「無実を訴えると長期に勾留される」
2018年11月のカルロス・ゴーン日産前会長の逮捕から3ヶ月が過ぎました。海外の報道では、逮捕・再逮捕・繰り返された勾留延長、起訴後も続く長期勾留など、日本の刑事司法の人権感覚を疑問視する声が多方面で出ています。

朝日新聞では、次の記事が掲載されています。
「ゴーン被告の保釈2度目の請求も却下」
私的な損失を日産自動車に付け替えたという会社法違反(特別背任)の罪などで起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告(64)について、東京地裁は22日、2回目の保釈請求を却下する決定を出した。前会長の身柄拘束は昨年11月19日の逮捕からこの日までで65日間。さらに長期化する見通しだ。
弁護人は1回目の保釈請求で、保釈後の住まいをフランスにするなどの条件を提示したが、18日の2回目の請求では都内の住まいとしたとみられる。またゴーン前会長は21日、「日本にとどまり、裁判所が定めたあらゆる条件を尊重する」との声明を発表。旅券の提出や、所在地が追跡できる電子機器付きの足輪の装着も提案していた。
地裁は却下の理由は明らかにしていないものの、起訴内容を否認しているゴーン前会長が影響力を行使し、関係者と口裏を合わせるなど証拠を隠滅する恐れがある状況に変わりはないと判断したとみられる。保釈請求は何度でもできるため、弁護側は3回目の請求を行う可能性もある。
勾留の長期化については、海外メディアなど国内外から「人質司法」との批判が高まっている。門野博・元東京高裁判事は「国内で生活し、裁判所の条件を受け入れるのであれば、証拠隠滅の恐れは相当減少する」と指摘。「保釈を認めるべきだった」と述べた。 (2019年1月23日付朝日新聞朝刊)

「罪証隠滅の恐れ」で却下

2回目の保釈請求でカルロス・ゴーン前会長は、「裁判所が定めたあらゆる条件を尊重する」と申し出ているのにもかかわらず裁判所が保釈請求を却下したのは、カルロス・ゴーン前会長が「無実を訴え否認している」ことが原因なのは明らかです。
裁判所は「罪証隠滅の恐れ」を理由としていますが、疑いだしたらキリがないのです。罪証隠滅の恐れがゼロでなくても、体調が悪いとか、裁判の準備できていないとか、拘置所にいる悪影響を考えて保釈を許すという別の決まりもあるのです。裁判官は、両方の決まりを頭に入れて判断しなければならないのです。
日本の場合は、「罪を認めないと外に出にくい」と言われています。最高裁の2016年のまとめでは、裁判が始まる前に保釈された人の割合は、罪を認めた事件は22%、否認した事件では8%です。無実を主張して「否認」すると出にくいのが現実なのです。

保釈されたいために認めることも…

早く外に出るためにウソでも認めてしまうことが「人質司法」と批判されています。このような批判をうけてかもしれませんが、有名な裁判官が「否認=罪証隠滅」と簡単に結びつけないように注意したり、最高裁も罪証隠滅の恐れを「具体的に」検討するよう求めたりしたことから、保釈を請求した人に限ると、判決までに認められた割合は2000年の47%から2017年は66%に上がるなど、少しずつ改善はしているようです。
しかし、この数字だけ見れば改善されているように見えますが、「早く出たいために、無実なのに被疑事実を認めてしまう人たち」の数値がわからないこともあり、まだまだ改善が不十分なのは、はっきりしています。

「無罪推定が原則」

刑事司法は「無罪推定」が原則なのです。しかし、相変わらず「逮捕即有罪」と決めつけるような国内の報道ぶりは、違和感をもつだけでなく周りの環境に悪影響をおよぼします。検察当局やマスコミは、村木厚子・元厚生労働事務次官の事件への反省が全く見られません。これは、大変な問題なのです。

私たちは、警察・検察・裁判所による「人質司法」「人権侵害」を犯していることを糾弾して、広く訴えることが求められています。特に、裁判所には原則対応と現状の改善を強く求めることが重要です。「人質司法」の実態を暴露して大衆的な運動に発展させましょう。

滋賀 恐喝未遂事件
第12回 公判
日時:2019年3月25日 10:00~17:00
第13回 公判
日時:2019年3月26日 13:20~17:00
第14回 公判
日時:2019年3月27日 10:00~17:00
第15回 公判
日時:2019年3月28日 10:00~17:00
場所:大津地方裁判所
大阪 威力業務妨害事件
第2回 公判
日時:2019年5月15日 10:00~
場所:大阪地方裁判所 大法廷 201
滋賀 大津生コン協組 威力業務妨害事件
第2回 公判

日時:2019年4月2日 11:00(変更)
場所:大津地方裁判所
ストライキが犯罪か!
労働組合つぶしの大弾圧許さない!
3.10集会
日にち:2019年3月10日(日)
時 間:14:00~16:00 開場:13:30
場 所:大阪市立西区民センター

労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会

「労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委員会」への賛同の呼びかけ
PDF

好評販売中!
ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?(労働組合なのに…) 単行本 – 2019/1/30
連帯ユニオン、小谷野 毅、葛西 映子、安田 浩一、里見 和夫、永嶋 靖久(著)
内容紹介
レイシスト(差別主義者)を使って組合破壊をしかける協同組合、ストライキを「威力業務妨害」、職場のコンプライアンス違反の告発を「恐喝」、抗議を「強要」、組合活動を「組織犯罪」、労働組合を「組織犯罪集団」と言い換えて不当逮捕する警察。
いま、まっとうな労働運動に加えられている資本による攻撃と「共謀罪のリハーサル」ともいえる国家権力による弾圧の本質を明らかにする!
お問い合わせは、連帯ユニオンまで TEL:06(6583)5546 FAX:06(6582)6547
アマゾンでも購入することができます。
こちらから