12月21日「関生支部への大弾圧は何の始まりか?」が学働館・関生で開催されました。この間の関生支部にかけらている激しい刑事弾圧について、資本・権力側の目的と本質を学ぶために永嶋靖久弁護士と山城博治さんを講師に招き、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会が主催する学習会です。

学習会は、司会の全港湾大阪支部 小林勝彦書記長から、本学習会の目的と意義が提起され始まりました。

 

 

「関生支部への刑事弾圧-その経過と特徴」

第1部は、関生刑事弾圧の担当弁護士・永嶋靖久の講義です。

永嶋弁護士は、「今回の関生支部への弾圧は一時的なものではなく、組織と運動にかけらている。関生支部の運動が、日本の労働運動にどういう位置を占めているのか。日米安保条約破棄・全ての米軍基地撤去、反原発、安保法・共謀罪廃止などの社会運動に対する弾圧だ」と述べられました。
次に、生コン産業における労使関係について、ラフスケッチ(概略図)を用いた説明をしながら、関生運動の特徴として「背景資本への追及」「使用者概念の拡大」「集団交渉」をあげました。
背景資本への追及と使用者概念の拡大を追及して成果をあげた関生の運動によって、セメント資本が法的に労使関係を免れる措置をとったこと。つまり、生コン産業は当初、セメント製造・生コン製造・生コン輸送・運転手というセメント製造から生コン製造・輸送までひとつの企業体だったのが、セメント製造から生コン製造・輸送(運転手)を切り離し、さらに、生コン製造から輸送を切り離し、法的な雇用責任を負わない仕組みをつくった。
しかし、関生支部は「集団交渉」により、集団的な労働協約を締結した。この労働協約は、生コン業界で働く全ての労働者(労組に加入していない労働者にも)に拡張適用されるものであり、産業別労働協約なのだ。
ヨーロッパでは、産業別労働運動はあたりまえのことである。ヨーロッパでは、その産業における労働組合の組織率が、わずか10%であっても産業別労働協約がその産業の労働者に拡張適用されている。関生支部の集団交渉で締結した労働協約は、企業の枠を越えた産業別労働運動の成果である。
中小企業との集団交渉で要求を実現することにも限界があることから、関生支部は中小企業等協同組合法を活用し、セメントメーカーやゼネコンと価格の交渉力をつけることを目的に、中小企業の生コン企業を協同組合に結集させる運動を展開した。
その長年の運動によって、大阪広域生コンクリート協同組合(大阪広域協組)が設立された。協同組合は共同受注・共同販売を実践し、適正な生コン価格を収受(価格競争によって下落・原価割れしていた生コン価格の値戻し・値上げ)するという成果をあげた。その業者団体との集団交渉で関生支部をはじめとする労組団体(全港湾大阪支部)は、日雇い労働者の正社員化などの要求を実現するなど、生コン産業で働く労働者の労働条件を改善したのである。
ところが、生コン価格が上がって利益が出ると、大阪広域協組は労働組合との約束を反故にしてきた。2017年12月の労組との約束履行を求めたストライキ以降、大阪広域協組との対立が激化したのである。
大阪広域協組が、傘下の各組合員企業に文書で通達したものは、関生支部と個別の接触や交渉等を禁じるなど、不当労働行為を命じているものである。また、この通達に従わない組合員企業には、厳正な対処を行うと明記されており、通達に従わない組合員企業には、数ヶ月間、仕事を与えない(出荷の割り当てをしない)行為をしたのである(実際に仕事を干された企業は、仮処分申立の裁判で干された企業が勝訴している)。
さらに、関生支部の組合員が所属する輸送会社や関生支部の日雇い労働者を使わない通達をするなど、大阪広域協組の不当労働行為によって、就労の機会が失われているところに刑事弾圧が入った。

「刑事弾圧の経過と目的」

永嶋弁護士は、この間の刑事事件の経過を詳しく説明されたあと、建設現場のコンプライアンス活動の民事事件では、コンプライアンス活動は違法にあたらないと裁判所が認めていることや労組法1条2項の刑事免責を勾留を決定した裁判官が知らないことなどを話されました。
また、警察のやり方について疑義を述べたあと、次のように話されました。
「今年、7月18日から始まった滋賀県警と大阪府警による刑事事件は、逮捕者が延べ46名、家宅捜索は100カ所を超えている」「押収物は、『弾圧のしおり』という冊子やプラカードなど事件に関係のないものまで押収するという異常なやり方である。さらに、不当逮捕・勾留されている組合員への激励宣伝の宣伝カーを捜索して、宣伝文書とビデオカメラを押収するなど異常なやり方だ」「今後の弾圧に注意と警戒が必要」。
不当に逮捕した組合員に対する取り調べでは警察官が「関生支部を削っていく」「企業内で活動するのはわかるが、やり過ぎだ」「他の労働組合に行け(移れ)」などと組合員に発言していると。

「関生支部の産業別労働運動つぶしを許さない闘いを継続する」

最後に、永嶋弁護士は、「関生支部の協同組合運動、すなわち企業の枠を越えた産別運動への弾圧という位置づけて、この弾圧をはね返す闘いが求められている」と話されて講義を終了しました。

このような滋賀県警・大阪府警のやり方や警察官の発言は、明らかな産業別労働運動つぶしであり、露骨な不当労働行為でず。この両警察のやり方を許してはいけないのです。不当な警察の行為を暴露することとあわせて、警察権力への抗議行動を強化して取り組むことが必要です。
永嶋弁護士には、関生型運動すなわち産業別労働運動を理解されて、生コン業者団体との対立に乗じた権力が、産別運動つぶしの弾圧をかけてきたこと。警察の狙いと弾圧の本質などを詳しくわかりやすく話していただいたことに感謝します。

「山城博治さんの発言」

次に、関生支部への弾圧に対して、激励と支援に駆けつけてくれた、沖縄平和運動センターの山城博治さんからの発言です。

「常識では考えられない労組弾圧」

今、常識では考えられない労働組合に対しての弾圧がまかり通っています。関生支部に対しての弾圧というよりも、ひとつの社会勢力による圧力、弾圧です。それこそねじ伏せて権力が思うがままに社会を運営していく、そのシステムの中に放り込まれているように感じます。

「大津地裁の公判傍聴に駆けつけた」

朝一便で駆けつけ大津地裁の裁判に間に合うように来たかったが間に合いませんでした。
しかし、退廷する武委員長の姿を窓越しに見ることができました。手錠をされながらでも、笑顔で組合員に手を振る姿に感動し感銘を受けました。さすが、武委員長だなと思いました。委員長自身「私も元気だ。めげずに頑張る」と表情で訴えておられました。私たちも負けずに頑張りましょう。力強く公判に立たれた仲間にエールを送りながら、我々も学習を深めながら団結して闘いを強めながら無罪を勝ち取りましょう。私も沖縄から応援しています。

「山城さん自身への不当弾圧」

私自身は、器物損壊・公務執行妨害・傷害・威力業務妨害などをでっち上げられ弾圧を受けています。先日、高裁の判決が出て「被告人の言うことは信用できない」ということで、訴えていることが全て却下されました。逆に防衛局の証言は「極めて信憑性が高い」として有罪とされました。こんな馬鹿げた判決があってもいいのかと思いました。
自治労では労働組合の活動を続けながら労使交渉を行っていました。いつの間にか外に出てマイクを持つようになりました。今や「日本一のテロリスト」にされていますが、労働組合の活動は外に出ただけです。労使交渉では絶対的に力を持っているのは相手(企業)です。労働者はひとりでは力がないので労働組合に結集し団体で交渉をします。それが憲法・法律でも認められた団体交渉です。それを「恫喝」「脅迫」と言われたら団体交渉は成立しません。不誠実な交渉ならば声を荒げることもあるが、それを「恫喝」と捉えられたら交渉にはなりません。
今回の関生支部への弾圧は、現場の反戦運動や平和運動のなかで機動隊からの規制があり暴力がありそれに声を上げた瞬間に、「暴力的なことを言いましたね」それは「恫喝」「脅迫」と言われ逮捕されるのと同じように思います。
沖縄での反対運動に対する弾圧と関生支部への弾圧は「政治的」「体質的」に同じなのだなと思いました。

「沖縄の辺野古新基地建設反対運動への弾圧」

沖縄での運動に対する弾圧と似ているところを紹介しながら話をしたいと思います。
私たちに言われている「威力業務妨害」ですが、辺野古のゲート前に1486個のブロック(重量19トン)を積み上げたことが「威力」であると高裁の判決で言われました。
初めは1個のブロックが10個になり100個になり1000個になり、それまで何も言わなかったのに、1486個に達した時点で「威力」だと言うのです。それによって「妨害」なんだと言われました。公道で道路ではないゲートの入り口で、機動隊の暴力に立ち向かうことができなくなりブロックをゲート前に投げて、それが整然と積み上げられたことで「威力業務妨害」と言われています。抵抗する私たちは、「表現の自由」がどこまで認められるのか認められないのかを法廷で争っています。
しかし、裁判所は、機動隊の暴力で緊急搬送されるなどの暴力と、それでも抵抗するためにやむを得ずにブロックを積み上げる行為とが「何が正しいのか」という中身を見ようとせず、1486個のブロックを積み上げたことが「威力」であるとしか言いません。刑法で謳ってある『構成要件に該当する』以上は中身を問うことはできない。それが罪なのだと一刀両断されました。そのことを争いたいと思い、今回やむを得ず上告しました。
本当は、最高裁まで上告したくない気持ちもありました。なぜなら、平和運動が最高裁で断罪され「犯罪だ」と言われた瞬間に全国に波及する恐れがあるからです。平和運動に伴う行為が全部「犯罪だ」として先例として残ってしまうことを恐れています。弁護団から、「このまま私たちの主張が全てスルーされ、一切判断されず『有罪だ』だと言われることを認めるわけにはいかない。だから最高裁で争うのだ」言われたので上告することを決めました。

「高江ヘリパット建設反対運動への弾圧」

高江のヘリパッド建設工事の時の「傷害」「公務執行妨害」です。
沖縄でも唯一手つかずになっている高江の森。辺野古の海と同様に自然豊かな森にヘリコプターの離発着帯を建設することは許せないと、2007年から8年間山のなかで反対運動をしてきました。8年間、何も動きがなかったのに、2016年7月、いきなり沖縄防衛局が宣伝カーやテントの撤去を求めてきました。そして、「撤去しなければ所有権を放棄したものとして撤去します」とやってきました。
私たちは、所有者を明らかにはしませんでしたが、「名乗り出ないのであれば所有権を放棄したものとみなす」として沖縄防衛局は撤去してきました。それを警察・機動隊が後押しをしてきました。これは、国家の「窃盗行為」です。
宣伝カーを停めてあった場所は県道の路肩です。本来なら沖縄県土木事務所から言ってくるものであり、防衛局が撤去したことが問題なのです。そのことを裁判所で訴えても聞く耳を持ちません。弱いものは答弁する権利もないものなのかと怒りさえ覚えます。このことをしっかり司法の場に行って述べていきたいです。

「安倍政権の暴挙、辺野古へ土砂を搬入」

12月14日から、辺野古の埋め立て工事が始まりました。埋めたてに使われる土砂は本部町塩川漁港から運ばれることになっています。しかし、台風24・25号で岸壁が壊れ、使用ができなくなりました。現在、沖縄防衛局は、名護市にある琉球セメント㈱の桟橋を使っています。この桟橋は、沖縄県の唯一のセメント工場であり、そのセメントを出荷するために公有水面を独占的に使用することが認められた橋です。間違っても県民が反対する基地建設に使われる土砂を搬出させるために認められたものではなく「目的外使用」です。
埋め立てに使われる資材は、「岩ズリ」が使われるはずなのに、「赤土」が混じっているのです。本来岩石を削ったものであれば海は白く濁るはずです。しかし、海は赤く濁っているので「赤土」なのではないのかと訴え続けていますが、防衛局は「岩ズリ」と言い張っています。
安倍内閣と同じで「開き直る」「恐喝する」。そして、どうにもならないようになれば、暴力的に警察を使ってねじ伏せるような行為が目に付きます。
埋め立て工事を強行されましたが、違法行為が連日続いています。権力は、警察を使い市民を拘束し、それに同調して裁判所も判決を出します。三権分立が成り立っていません。だからといって全ての裁判を投げ出すことはできませんが、私たちは怒りを持ち続けて正しい裁判が行われるように訴えなければなりません。

「安倍政権の沖縄の民意を無視した強引なやり方に、国内外で支援の輪が拡がっている」

このような絶望的なことばかりですが、希望が持てる点があります。
インターネット上で世論調査を行ったところ、「政府はやり過ぎだ」という意見が56%もあり、沖縄に同情する人が増えています。そして、愛知県を初め東京・福岡などで機動隊を沖縄に派遣したことに対して裁判が始まるなど支援の輪が広がりを見せています。私たちの辺野古や高江の運動が広がっていることは大きな成果だと思っています。これからも引き続き支援をしていただきたいと思います。

アメリカで辺野古の埋め立てに反対する署名活動が行われています。アメリカでは署名を始めて1ヵ月で10万筆を超えると、政府で検討して回答を出さなければならないという制度があるそうです。署名を始めて10日間で15万筆が集まりました。
このことに対して、トランプ大統領に「沖縄県民は辺野古埋め立てを反対しています」という県民や県知事の意思を示し、「その基地はアメリカの基地です。大統領としてどう考えているのか」を問うことができます。その回答をトランプ大統領がしなければならなくなったのは大きな成果です。

今日(12月21日)の新聞に、大阪の堺市議会で辺野古基地建設について政府と地元との誠実な対話を求める意見書が可決されたと書いてありました。これも大きな成果です。現地に来られない多くのの気持ちがこの意見書に繋がったのだと思います。私たちも全国の仲間と連帯しながら頑張っていきたいと思います。

これは、沖縄だけの問題ではなく、地域の自治や住民の意思を「どこまで反映できるのか」「どこまで尊重されるのか」が問題です。私たちは民主主義を問うています。
来年の参議院選挙が鍵となってきます。必ず沖縄において参議院選挙に勝ち、沖縄から国会に代表を送り、中央政府の悪政をはね除け、民主主義や地方自治、沖縄の人々の生活を守るために団結して安倍一強を打倒しましょう。

「安倍政権にNOを!警察国家つくりを許さないために闘う決意を固めよう」

今、関生支部や基地建設反対運動を弾圧し、福島の復興を見て見ぬふりをしてオリンピックに邁進しているおぞましい日本政府。この安倍政権に「NO!」をつきつけていきましょう。
このままでは、やがて共謀罪を発動されたら、現場で機動隊に文句を言えば「リーダーが脅迫した」として、それに企てた者は全て共謀したとして逮捕される時代がやってきます。権力のために世の中があるのだという構造になります。これに対して黙っていればそういう社会になってしまいます。だからといって逃げまくるのではなく、緩やかにしたたかに闘う決意を固めましょう。
関生支部の武委員長を初めたくさんの仲間が捕まっていますが、沖縄とも情報や気持ちを共有して闘わなければなりません。今回の問題は、大阪だけにとどまらず全国に全社会にまで波及していきます。是非ともに闘って無罪を勝ちとり、一日でも早く仲間を救出しましょう。そして、沖縄もともに闘います。頑張りましょう。

山城さんの力強く、心暖かい発言に、集会に参加した仲間のみなさんは勇気と元気をいただいたことでしょう。沖縄から駆けつけてくれた山城博治さんに感謝します。

「集会のまとめ」

集会のまとめとして関西合同労組の宮崎さんからたくさんの参加者に対してお礼が述べられ、「司法があって司法がなき状態。そのため関生支部に弾圧が入りました。横暴を極めています。これは『始まり』ですが、これを拡大させてはなりません。今が運動の節目だと考えています」
そして、「元旦のデモを成功させましょう。まだまだ起こりうる弾圧をはね返していくためにも協力をお願いします」とし、閉会となりました。

本日の学習会は、有意義なものとなりました。学習会に参加された仲間のみなさん、お疲れさまでした。
このような機会を与えてくれた、『労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会』のみなさんに感謝します。
権力弾圧をはね返す闘いを継続して、必ず勝利します。共闘の仲間のみなさんには、今後ともご支援ご協力をお願いします。

労働組合つぶしの大弾圧を許さない!2019元旦集会
関生支部に対する不当弾圧に抗議するデモが、元旦に取り組まれます。
【大阪府警包囲デモ】コースが決定しました!
10時 大阪城公園・教育塔前広場で集会
10時40分デモ開始
広場→馬場町交差→府警前→府庁南→谷町2→谷町3→府警南側→馬場町交差→教育塔広場で流れ解散
府警本部には武委員長が、滋賀・大阪の被弾圧者の仲間が勾留されたまま年を越します。関生支部の対する弾圧を許すな・闘う労働運動の2019年にふさわしい元旦闘争にしましょう。
みなさま、拡散おねがいします!