「第二の辺野古」を許さない ―― 浦添軍港移設、科学と民意を軽視する暴挙を問う

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沖縄県浦添市西海岸への米軍那覇軍港移設を巡り、事態は重大な局面を迎えている。沖縄防衛局が公表した環境影響評価(アセスメント)の「方法書」に対し、玉城デニー知事による知事意見の提出期限が来年1月21日に迫っている。

繰り返される「後出し」の欺瞞――辺野古の教訓を風化させるな

現在、地元住民や専門家から噴出しているのは、このアセスが「環境保護」という本来の目的を喪失し、国策遂行のための「アリバイ作り」に成り下がっていることへの強い危機感だ。私たちは、辺野古の教訓を繰り返してはならない。

「5・15メモ」を逸脱する運用の常態化

今回の移設の根拠となる現在の那覇軍港は、1972年の沖縄返還時に日米間で合意された「5・15メモ」において、その使用目的が「港湾施設及び貯蔵庫」と明確に定められている。ここには航空機の運用に関する規定は存在しない。

しかし現実には、那覇軍港ではオスプレイや米軍ヘリの離着陸が日常的に繰り返されている。これは明らかに「5・15メモ」の目的に反する運用であり、県民の抗議を無視した既成事実化に他ならない。浦添の新軍港においても、水深の拡大に伴う大型艦船の寄港に加え、なし崩し的に航空運用が拡大される懸念は極めて強い。この「約束破り」の構造を放置したままアセスを進めることは、法治国家として断じて許されるものではない。

供用後の評価を排した「後出し」の欺瞞

最大の問題点は、方法書の評価項目に軍港完成後の「米軍の運用内容」が含まれていないことだ。防衛局は「工事による影響」のみに焦点を絞り、実際にどのような艦船や航空機が運用されるかという、最も環境負荷が大きい要素を評価対象から除外している。

これは辺野古新基地建設でも見られた「後出し」の欺瞞である。辺野古ではアセスの最終段階までオスプレイ配備を隠蔽した。浦添においても、水深の増大によって現軍港とは異なる艦船の寄港や、オスプレイの日常的な運用が予想されるが、それらはすべて「米軍の運用に関わる」として闇に葬られようとしている。運用実態を無視したアセスで、騒音や水質汚染を正確に予測することは科学的に不可能である。

構造化された差別 沖縄だけが低く見積もられる「命の価値」

科学に基づいた客観的な手続きであるはずの環境アセスが、いま、政治の力によってねじ曲げられようとしている。長崎県佐世保市の事例と並べてみれば、その差は歴然だ。国は沖縄に対してだけ、あからさまに低い基準を押し付け、守るべき自然の価値を不当に低く見積もっている。この「評価の物差しの使い分け」こそが、沖縄が長年強いられてきた構造的な差別の正体に他ならない。

長崎で認められた合理性が沖縄で否定される矛盾

長崎の駐艇場移設アセスにおいて、国は「利用目的が明確である」ことを理由に、施設完成後の米軍の運用がもたらす影響を評価項目に含めた。これは行政として極めて合理的な判断である。しかし、那覇軍港の移設においても、それが現在の機能をそのまま移転させる「代替施設」である以上、利用目的の明確さは長崎と何ら変わりはない。それにもかかわらず、沖縄では「運用の詳細は未定」として評価を避ける姿勢は、論理的な一貫性を完全に欠いている。同じ米軍施設の移設でありながら、場所によって評価対象を恣意的に操作する行為は、沖縄の環境を軽視する「二重基準」そのものである。

希少な生態系を軽視する不透明な選別

調査内容の格差も深刻だ。長崎で実施された水中音調査が沖縄で行われない事実は、環境保護に対する国の熱意が、対象地域によって変動していることを示唆している。沖縄の海にはサンゴ礁やジュゴンといった世界的に貴重な生態系が存在しており、本来であれば長崎以上の厳密な調査が求められるはずだ。技術的に可能な調査を「実施しない」と選択する背景には、環境への悪影響を数値化されることを避けたいという政治的思惑が見え隠れする。科学的誠実さよりも「工事の円滑な遂行」が優先されているのが現状だ。

民主主義の基盤を揺るがす隠蔽体質

さらに問題を深刻化させているのが、防衛局の閉鎖的な姿勢である。アセスの本質は情報を公開し、住民との対話を通じて環境負荷を最小限に抑える合意形成のプロセスにある。しかし、肝心な情報を「米軍との関係」を盾に隠蔽し、調査の不備を指摘されても背を向ける態度は、沖縄の住民を対等な対話相手として認めていない証左である。このような隠蔽体質は、県民の間に「国は沖縄の権利を奪い、環境を破壊しても構わないと考えている」という深い不信感を植え付けており、もはや環境問題の枠を超えた人権と民主主義の問題へと発展している。

科学を無視した自然破壊 死にゆく「奇跡の海」

日本環境会議顧問の桜井国俊・沖縄大名誉教授は、わが国のアセス制度が「累積的環境影響の評価」を行わないという致命的な欠陥を抱えていることを指摘している。浦添西海岸は、沖縄本島中南部で最大級のサンゴ礁(イノー)と広大な海草藻場が広がる、まさに「奇跡」とも呼べる豊かな生態系が残された場所である。軍港建設という巨大な負荷が加わることは、海域全体の生命維持システムを根底から破壊することを意味する。形式的なサンゴの移植といった小手先の対策では、数万年の歳月が築いた複雑な生態系ネットワークを代替することは到底不可能だ。

絶滅危惧種であるアオウミガメやジュゴンにとって、生存拠点の物理的な消失は種の存続に直結する死活問題である。さらに、巨大な構造物は海水の循環を遮断し、水温上昇によるサンゴの白化を加速させる。通常なら外海へ拡散されるはずの排水や油分が、澱んだ海域に停滞し続けるという「最悪のシナリオ」は、一度始まれば不可逆的である。私たちは今、かけがえのない地球の遺産を守れるかどうかの重大な瀬戸際に立たされている。

問われるのは日本の民主主義そのもの

これは単なる沖縄の悲劇ではない。日本という国の「正体」が問われる審判の場である。国は住民の切実な懸念に耳を貸すどころか、対話の扉を「日米合意」という鍵で閉ざし続けている。民意を無視し、力で押し切るその姿勢に、民主国家としての誠実さは微塵も感じられない。

沖縄の地方自治が損なわれるとき、それは私たちが暮らす街の自治もまた、死に向かっていることを意味する。知事には、供用後の累積評価を項目に含めるよう、国に対して明確に「NO」を突きつけることが求められている。私たちは単なる観客であってはならない。一度埋め立てが始まってしまえば、二度と取り返しはつかないのだ。住民投票によって民意を再定義し、この国の不正義を根底から揺さぶる必要がある。

この「第二の辺野古」を生み出そうとする暴挙を許すことは、私たちが不正義の共犯者になることと同義ではないか。今こそ、沖縄だけの問題に留めない決然とした行動が問われている。

真相はこれだ!関生事件 無罪判決!【竹信三恵子の信じられないホントの話】20250411【デモクラシータイムス】

ご存じですか、「関西生コン」事件。3月には、組合の委員長に対して懲役10年の求刑がされていた事件で京都地裁で完全無罪判決が出ました。無罪判決を獲得した湯川委員長と弁護人をお呼びして、竹信三恵子が事件の真相と2018年からの一連の組合弾圧事件の背景を深堀します。 今でも、「関西生コン事件」は、先鋭な、あるいは乱暴な労働組合が強面の不法な交渉をして逮捕された事件、と思っておられる方も多いようです。しかしそうではありません。企業横断的な「産別組合」が憲法上の労働基本権を行使しただけで、正当な交渉や職場環境の改善運動だったから、強要や恐喝など刑事事件には当たらないものでした。裁判所の判断もこの点を明確にしています。では、なぜ暴力的組合の非行であるかのように喧伝され、関西全域の警察と検察が組織的に刑事事件化することになったのか、その大きな背景にも興味は尽きません。 tansaのサイトに組合員お一人お一人のインタビューも連載されています。ぜひ、どんな顔をもった、どんな人生を歩んできた人たちが、濡れ衣を着せられ逮捕勾留されて裁判の法廷に引き出されたのかも知っていただきたいと思います。
動画閲覧できます ココをクリック

増補版 賃金破壊――労働運動を「犯罪」にする国

竹信三恵子 (著) 旬報社 – 2025/1/30

勝利判決が続く一方で新たな弾圧も――
朝⽇新聞、東京新聞に書評が載り話題となった書籍の増補版!関生事件のその後について「補章」を加筆。
1997年以降、賃金が下がり続けている先進国は日本だけだ。そんな中、関西生コン労組は、労組の活動を通じて、賃上げも、残業規制も、シングルマザーの経済的自立という「女性活躍」も、実現した。そこへヘイト集団が妨害を加え、そして警察が弾圧に乗り出した。
なぜいま、憲法や労働組合法を無視した組合潰しが行なわれているのか。迫真のルポでその真実を明らかにする。初版は2021年。本書はその後を加筆した増補版である。
◆主な目次
  はじめに――増補にあたって
  プロローグ
  第1章 「賃金が上がらない国」の底で
  第2章 労働運動が「犯罪」になった日
  第3章 ヘイトの次に警察が来た
  第4章 労働分野の解釈改憲
  第5章 経営側は何を恐れたのか
  第6章 影の主役としてのメディア
  第7章 労働者が国を訴えた日
  エピローグ
  補章 反攻の始まり
  増補版おわりに

映画 ここから 「関西生コン事件」と私たち
この映画は「フツーの仕事がしたい」「アリ地獄天国」など労働問題を取り上げ注目を浴びている土屋トカチ監督の最新作。「関西生コン事件」の渦中にある組合員たちの姿を描いた待望のドキュメンタリー映画『ここから「関西生コン事件」と私たち』がこのほど完成。業界・警察・検察が一体となった空前の労働組合潰しに直面した組合員と家族の物語を見つめた。(左写真は松尾聖子さん)いまも各地で上映会がひらかれている。
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