介護施設で利用者からの暴力による職員のPTSD
介護施設内で、利用者による日常的な暴力を受けている介護職員。利用者の暴力や暴言を「ある程度は仕方ない」として、施設の運営・管理側が容認していることから、介護職員が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、休職を余儀なくされています。
「介護職場での暴力」
勤務先の介護職場で利用者から暴力を受けたことをきっかけに心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受け、現在も休職している介護職員の女性は「ある程度の暴力は仕方がないと我慢しながら働いてきた」と話します。
女性職員は認知症のある高齢者が共同で暮らすグループホームに勤めており、昨年10月1人部屋でトイレ介助をした高齢女性が廊下へ出て行こうとしたため、「もう休みましょう」と声をかけたました。すると高齢女性は女性職員の右腕を思いきりたたき、トイレに行きたい様子で部屋から出て行ったと。女性職員は、共用のトイレに行き、もう一度介助をし、部屋まで一緒に戻り、ベッドに寝かせようと正面にしゃがんだところ、おなかを蹴飛ばされたとのことです。
「グループホーム管理職らの対応」
グループホームは、深夜帯は9人の入居者に1人で対応していました。女性職員は午前6時に勤務を終えて、整形外科を受診すると強い打撲と診断されたことから、職場の管理者と主任に電話で報告しましたが、グループホームの管理職は「そうですか」「いつから来られますか」などの返答でした。管理職らから「大丈夫?」の一言もなかったことに女性職員は傷ついたと。
「PTSDと診断され休職を余儀なくされた」
認知症のある人は、記憶障がいや理解力の低下などが原因となり、暴力や暴言などの行動が現れる場合があります。女性職員はトラブルがあった時の様子を思い返しては、「私の対応が悪かったのかな」と自分を責めるようになり、気持ちが沈んだそうです。そして、精神科を受診し、PTSDと診断されて休職しました。今年5月に復職しましたが、1週間ほどして足がすくんで動けなくなり再び休職しています。
「利用者からの暴力や暴言」
女性職員は、約20年介護現場で働いてきました。過去の職場で利用者から暴力や暴言を受けた経験はなかったのですが、現在の職場では、複数の利用者から「たたんだ洗濯物を渡すとたたき落とされたり、大声で怒鳴られたり」日常的に暴力や暴言を受けたと言います。職員をたたくなどの行動について上司に相談したこともありましたが状況は変わらなかったと。暴力を受けても、同僚同士で「また、たたかれたよ」とやり過ごしてきたと言います。
お年寄りとかかわる介護職が好きだったという女性職員は「介護の仕事はもう無理かもという気持ちが出てきている」と。施設側はどのような対策をし、今回の件をどう受け止めているのでしょうか。
「介護職員の待遇改善と職場環境の改善が急務」
介護職場では、献身的な介護職員がいわれのない暴力や暴言に我慢を強いられているという現状があります。他方で、介護職員による利用者への虐待が取りざたされています。介護施設の運営や管理のあり方に問題がありますが、施設側の運営・管理にも限界があるのではないでしょうか。社会に必要不可欠な介護職員の賃金面などの待遇改善と職場環境の改善が急がれます。労働組合の役割が問われています

中島光孝/著
出版社名 白澤社
ページ数 334p
発売日 2025年06月
販売価格 : 3,400円 (税込:3,740円)
目次
第一部 弁論が開かれた最高裁判決(ハマキョウレックス事件、日本郵便〔西日本〕事件―「非正規格差」をどう是正するか
空知太神社事件最高裁判決―政教分離原則違反はだれがどのような基準で判断すべきか
水俣病訴訟―公害企業救済か被害者救済か)
第二部 「戦争」にまつわる判決(大阪・花岡中国人強制連行国賠請求訴訟―国家の「強制」による「加害」を国家はいかに償うべきか
台湾靖国訴訟・小泉靖国訴訟―台湾原住民族はなぜ「靖国合祀」を拒否するか
「アベ的なるもの」との三〇年―フィリピン元「従軍慰安婦」補償請求訴訟/「君が代」斉唱拒否訴訟/安倍国葬違法支出公費返還請求住民訴訟)
第三部 労働組合をめぐる判決(三菱重工長崎造船所〔労働時間〕事件―「労働と労働組合活動」を考える
住友ゴム工業事件・近鉄高架下文具店長事件―「職場の労働組合活動」を考える
関西生コン支部刑事弾圧事件―「労働基本権保障」の意味を考える)

非正規を語る 当事者から・弁護士から
ゲスト:中島光孝さん 大椿ゆうこさん
司 会: 二村知子
開催日:2025年10月18日 土曜日
時 間: 15:00~17:00
(要予約・事前購入制とさせていただきます。申込み順)
会 場:リアル(限定50名) &リモート(定員100人)トークイベント
隆祥館書店多目的ホ-ルからリモ-トで配信
詳しくはこちらホームページ チラシココをクリック
真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】
ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
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増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国
勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
はじめに――増補にあたって
プロローグ
第1章 「賃金が上がらない国」の底で
第2章 労働運動が「犯罪」になった日
第3章 ヘイトの次に警察が来た
第4章 労働分野の解釈改憲
第5章 経営側は何を恐れたのか
第6章 影の主役としてのメディア
第7章 労働者が国を訴えた日
エピローグ
補章 反攻の始まり
増補版おわりに

この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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ー 公判予定 ー
10月31日 国賠裁判 東京地裁(判決) | 15:00~ |
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11月18日 大津第2次事件 大阪高裁(判決) | 14:30~ |