を被験者とする実験を行ってその心理を研究し、研究結果を踏まえた研修を実施して予断・偏見の危険性を周知する必要がある。最新の認知心理学を踏まえた法律判断や、歴史によって形骸化された法制度の復旧を促すといった『裁判の科学化・近代化』を図ることが、誤審・冤罪の防止のために必要だ。」と問題提起しています。

※西愛礼弁護士の書籍
○「冤罪学-冤罪に学ぶ原因と再発防止」日本評論社
○「冤罪 なぜ人間は間違えるのか」インターナショナル新書

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加茂生コン事件差し戻し審 無罪判決をを求める署名のよびかけ
加茂生コン事件差し戻し審完全無罪判決を獲得するべく、12月17日から新たに加茂生コン事件署名活動がスタートしました。
京都事件については団体署名でしたが、加茂生コン事件については各地の要望をふまえて個人と団体の2種類の署名活動に取り組むことになりました。
「関西生コンを支援する会」は、署名活動用に加茂生コン事件とはなにかを描いたニュース号外(漫画新聞)を発行しています。
提 出 先:大阪高等裁判所第3刑事部
署名の種類:団体署名と個人署名の2種類
署名用紙は、団体署名 ココをクリック  個人署名 ココをクリック
集約と提出:第1次集約  1月末日
      第2次集役    2月末日
      最終週役      3月末日

送 り 先:〒101ー0062
      東京都千代田区神田駿河台3ー2ー11 連合会館
      フォーラム平和・人権・環境気付
      関西生コンを支援する会 ホームページ ココをクリック
      TEL:03ー5289ー8222
関西生コン事件 仰天の現場証言~無罪の被告人と兵糧攻めされる業者
【竹信三恵子のホントの話】

デモクラシータイムスで、「関西生コン事件」の解説。刑事裁判で無罪になった二人の組合員と、組合員を雇った、組合員に仕事を出したことを背景にセメントの販売を拒絶され兵糧攻めにあっているセメント製造業者をインタビュー。また、「産業別労働組合」の歴史の経過を詳しく解説。
動画閲覧できます ココをクリック
【MBSラジオがネットで聞けるようになりました】
ドキュメンタリー番組の前に放送されたMBSラジオ「関西生コン事件とは何か」がネットで聞けるようになりました。
以下のところから聞くことができます。
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映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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2025年1月はありません
関西生コン事件ニュース 109(加茂生コン事件、判決は来年4/17 12/19大阪高裁差し戻し審が即日結審) ココをクリック
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東京新聞「こちら情報部」

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